また一機が、ユウキの目の前で失速し、墜落していくのが見えた。
「嘘だろ…」
呆然と呟くユウキ。
と、機首の様子がおかしいことに気付く。
呆然と呟くユウキ。
と、機首の様子がおかしいことに気付く。
「脱出装置が作動してないのか!?」
マズイ。
考えるより先に体が動き、その指がバイクのキーを捻り、エンジンを噴かせた。
*
「…良かった、機体は無事か…」
現場にたどり着いたユウキが、安堵の息を漏らす。が、楽観視はしていられない。パイロットが無傷とも限らないからだ。
機体によじ登り、キャノピーごしに中を見る。ヘルメットを被った頭がぐったりしていた。
「ええと、強制排出のロックは…」
D.R.A.G.O.N.の正隊員を目指すべく勉強していた知識を以って、キャノピー周りを探る。ほどなく小さなスイッチを見つけ、隠し蓋を開くと、中のレバーを一気に引き抜いた。
現場にたどり着いたユウキが、安堵の息を漏らす。が、楽観視はしていられない。パイロットが無傷とも限らないからだ。
機体によじ登り、キャノピーごしに中を見る。ヘルメットを被った頭がぐったりしていた。
「ええと、強制排出のロックは…」
D.R.A.G.O.N.の正隊員を目指すべく勉強していた知識を以って、キャノピー周りを探る。ほどなく小さなスイッチを見つけ、隠し蓋を開くと、中のレバーを一気に引き抜いた。
空気の抜ける音が盛大に響き、ややあってキャノピーが開く。
「む…」
近くの木にもたれさせると、程なくパイロットが意識を取戻した。ヘルメットを外すと、白髪交じりの壮年の男性。
ユウキも良く知っている顔だった。
「クドウ隊長!?」
「ん…? ああ、君は確か…毎年試験を受けに来てくれていた……」
クドウの方も記憶にあったのか、ユウキの顔を見て微苦笑した。
近くの木にもたれさせると、程なくパイロットが意識を取戻した。ヘルメットを外すと、白髪交じりの壮年の男性。
ユウキも良く知っている顔だった。
「クドウ隊長!?」
「ん…? ああ、君は確か…毎年試験を受けに来てくれていた……」
クドウの方も記憶にあったのか、ユウキの顔を見て微苦笑した。
「やれやれ、みっともないところを見せてしまっているようだ」
「そんな。隊長や、D.R.A.G.O.N.の皆さんは精一杯頑張っています」
「いや、頑張っているだけで人は守れんよ。結果を出せなかった、これは我々の落ち度さ」
んぐっ、とクドウが表情をゆがめた、被弾のときに何かが刺さったのだろうか、彼の腹部が血に汚れていた。
ユウキは着ていたTシャツを破き、包帯代わりにしてクドウの腹に巻きつけた。
「僕に負ぶさってください。ここを降りて、病院へ行きます」
「いや…」
ユウキの申し出を断り、クドウは自らが乗ってきていたドラゴンフェザーを指差す。
「もし、君にその気があるのなら……アレに乗って、怪獣と戦ってくれないか?」
「ええっ!?」
意外な言葉に、ユウキが目を丸くする。
「筆記試験は惜しかったが、実技でなら君はほぼパーフェクトのスコアを叩き出している。君になら、アレを乗りこなせることが出来るだろう」
「で、でも…それはあくまでシュミレーターでの記録であって…」
躊躇するユウキ。クドウの言葉は願っても無いものであったが、この緊急時に聞いて、手放しに喜べるものでもなかった。
「…このまま、あの怪獣を野放しにしておくわけにはいかん…だろう?」
頷くユウキ。
「幸いにして、あのドラゴンフェザーは飛行に支障が出るほどのダメージは受けていない。君の腕なら苦も無く動かせるはずだ」
脱がされたヘルメットをユウキに託すクドウ。
「勝手なことを言っている自覚はある。だが、背に腹は代えられん。…頼まれて、くれないか?」
