炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【アギト×イナズマン】Fight for FREEDOM/シーン7

「ガルゥッ!」

 男が変化した異形が、雄叫びを上げる。野性のまま猛るそのさまは、力強さを感じた。

(あれは……あの力は何だ? 俺と同じミュータント…? それとも…)

 その特異な力に疑問を覚えるサナギマン…五郎。

「ン……ア……ギル…ス…」

 トンボの怪人が唸り声を上げながら、双剣を振り回した。

「…ギルス? 前に俺が倒したやつもその言葉を…。“アレ”が、<ギルス>なのか?」

 腰に意識を向ける。ゲージが満たされるまで、後わずか。
 怪人と、<ギルス>の間に割ってはいる。

「!?」
「ギッ!」

「ギルス…と言ったか。俺は敵じゃない。今は、信じて欲しい」
「…?」
 <ギルス>の仮面の向こう、一瞬だけ見えたあの青年の顔…その目に語りかける。ギルスは一瞬、逡巡したようであったが、やがて小さくうなづいた。

「フンッ!」

 と、怪人が飛び掛る。振り下ろされる剣をサナギマンは腕で受け止め、動きを封じた。

「……超力」

 ベルトのゲージが輝き、力を…呼ぶ。

「招来ッ!!!」

 サナギマンの表皮が爆ぜ、怪人を吹き飛ばす。爆風が収まると、羽化した蝶の戦士が、風にマフラーをたなびかせていた。

「…いくぞ、ギルス!」
「……おう!」

 並び立つ異形の男達が、正義という心を胸に抱き、心無き異形に立ち向かう。
 先に飛び出すのはイナズマン。両腕に電撃をまとい、正拳の連打を見舞う。

「チェスト!」

 得意の稲妻拳法で異形を打ちのめし、反撃の刃を受け止め、そこから電流を流し込む。

「アババババババババ…」

 声にならない声をあげ、怪人が体を震わせ、膝を着く。

「どけっ!」

 背後からの<ギルス>の声に、イナズマンが飛び退く。

「ガァァァァァァッ!!!」

 ギルスが口を大きく開き、その咆哮を響かせる。両のカカトに備わっていたトゲが伸び、鋭利な刃物と化した。

「バルゥゥゥゥゥッ!!!」

 足のばねを活かし、高く跳躍する。空中で右足を大きく振り上げ、その刃の切っ先を真下…怪人に向ける。


  ドンッ……

 着地と同時に、刃が深々と怪人の背に刺さる。ギルスの咆哮が轟いた後、怪人は頭上に光の輪を現出させながら断末魔とともに爆裂した。



   -つづく-


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 むぅ、このペースだとシーン数かなりかかりそうな気がしてきた。


 ギルス=涼といえば、後に仲間になる翔一クンにも氷川くんにも攻撃かましてて、どうにも喧嘩っ早いイメージがあるのですが(まぁ、前後の状況とか偶然がいろいろあったのですけどね)

 今回に限ってはあっさり共闘させてみました。まぁ、次回以降で多少のいさかいを持ち込んでもいいとは思いますけど。

<2009年12月12日01:53 mixi日記初出>