炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【アギト×イナズマン】Fight for FREEDOM/シーン3

―――警視庁・未確認生命体対策班<SAUL>

 現代の持ちうる総ての科学技術。その粋と言うべき、人類の守護者。対未確認生命体用強化服<G3-X>。

 その装着員である氷川誠は、眼前の異形……イナズマンを眼部・レッドアイザー越しににらみ付けた。

「そんな…バカな」

 先だって放ったサブマシンガン<GM-01/スコーピオン>の弾丸は、見えない壁に阻まれ、相手に届くことはなかった。

『落ち着きなさい氷川くん。相手はアンノウンよ。過去に同じような能力で銃弾を防いだ例もあるわ』

 スピーカーから、凛と張りあがった女性の声が響く。彼が所属する<G3ユニット>の班長、小沢澄子のものだ。

「りょ、了解。接近戦に移行します!」

 GM-01をホルスターに戻し、傍らのバイク<ガードチェイサー>から超高周波振動ソード<GS-03/デストロイヤー>を取り出し、右腕に装着する。

「ハッ!」

 イナズマンに肉薄し、ソードを振り下ろす。ぶぅん…と唸りをあげた刀身は、イナズマンにあっさりと躱され、むなしく空を切った。

「こ…のぉ!」

 それでもあきらめず、間合いをつめ、斬撃をくりだす。しかし、イナズマンは流れるように攻撃を回避し続けた。

(なんだ…?)

 と、そんなイナズマンに違和感を抱く誠。

 反撃がこないのだ。

 アンノウンと対峙したことが一度や二度ではない氷川だが、毎回のように手痛い反撃を受けてきていた。殊、G3-Xの前身である<G3>の頃は敗戦も多かった。

 しかし、今戦っているアンノウン……蝶の様な蛾のような、それもいままでのアンノウンとは異なる意匠を持った……は、ひたすらに防戦に徹していたのだ。

(アンノウン…じゃないのか?)

 わずかに、そんな考えが頭をよぎる。

(だが…だとしたら?)

『氷川くん!戦闘中にボーっとしない!』
「はっ!」
 思考にとらわれた誠を、スピーカー越しに澄子の声が現実に引き戻す。
 ふと見ると、戦っていたイナズマンは逃走の最中であった。

「逃がすわけには…!」
 再びホルスターから<GM-01>を抜き、撃ち放つ。セミオートで放たれた十数発の弾丸がまっすぐイナズマンの体を襲う…

「…っ!」

 と、それに気づいたのか、イナズマンが振り返って迫り来る銃弾に手をかざした。

 防がれると思われた弾丸は、次の瞬間、いっせいにG3-Xの側を向いた。

「何!?」

 驚きに硬直した体は、避けることもかなわずその銃弾を全身に浴び……

「うわああああっ!!!」

 ダメージこそ抑えられたものの、その衝撃に思わず肩膝をつく。

『氷川くん!? 大丈夫!?』
「だ、大丈夫です…」
 よろよろと立ち上がり周囲を見渡す。アンノウンの姿は影も形もなくなっていた。

「な……なんだったんだ…あれは…?」

 痛みに顔をしかめながら、誠が低く呟いた。


   -つづく-


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 今回は誠くん視点。
 彼らにとってはイナズマンもアンノウンなのですねー。

 既に対峙する相手が「人間」だとわかっているイナズマンは防戦一方。うっかり逆転チェスト使っちゃったみたいですがw

 さて、戦線を離脱したイナズマンこと五郎はいずこへ…?

<2009年09月13日07:28 mixi日記初出>