炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

仮面ライダーBLOOD:第2幕/第3場

 背中にちくちくと突き刺さる感覚を覚えながら、エイジはひたすらに歩く。

 やがて、人気の無い開けた場所に出る。閉店したはいいが、次の当てがなく廃ビルと化したスーパーの跡地であった。

「…あら、デートスポットにしては気の利かないチョイスねぇ?」

 妖艶な女性の声が背中を這う。振り返ると、タイトなイブニングドレスに身を包んだ妙齢の女性が佇んでいた。

「……この間の蟷螂の仲間か」
「まぁ、そんなところかしらねぇ?」

 ちろり、と赤い舌を出して笑う。

「ということは、お前も俺を連れ戻しに来た……」
「そーいうこと」

 その姿が“ブレ”はじめ、女性の姿が、蟷螂を模したそれに変わる。

「…!」
「おとなしく着いてきてくれればいいんだけれど…そうもいかないんでしょう?」
 手にした2本の鎌を器用に回し、その切っ先をエイジに向ける。

「くっ…」
「大丈夫よ…ちょっと手足を切り取って、おいしくいただいちゃうだけだから……」

 蟷螂の眼が、享楽に光る。刹那、その姿が掻き消えた。

「!」
 否、驚異的なスピードで以って肉薄してきた。
 咄嗟に両手を突き出し、刃を止める。鈍い金属音が走り、エイジの掌の表皮を剥いだ。

「あらあら…さすがは<ジェノサイドロイド>…頑丈ねぇ?」
「くっ…」

 強い…素直にその感情が頭をよぎる。

(今のままじゃ太刀打ちできない……どうすれば…?)

 ……と、先日の蟷螂男との戦いを思い出す。

(俺も……“変われる”なら……“変われば”……!)

 後方に跳び、蟷螂女と距離をとる。

「…ふんっ」
 
 地を掴まんばかりに足をしっかりとつけ、腹に力をこめる。

「うおおおおおおおおおっ!!!」

 先の戦いを思い出しながら、“変身”した自分自身の姿をイメージする。

(怒れ!怒れ! あのときのように……俺の姿を…変えろ……っ!!!)

 しかし、あわ立った感情が体温を僅かに上げるのみで、その体に変化は起こらない。

(!? 変わ……れない?)

「曲芸は終わりかしら?」

 耳元で声がした刹那、銀色の軌跡が目の前に迫る。咄嗟に頭を低くし交わしたが、次の瞬間足を払われ、コンクリの床を転がった。

「ぐはっ!」

「ふぅん…どうやら、変身がコントロールできないみたいね。もし変身されたらちょっとヤバかったかも」

 よろよろと立ち上がるエイジに、蟷螂女が意地悪そうに微笑んだ。



   -つづく-


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 もともと怒りがキーになる、というのはまぁありがちですよねw
 今回は「七星闘神ガイファード」の序盤を少し意識してみますた。

 変身シーンのお披露目はもうちょっと先になるかなw

 さて、変身できないエイジはどう動く…?