「―――なに、これ?」
力を貸して欲しい、そう言った通之介が指差した先をまひるが見ると、目の前で分厚いハードカバーの本がぷかぷかと浮いていた。
表紙に何かタイトルのようなものが刻まれていたが、見たこともない文字で描かれたそれは、まひるのは読めようもない…はずだった。
「<シュ・ヴェルト>?」
「やっぱり読めるのか!」
「やっぱり読めるのか!」
驚く通之介。驚きたいのはこっちよ…と心の中で突っ込むまひる。通之介に促され、ぱっと開くと、これまた見たことのないはずの読める文字が所狭しと並んでいた。
「…読めるか?」
「…うん。何でかわかんないけど。ってかこれなに?」
「魔道書さ。この聖魔甲冑(エンチャントアーマー)、<シュ・ヴェルト>のな」
「…うん。何でかわかんないけど。ってかこれなに?」
「魔道書さ。この聖魔甲冑(エンチャントアーマー)、<シュ・ヴェルト>のな」
そこでいったん言葉をとめた通之介の眼が鋭くなる。腕に力をこめると、手をかざしていた赤い球体が輝き、シュ・ヴェルトの巨体を跳ばせた。
「細かい説明は後だ! まずは……2487ページ!」
「ええ? そんなページ数あるのこれ!!? つかそんないきなり言われてめくれないわよ!」
「大丈夫だ! ページを思い浮かべれば勝手に開いてくれる!」
「ええ? そんなページ数あるのこれ!!? つかそんないきなり言われてめくれないわよ!」
「大丈夫だ! ページを思い浮かべれば勝手に開いてくれる!」
半信半疑ながら、言われたページ数を頭に浮かべるまひる。果たして開かれた本がぱらぱらと紙を波打たせると、ぴたっととまった。隅に記載された数字は、確かに2487ページを記していた。
「開けた…」
「読んでくれ!」
「ええと―――」
「読んでくれ!」
「ええと―――」
「<ドラッツェン=フリューゲル・レツス>!!」
通之介が叫ぶと、シュ・ヴェルトの背部にあった翼のようなパーツが動き、右手のそばに寄る。それを掴み、抜刀するかのごとく引き出すと、それは巨大な刀身をたたえた剣であった。
「な……ちょっと! あんな武器あるならなんでいままで……」
「使えなかったんだよ! 俺だけじゃ、こいつはただ動くことしかできない。俺は魔力はあるけど<魔法>は使えないんだ。そして、エンチャントアーマーは魔法で初めて戦う術を得ることができる」
「使えなかったんだよ! 俺だけじゃ、こいつはただ動くことしかできない。俺は魔力はあるけど<魔法>は使えないんだ。そして、エンチャントアーマーは魔法で初めて戦う術を得ることができる」
剣を構え、シュ・ヴェルトが横薙ぎに振るう。ごう、と風が巻き起こり、それを纏った斬撃がボーンゴーレムの肋骨を捉えた。
「よしっ、これなら―――」
「よしっ、じゃない!」
「よしっ、じゃない!」
履いていたサンダルで通之介の頭をはたくまひる。
「ってーな! なにすんだよ!」
「こっちのセリフよ! さっきも言ったでしょ! 街中で暴れないでって!」
「こっちのセリフよ! さっきも言ったでしょ! 街中で暴れないでって!」
その言葉に、通之介がはっとなる。ふと下を見ると、砕けたボーンゴーレムの破片が瓦礫と化し、家屋を傷つけていた。
「……解った?」
「ご、ごめん…」
「わたしにあやまってもしょーがないでしょうが」
「ご、ごめん…」
「わたしにあやまってもしょーがないでしょうが」
憤るまひるに、しゅんとなる通之介。
「とにかく! あのバケモノほっとくわけにも行かないんでしょ? あっちで戦って!」
そう言ってまひるが指差した場所は、彼女が通う高校であった。
「グラウンドもそこそこ広いから、多少の無茶は利くはずよ……多分だけど」
「わ、わかった」
そう言ってまひるが指差した場所は、彼女が通う高校であった。
「グラウンドもそこそこ広いから、多少の無茶は利くはずよ……多分だけど」
「わ、わかった」
剣を元の場所に戻し、通之介がシュ・ヴェルトを動かす。しりもちをついていたボーンゴーレムの体をがっちりと抱え込んで、まひるに別のページを開くように指示する。
「これね」
感覚的に<魔法>を使うのがわかってきたのか、先ほどよりは幾分流暢になった朗読…詠唱が、シュ・ヴェルトの体を宙に浮かべさせる。
「と、飛んだ?」
「一気に行く! 舌噛むから、口閉じて! <フリィゲ>!」
「一気に行く! 舌噛むから、口閉じて! <フリィゲ>!」
背中の翼が風を呼び、シュ・ヴェルトが飛翔した。
-つづく-
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我ながら迷走してきた感が(何
もしかしてスランプですかぁ~!!?
もしかしてスランプですかぁ~!!?
ちなみに、シュ・ヴェルトの持つ武器はアレだけにとどまりません。お楽しみに?