【二次創作】獣拳戦隊ゲキレンジャー
―――翌日。 「…もう行っちまうのかぁ…」 スクラッチの入り口前で、旅支度のリュウと、それを見送るゲキレンジャーたちの姿があった。 「あぁ、兄弟弟子から連絡があってな。師匠の手掛りを掴んだから一緒に来いって」 放浪中の師匠を発見し、捕まえることが出…
「ゲキ…グラスホッパー…?」 「すごい…私たちの知らないゲキビースト……」 軽快にぴょんぴょんと飛びまわるゲキグラスホッパーに、ゲキトージャの中でランとレツが驚きに目を見開き、ジャンが嬉しそうに腕をぐるぐると回した。 「すっげー! ゲキグラスホッパ…
「はッ!」 蹴りを当てた反動で跳び、リュウが軽やかに着地する。 「おおっ、リュウすっげー!」 「ああ、3人分の激気を凝縮した激激砲に、さらに自分の激気を加えて蹴り込むなんて。激気の制御を完全にこなしている」 「はっは、“アルカイック・テクニック…
次の瞬間、赤い切先がさらに赤く染まる。ミノの足に備わった黒死・遍朱刀が、リュウの身体をこれでもかというほど衝き貫いていたのだ。 「ぐあぁっ…」 「リュウさん!」 倒れ伏すリュウに、レツが駆け寄る。 「…だ、大丈夫大丈夫」 引きつった笑い声で、手を…
「ぐぬぬぬぬ……」 ミノが拳を握り締め、その目には怒りが烈火と燃える。 「拳魔様より賜った大命を邪魔するなど……許しません…許しませんよ!! 完膚なきまでにあなた方を叩き潰し、その上で大命、達させていただきます!」 リィンシィィィィィィィズゥゥゥッ…
ガレキが散乱し、粉塵が重々しく漂う。 巨大なクレーターの周囲に、変身を解いた―――否、解けた―――ジャンたちがボロボロの状態で転がっていた。 「うぅ…ぐっ……」 うめき声をあげる3人を、クレーターの中心でミノが嘲笑う。 「ホホホ…他愛ないものですね、激…
「さぁて、第2ラウンドのゴングだぜ!」 威勢のいい啖呵とともに、リュウ…ゲキジャンパーが大地を蹴る。 肉迫する影、それをかわすメレ。すれ違いざまに走る右足。 「…っ!?」 顔を衝撃がかすめ、僅かに傷が刻まれる。 「…ヒューッ」 自分の想像以上に身体…
今は昔、失われたゲキワザのひとつに、“装装鎧”なるものがある。 その概要は、ワザを極め“華麗なる戦いの女神”と称された七拳聖のひとりですら正確に捉え切れていないいにしえのものであり、僅かに、激気を鎧のように「纏う」ということのみが伝わっている程…
一方、リュウとメレの戦いは一進一退の攻防となっていた。 突きが、蹴りが、互いの身体を僅かにかすめ、直接的なダメージを与えきれずにいたのだ。 獣拳使いとして、互いの技術はほぼひっ迫していたと言っていいだろう。 ワザのキレに関してだけ言えば、リュ…
臨獣フリー拳のミノが目的地に着地したのと、ジャンたちがその場に到着したのは、ほぼ同時だった。 「……ふむ、追いつかれてしまいましたか」 「逃がさねえぞ、ノミ野郎!」 ジャンの叫びに気圧されることなく、ミノは臨気を練り無数の針を生み出す。 「仕方…
街では、大小さまざまな爆音と、人々の悲鳴がこだましていた。 その光景たるや、まさに阿鼻叫喚をそのまま顕したかのように。 「リンギ・吸血針(キュウケツシン)!」 逃げまどう人々の首筋に、人差し指程度の針が浮かび上がり、突き刺さる。悲鳴を上げる隙…
「俺、漢堂ジャン! 激獣タイガー拳だッ!!!」 名乗るが早いか突貫してくるジャン。 「うりゃあっ!」 アンブレイカブル・ボディの異名に違わぬパワーを纏った拳が飛ぶ。 その威力たるや、掠められた頬が、十二分に実感していた。 (…でけぇ!) 荒削りな…
「…僕がお相手しますっ」 続いて名乗りを上げたのはレツ。 「ファンタスティック・テクニック…激獣ジャガー拳・深見レツ!」 「よし、こい!」 リュウの声に、レツが宙を舞う。 「ゲキワザ・花花弾!」 「おおっと!?」 流水のようにゲキトンファーを操り、…
トレーニングルームに移動した4人。ど真ん中に立つリュウを中心に、ジャン達はトライアングルを作って取り囲む。 「さァて。マスターに言われたからにゃ、手加減無しでいかせてもらうぜ」 「もちろんです!」 リュウの言葉に、レツが声を張り上げる。 「い…
「こちら、跳多リュウ(トビタ・リュウ)くん。あなた達と同じ、激獣拳使いで、スクラッチの特別開発室所属アスリートとしても登録されているの」 「よろしくな」 気さくに声をかけるリュウに、ジャン、レツ、ランもそれぞれ応える。 「…それにしても、社員…
今日も今日とて、スクラッチではジャン、レツ、ランの3人が修業に明け暮れていた。 「にゃーっ!」 奇声を上げてゲキヌンチャクを振り回すゲキ。その後ろではメレの動きをトレースさせたロボタフを相手に、レツとランが組み手をしている。 「頑張ってますね…
「…5年ぶり、だね」 空を見上げて、“彼”は呟いた。 「マスターや美希姐さん、元気してるかな? なつめっちも大きくなったろうな~」 くくくっ、と含み笑いを浮かべて。 「よし、そんじゃま久々に、古巣に戻るといたしましょうか♪」 肩に引っ掛けた布袋を揺…