「俺、漢堂ジャン! 激獣タイガー拳だッ!!!」
名乗るが早いか突貫してくるジャン。
「うりゃあっ!」
アンブレイカブル・ボディの異名に違わぬパワーを纏った拳が飛ぶ。
その威力たるや、掠められた頬が、十二分に実感していた。
(…でけぇ!)
荒削りながらも、そのポテンシャルの高さに、リュウは内心驚愕する。
「ハッ、ハッ、だりゃーっ!」
立て続けに連撃を繰り出すジャン。しかしリュウはそれらすべてを紙一重でかわす。
「にゃーっ! 逃げるな!」
「無茶言うな!」
とはいえ、かわしてばかりでも手合わせにならない。リュウが反撃に転じた。
「せいっ!」
前方に蹴り上げた足刀がジャンの胸板を直撃する。
「だぁっ!」
が、ジャンは微動だにせず、反撃を許してしまう。
「ぬお!?」
一瞬怯んだが、その程度で体勢を崩すほどではない。
「…よぉし、これで!」
リュウが構えなおし、突撃する。
「ゲキワザ!」
咄嗟に防御するジャンに、リュウの拳が…
「…猫騙し」
炸裂しなかった。
「んにゃ!?」
眼前ではじけた音に、ジャンが目を白黒させる。
「あらよっと!」
怯んだ隙を突いて、ジャンの側頭部にソバットを繰り出す。
「んぐっ!」
「まだまだっ!」
ジャンのタフさを考えれば生半可な攻撃はそうそう通用しない。
(なら…なるべく多くの隙を作って…弾弾脚を叩き込むッ!)
「せりゃぁ!」
蹴りを、突きを、多彩なフェイントを交えながら、ジャンをかき混ぜる。
「にゃー! だましてばっかずりーぞ!」
「ジャン、フェイントよ!」
「ちゃんとした戦術だ! しっかり見極めるんだ!」
イライラするジャンに、ランとレツが助言する。
「もらった!」
そしてその隙を、逃すリュウではもちろんない。
「ゲキワザ・弾弾脚ッ!」
全力の飛び蹴りを浴びせる―――
「ンならぁ!」
が、その足を素手で受け止められた。
「何ぃっ!?」
「おぉぉぉぉりゃああああ!」
そのまま力任せに放り投げられる。
「な、なんつーデタラメなやっちゃ…!」
かろうじて受身を取るが、今度はジャンが肉迫してくる。
「ハァーッ、ヤァッ!」
「うおっ!」
重い蹴りを床を転がって回避する。
(マスター・シャーフ…あなたって人は…すげぇヤツを弟子にしたモンですよ…!)
ニィ…と、リュウの顔に笑みが宿る。
「小細工抜きだ! こい、ジャン!」
「おおおおお!」
「「りゃああああああああ!!!」」
ジャンの拳と、リュウの蹴りが激突する―――
「―――!! ゾワゾワだ!」
その刹那、拳が寸前で止まった。
「臨獣殿!?」
ランの問いかけにジャンは大きく頷き、そのまま走り去る。レツとランもそれに続いた。
「…って、ちょ、おま…待てコラ!」
ひとり置いてけぼりにされたリュウが、慌ててそれを追いかけた。
-つづく-
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結局勝負つかずかよ! Σ( ̄□ ̄;
さて、今度はオリジナルの臨獣拳士だ…
…うん、もう考えてるw
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