炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【ARCHAIC ACTION】シーン11

ぐぬぬぬぬ……」
 ミノが拳を握り締め、その目には怒りが烈火と燃える。
「拳魔様より賜った大命を邪魔するなど……許しません…許しませんよ!!
 完膚なきまでにあなた方を叩き潰し、その上で大命、達させていただきます!」

 リィンシィィィィィィィズゥゥゥッ!!!

 激昂の雄叫びが、無数のリンシーを喚びだす。

「さてと、本番前のウォーミングアップだ。かるくながすぜっ!」
 ふわり、とリュウの激気が大気を揺らす。と、刹那にしてその姿が掻き消え―――

  ドォォォォォォン!!!

 次の瞬間、敵の只中に飛び込んだリュウのローリングソバットが群れを蹴散らした。


「……あれでながしてるんだ」
 リュウのあばれぶりに、ランが感心半分、驚き半分で呟く。
「俺たちも行くぞ、ラン、レツ!」
 そんなリュウに即発されたのか、ジャンも腕をぐるぐる廻して敵陣に突っ込み、二人もそれにならう。
「一気に行くぜぇぇぇっっ! ゲキヌンチャクッ!」
 激気を纏ったヌンチャクが唸りをあげて回転し、リンシーズを弾き飛ばす。
「やぁぁぁっ、はっ!」
 ロングバトン形態のゲキトンファーを振り回すイエローが、
「はっ、はっ、は・は・は・たぁっ!」
 ゲキトンファーを巧みに操り、ブルーが、確実に雑兵を捌いていく。

 そして、リュウは…

「邪魔すんじゃねえ、だらぁぁぁぁ!」
 群がる敵を力技でねじ伏せふっ飛ばし、ミノに肉迫する。
「そりゃああ!」
 鋭いハイキックを浴びせるリュウだったが、ミノもすかさずハイキックを繰り出し、両者の脚が激しくぶつかり合う。
「キサマだ! キサマの存在がなければ! 大命も!苦なく!成せたものをッッ!!!」
「知るか。お前らのそーいうのを止めるのが俺たち激獣拳だ」
 脚を下ろすと同時に、今度はミドルキックを放つ。しかし同じく放たれたミノのミドルキックがそれを阻んだ。
「許しませんッ!許しませんよキサマだけはぁぁっ!!!」
「別に許してもらうために来たわけじゃねえから…なっ!」
 再び衝撃。次はローキック同士がカチ合う。
「ふっ!」
「はぁっ!」

「リンギ・大爆脚!」
「ゲキワザ・弾弾脚!」

 両者の大技が激突する! ぶつかり合った気が衝撃波を纏い、周囲で戦っていたリンシーズを根こそぎ薙ぎ払った。

「へっ…なかなかやるなノミ野郎。足技に関しちゃ互角ってトコか?」
「互角だと? …ならば私の方が上ですよっ!」
 そう言いながら、ミノが強靭な脚を以って跳ぶ。
「超爆脚がくる! リュウさん、離れて!」
 レツの言葉に、リュウが身構える。
「フン、超爆脚など子供だましに過ぎませんっ。秘伝リンギ―――」




 黒死・遍朱刀(こくし・ぺすとう)!




 足先から血のように赤黒い刃が飛び出し、カカト落としの要領で振り下ろされる。
「何!?…ちぃっ!」
 咄嗟に躱すリュウ、その胸を刃が僅かにかすめ…ると同時に装甲が裂け、激痛が走る。
「ぐあぁっ!?」
「フフフ…どうです? リンギ・吸血針によって奪った血液を超凝縮して生み出した刃のお味は??」
 つま先から目元の高さにまで達する長い剣、その切先をいとおしそうに撫でながらミノが享楽に微笑む。
「おかげでもう一度血を集めなければならなくなりましたが。ここでキサマラ全員を斃してしまえば誰も邪魔することなく血を集めることも出来ましょう。……さぁ、死に逝く覚悟は出来ましたかッ!?」
 言うが早いか飛び出し、リュウに血刀の切先を連続して突きつける。
「くっ、さっきよか早ぇ!」
 その威力を身をもって味わっているリュウは全力でそれを躱すが、次第にそのスピードに追いつかれてしまう。
「さぁ、逃しませんよ…! 秘伝リンギ・哀闇命澱(あいあんめいでん)!!!」
 ミノの驚異的な脚力からもたらされる連続蹴りが、刃と共にリュウに迫る。

「逃げろ、リュウ!」
「こんにゃろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
 ジャンの叫びに反し、リュウは敢えて自ら刃の暴風雨の中へと突っ込んでいった。


  -つづく-


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 哀闇命澱…言うなればリンギ版百烈キッ…げふんげふん(ぇ

 一方、黒死遍朱刀の元ネタはかつて猛威を振るった黒死病・ペストがネズミノミが媒介になっていたことから。

 当方、こーいう当て字系の固有名詞考えるのが病的なまでに苦手なんですが、いい感じにネタが浮かんでラッキーでござんした♪