分厚い雲に覆われ、文字通りの闇夜が訪れる。
南の管轄のはずれ、建設途中で放棄されたビルの中に、彼はいた。
南の管轄のはずれ、建設途中で放棄されたビルの中に、彼はいた。
その全てに<陰我>を有し、<ゲート>と化したそれは、瘴気を溜めに溜め込み、いつホラーが現れてもおかしくない状態になっていた。
『…譲一郎』
「おう」
譲一郎と呼ばれた男が、眼帯を外す。その下には、本来あるべき右目が無く、ソウルメタル製の髑髏を模したアクセサリが埋め込まれていた。彼のパートナーたる魔導具<ナラカ>である。
旧き魔戒語で<視線>を意味するそれが、じっとゲートに視線を注ぐ。
やがて、ゲートが活性化し、そこからわらわらとホラーが現出しはじめた。
「おう」
譲一郎と呼ばれた男が、眼帯を外す。その下には、本来あるべき右目が無く、ソウルメタル製の髑髏を模したアクセサリが埋め込まれていた。彼のパートナーたる魔導具<ナラカ>である。
旧き魔戒語で<視線>を意味するそれが、じっとゲートに視線を注ぐ。
やがて、ゲートが活性化し、そこからわらわらとホラーが現出しはじめた。
「ひのふの……ざっと30ってとこか」
譲一郎の口元が享楽に嗤う。黒衣から大降りの魔戒剣を取り出し、その鞘を抜き捨てた。
「ホラー共……まとめて俺が喰らってやる……!」
*
―――時間にして、おおよそ90秒。
<タイムリミット>ギリギリをもって、ホラーの群れを全て屠った譲一郎が、息一つ乱さず佇んでいた。
「……フン」
鼻を鳴らし、纏っていた鎧を返召する。
「癒えん…な」
右手を数度握ったり開いたりを繰り返し、呟く。
なまじ相手にしたのが素体ホラーばかりであったからなのか、譲一郎は不完全燃焼であるらしかった。
戯れに数体、抜け殻のゲートに憑依させ強化を図ったものの、それですら足りない。
戯れに数体、抜け殻のゲートに憑依させ強化を図ったものの、それですら足りない。
『やはり、自然に現れるのを待ったほうが良いのではないか?』
「俺を飢えさせる気か、ナラカ?」
『…まずい飯をこまごまと喰うより、うまい者をたらふく喰ったほうが良いと思うがな』
「俺を飢えさせる気か、ナラカ?」
『…まずい飯をこまごまと喰うより、うまい者をたらふく喰ったほうが良いと思うがな』
ため息混じりに呟くナラカを無視して、眼帯を付け直す。
『どこへ?』
「寝る」
「寝る」
思うままに戦い、思うままに喰らい、思うままに寝る。
それは、人が久しく忘れている<本能>と呼べるものであろうか。
『寝るのも結構だが、その前に武器の浄化をすべきだな』
「…やれやれ、面倒くせぇな」
懐から取り出した胡桃を噛み砕きながら、譲一郎が再び魔戒剣を取り出した。
「…やれやれ、面倒くせぇな」
懐から取り出した胡桃を噛み砕きながら、譲一郎が再び魔戒剣を取り出した。
-つづく-
--------------------------------
緑青騎士・咎牙<トガ>こと、呉桐穣一郎。
中の人のイメージは…やっぱエンケンさんこと遠藤憲一かなぁ。
湯けむりスナイパーとかあんまり見なかったけどシブすぐる。
あの眼光が出せる俳優さんはそうそういないと思うよ。
中の人のイメージは…やっぱエンケンさんこと遠藤憲一かなぁ。
湯けむりスナイパーとかあんまり見なかったけどシブすぐる。
あの眼光が出せる俳優さんはそうそういないと思うよ。
しかしなんだこのナイスミドルコンビw