……ユウキが、クドウの目を見る。
「そんな。隊長や、D.R.A.G.O.N.の皆さんは精一杯頑張っています」
「いや、頑張っているだけで人は守れんよ。結果を出せなかった、これは我々の落ち度さ」
んぐっ、とクドウが表情をゆがめた、被弾のときに何かが刺さったのだろうか、彼の腹部が血に汚れていた。
ユウキは着ていたTシャツを破き、包帯代わりにしてクドウの腹に巻きつけた。
「僕に負ぶさってください。ここを降りて、病院へ行きます」
「いや…」
ユウキの申し出を断り、クドウは自らが乗ってきていたドラゴンフェザーを指差す。
「もし、君にその気があるのなら……アレに乗って、怪獣と戦ってくれないか?」
「ええっ!?」
意外な言葉に、ユウキが目を丸くする。
「筆記試験は惜しかったが、実技でなら君はほぼパーフェクトのスコアを叩き出している。君になら、アレを乗りこなせることが出来るだろう」
「で、でも…それはあくまでシュミレーターでの記録であって…」
躊躇するユウキ。クドウの言葉は願っても無いものであったが、この緊急時に聞いて、手放しに喜べるものでもなかった。
「…このまま、あの怪獣を野放しにしておくわけにはいかん…だろう?」
頷くユウキ。
「幸いにして、あのドラゴンフェザーは飛行に支障が出るほどのダメージは受けていない。君の腕なら苦も無く動かせるはずだ」
脱がされたヘルメットをユウキに託すクドウ。
「勝手なことを言っている自覚はある。だが、背に腹は代えられん。…頼まれて、くれないか?」
……ユウキが、クドウの目を見る。
男の、目であった。
「…………はい」
そして、その目を前にして断るなど、ユウキの“男”が許しはしなかった。
ヘルメットを受け取り、ドラゴンフェザーの機首にしがみつく。
「ちょっと、そこのあなた!!」
と、背後から大声が飛んできた。振り返ると、IRFのレスキュー隊員だろうか、見慣れない制服姿の女性が立っていた。息切れしているところを見ると、走ってきていたらしい。
「何勝手に乗り込んでいるの! それは一般人が触っていいものじゃないわよ!」
「頼まれたんだ! そこのクドウ隊長に!」
「頼まれたんだ! そこのクドウ隊長に!」
ユウキの声に、女性は「え!?」と驚き、ユウキが指差した先でうずくまるクドウの姿を見て、慌ててそちらに駆け込んだ。
「…って、だからってライセンスも持ってないあなたが乗っていいわけじゃないでしょう!?」
直ちに降りなさい! となおも叫ぶ女性。
「確かに持ってない。D.R.A.G.O.N.の採用試験も、こないだ落ちたばっかりだし…」
でも! とユウキが叫ぶ。
「男と男の約束をした! だから!」
そう言い残し、コックピットに滑り込むユウキ。同時にキャノピーが閉まり、エンジンが駆動を始める。
外からまだあの女性隊員が喚いていたが、ユウキの耳には届いていなかった。
何度も何度も読み返したマニュアルを脳内で反芻し、着々と起動シーケンスを進めていく。
「…よし、これでいけるはずだ」
ふぅっ、と深呼吸し、気合を腹に溜め込む。
「ドラゴンフェザー、発進!」
爆音を轟かせ、竜の翼が再び空を舞った。
-つづく-
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約1年半ぶりの更新…もうアホかとorz
プロットは書いておかないとストーリーを忘れてしまう恐れがある反面、いつでも書けるわーとか思って放置してしまう原因になるなぁ…
…いや、単に俺のサボり癖なだけなんですが。
まぁ、当分1日1本執筆奏上計画が続くので、否が応にも書くことにはなりますけどねw
さて、こっそりマックスの展開をパロりつつ(ォィ)、戦場に赴くユウキ。戦いの行方やいかに。