炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【必殺!】異伝・仕事人相対/第8場

「おお! やりやがったやりやがった! いやぁ、強ぇなおめえら!」
 涼次が感嘆の声を上げる。
「あんな得体の知れねえバケモン相手に圧倒的ってヤツだな。…にしても、最後にあのバケモンぶっちめたアレ、すげぇな…。カラクリの類か? なぁ源太、アレ作れねえか?」
 無茶な注文をつける涼次と困惑する源太を尻目に、シンケンジャーの様子をじっと見つめる小五郎と主水。

「…ん、どうしたってんだよ?」
 その二人に声をかける涼次だったが、その雰囲気におもわず息を呑む。

「…まだ、終わっていない」
「…あぁ」

 低く呟く小五郎と、うなづく主水。その視線の向こうにたたずむ、五人の侍。


「……来る!」

 レッドが声を発した刹那、地面が大きく揺れた。

「な…?」
「え…?」

 そして、目の前で起こった事態に、言葉を失う涼次と源太。

「で、で、…でっかくなりやがったぁぁ!!?」

 涼次の驚きの言葉通り、先ほど倒されたはずの怪物が巨大化して、江戸の町を見下ろしていた。

「って、なんでだよ! あのバケモン、さっきあいつらが倒したばっかだろ?」

「アヤカシは命を二つ持ってんのさ」
 驚く涼次にグリーンが説明する。
「さっき俺たちが倒したのが“一の目”んで、アレが“二の目”ってヤツだ」
「あんなの相手にどうやって戦うってんだよ…いくらおめえらが強ぇったって、あんなデカブツどう相手にするんだ?」

「……無論、そのための備えもある」
 レッドが、どこからともなく印籠のようなものを取り出した。形状は五角形で、赤く「火」の文字が刻み込まれていた。

「行くぞ!」
『御意!』

 同じように印籠くらいの大きさの調度品を手にした四人が、レッドとともにそれをおもむろに地面に置いた。

「…?」

「折神大変化!!!」

 調度品に、ショドウフォンで<大>の文字を書き、モヂカラを送り込む。と、5つのそれは見る間に大きくなり、動物を象った姿に変わる。

「な…なんじゃあありゃあ!?」

 目を見開く涼次。目の前で巨大な動物を模したカラクリ…<折神>が夜の江戸を闊歩していた。

 わらわらと巨大化したアヤカシにとりつき、思い思いに攻撃を加える。

『ええいっ、邪魔だ!』
 じたばたと動き、文字通り折神をけちらす。転がった折神たちは一転して元の調度品の形に戻り、ダメージを受け流した。

『はっ!』
 真紅の体躯を跳ねさせ、<獅子折神>が宙を舞い、その姿を五角形に変える。
『五角!大火炎!!』
 レッドの声が江戸の空気を震わせ、真紅の炎を纏った火の紋章が<ウロミタマ>の体に強烈な衝撃を与えた。

『ごわあっ!!』
 おもわずもんどりうつ<ウロミタマ>が、派手にしりもちをついた。

「アレが…あいつらの切り札か」

 小五郎も驚きを隠せないのか、その言葉尻が震えている。

「お…俺ぁもう驚かねーぞ……」

 こめかみにジト汗を浮かべながら、涼次が呟いた。


『行くぞ皆…<侍合体>ッ!!!』

 <獅子折神>の中で、レッドがショドウフォンを振るう。


 刻まれた文字は……<合>の一文字であった。


   -つづく-


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 二の目登場と、折神のお披露目。
 ビルのない江戸の大空は気持ちよさそうだなぁ、亀とか龍とか。

 ちなみに、夜なので暗いと思われそうですが、月明かりとか星明りでそれなりに見えるんだと思います。
 江戸時代、地上はそんなに明かりがハデじゃなかったですからね。


 月明かりにはシンケンオーとかかなり映えると思うんですが、どっすか?

 はっ、これはシンケンオーが円月殺法とか繰り出すフラグ…?(ンなこたーない