―――警視庁・未確認生命体対策班<SAUL>
現代の持ちうる総ての科学技術。その粋と言うべき、人類の守護者。対未確認生命体用強化服<G3-X>。
その装着員である氷川誠は、眼前の異形……イナズマンを眼部・レッドアイザー越しににらみ付けた。
「そんな…バカな」
『落ち着きなさい氷川くん。相手はアンノウンよ。過去に同じような能力で銃弾を防いだ例もあるわ』
スピーカーから、凛と張りあがった女性の声が響く。彼が所属する<G3ユニット>の班長、小沢澄子のものだ。
「りょ、了解。接近戦に移行します!」
GM-01をホルスターに戻し、傍らのバイク<ガードチェイサー>から超高周波振動ソード<GS-03/デストロイヤー>を取り出し、右腕に装着する。
「ハッ!」
「こ…のぉ!」
それでもあきらめず、間合いをつめ、斬撃をくりだす。しかし、イナズマンは流れるように攻撃を回避し続けた。
(なんだ…?)
と、そんなイナズマンに違和感を抱く誠。
反撃がこないのだ。
アンノウンと対峙したことが一度や二度ではない氷川だが、毎回のように手痛い反撃を受けてきていた。殊、G3-Xの前身である<G3>の頃は敗戦も多かった。
しかし、今戦っているアンノウン……蝶の様な蛾のような、それもいままでのアンノウンとは異なる意匠を持った……は、ひたすらに防戦に徹していたのだ。
(アンノウン…じゃないのか?)
わずかに、そんな考えが頭をよぎる。
(だが…だとしたら?)
「…っ!」
と、それに気づいたのか、イナズマンが振り返って迫り来る銃弾に手をかざした。
防がれると思われた弾丸は、次の瞬間、いっせいにG3-Xの側を向いた。
「何!?」
驚きに硬直した体は、避けることもかなわずその銃弾を全身に浴び……
「うわああああっ!!!」
ダメージこそ抑えられたものの、その衝撃に思わず肩膝をつく。
『氷川くん!? 大丈夫!?』
「だ、大丈夫です…」
よろよろと立ち上がり周囲を見渡す。アンノウンの姿は影も形もなくなっていた。
「だ、大丈夫です…」
よろよろと立ち上がり周囲を見渡す。アンノウンの姿は影も形もなくなっていた。
「な……なんだったんだ…あれは…?」
痛みに顔をしかめながら、誠が低く呟いた。
-つづく-
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既に対峙する相手が「人間」だとわかっているイナズマンは防戦一方。うっかり逆転チェスト使っちゃったみたいですがw
さて、戦線を離脱したイナズマンこと五郎はいずこへ…?
<2009年09月13日07:28 mixi日記初出>