炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【ウルトラSS】ULTIMATE CROSS SCRAMBLE!!/シーン4

 ダッシュマザーから赤と青の翼が放たれる。

 赤い機体…カイトとミズキが乗るダッシュバード1号はグランゴンを、コバとショーンが乗る青い2号はラゴラスを、それぞれ追って行く。
 残ったダッシュマザーを、巡航形態から戦闘形態へと変形させ、操縦桿を握るヒジカタが未確認の怪獣へと近づく。

「エリー、怪獣の映像と周辺のデータを送る。過去のデータに似たような個体が存在しないか洗いなおしてくれ」
『了解』

 ダッシュマザーのカメラが捕らえた映像を受信し、エリーの眼が電子の情報の波を映し輝く。

『……閲覧完了。該当するデータは存在しません』
「そうか…やはりアンノウン…」

 出現時の様子を思い出す。空が割れ、その向こうの真紅の空間から現れた怪獣。

 過去にも、異空間から怪獣が現出した例はある。恐らくはその類だとは思われるが……

クラウドスの同属でもない、か……」
 だとすれば、一体何なのか。
 ふと、頭部を見る。全体的に生物然とした……怪“獣”なのだからさもありなんだが……体躯のなか、頭部だけが妙に人為的なデザインラインを感じた。
「何者かの手が加えられているのか…?」

 周囲を旋回しながら、ヒジカタは首をひねった。


   *


『こちらダッシュバード1号。グランゴンを肉眼で確認』
ダッシュバード2号、同じくラゴラスを視認!』

 現着した2機から通信を受けるダッシュマザー。

「了解した。各機、攻撃を開始! 二体を絶対に近づけるな!」

 了解の意を伝え、ダッシュバードが攻撃形態へと変形する。

「アロービーム、発射!」
「電磁プラズマ砲、発射!」

 科学力の粋を集めた一撃が、二大怪獣に浴びせられる。直撃を受け、ラゴラスとグランゴンが怯んだ。

「よしっ、このまま一気に…!」
「マって! ナンカ様子がヘンだヨ!?」
 追撃を試みようとしたコバをショーンが止める。

「これは…?」
「グ、グランゴンが走り出した!?」
 一方でカイトとミズキも目を丸くした。

 突然、何かに打たれたように目をしばたかせたと思うと、ラゴラス、グランゴンともに急に走り出したのだ。

「まさか、お互いの位置に気づいた!?」
「とめなきゃ!」

 慌てて旋回し、怪獣を追うダッシュバード。ありったけの弾薬を叩き込むが、そのスピードは衰えない。

「このっ!このっ! 止まりやがれ!!!」
「オカシイよ! あれだけ傷だらけになってもスピードが落ちない!?」

「エリー!」
『移動先予測……両怪獣とも、アンノウンを目指しています』
「なんだって?!」

 サブモニタに、ダッシュバードの位置を照らし合わせる。直線距離上では、互いに直進したほうがすぐに接触できるはずのラゴラスとグランゴンが、遠回りをしてまでアンノウンのほうへ向かっているのがわかった。

『隊長、アンノウンに異常反応』
「なにっ!?」
 気づくと、アンノウンが背中の翼に似た器官を広げ、ぶるぶると震わせていた。
『背中の器官から、未知の音波、電磁波を放出しています。おそらく、ラゴラスとグランゴンは、それに引き寄せられているものと思われます』
「こいつが…怪獣達を呼び寄せている……?」

 いったい何者なんだ。
 ヒジカタが、知らず溜まった唾を飲み込んだ。


   -つづく-


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 今回登場のアンノウン…オリジナルの「超獣」ですが、そろそろ素体となっている怪獣の正体が、分かる人は分かってきたんじゃないかなァ…?w

 あえてヒントは出しませんが(まさに外道

 ラゴラス、グランゴンを呼び寄せる超獣の目的とは…

 待て次回!