炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【マジンガーSS】衝撃! マジンガーZ 対 マジンカイザー -金色の拳と鉄(くろがね)の皇帝-/シーン2

 超合金Zの拳が唸る。超合金ニューZαの拳が吼える。

 巨大な拳の打ち付けあいは、しかしそれでも決着がつかず、二機の機械魔神<デウス・エクス・マキナ>はその拳を戻す。


「……一体、何がどうなってるんだ…?」


 その片割れ……皇帝の名を冠するマジンガーに乗った青年が驚愕に眉をひそめた。


 突如目の前に現れた機体は、自らが一番知っている。

 だが、“彼”の知るマジンガーZは、宿敵・あしゅら男爵との戦いの中奪われ改造され、暴走したこのマジンカイザーに完膚なきまでに叩き潰されたのだ。今は、万一に備え光子力研究所で急ピッチでの修復作業が行われているはずであった。

「それじゃ、あれはいったい……?」

 よく見ると、コックピットであるホバーパイルダーのカラーリングなど、細部は少し異なっている。そして、背中に広げた“翼”がその違いを決定的にしていた。

「あんな翼、俺は知らないぞ……?」

 かつての相棒であったマジンガーZ…今対峙しているものとは別物だが…は、結局翼を得ていない。
 プランはあったらしく、弓教授からその翼…ジェットスクランダーのモデルを見せてもらったことはあるが。

 だが、あのマジンガーがまとう“翼”は、それとはまったく異質であった。

 迫力だけなら、自身の駆るマジンカイザーの翼…カイザースクランダーも負けてはいない。だが……


「……この俺が、ビビってるのか…あの“翼”に……?」

 悪魔の翼を模したかのような禍々しいデザインの中に、圧倒的なまでの神々しさを、彼は知らず感じ取っていた。

「……おもしれえじゃねえか」

 武者震いする体を押さえつけ、青年は不適に笑う。

マジンガーで……この<兜甲児>にケンカ売ったこと……死ぬほど後悔させてやるぜ!!!」

 ぐっと握り締めた操縦桿に、力を込める。

「受けてみやがれ! こいつが必殺のぉ……」


  ファイヤァァァァァァァァァァァブラスタァァァァァァァァァァァッ!!!!!


 青年と魔神が、咆哮する。

 その中央に「Z」の文字を抱いた胸が熱く、赤く輝き―――灼熱の炎を吐き出す。


 対峙するマジンガーは、動かない。

「覚悟決めやがったのか…?」

 ―――否、断じて否。

「!」

 マジンガーは、Zは、動かない。退かない。

 胸部プレートを赤熱させ、吼えるのだ。


  ブレストォッ! ファイヤァァァァァァァァァッ!!!!!


 カイザーのファイヤーブラスターに規模こそ劣るものの、光子力を源とした超熱線が迸る。かみ合う炎が周囲の大気を焼き尽くす。まさに魔神の劫火。

「うおおおおおおおっ!」

 酸素を喰らいつくし、なおも猛る炎。お互いに退けない。プライドとでも言うべきものが、両者の間にはあった。
 やがて、勝負がつかないと判断したのか、ともに炎の矛を収める。と同時に、再びブースターを全開にし、肉薄した。

「―――!」
「―――な、に…!?」

 がっちりと組み合った刹那、互いの顔が、コックピット越しに見えた。

 見覚えのある戦闘服、見覚えのあるヘルメット、見覚えのある双眸………


「ば、バカな……?」
「俺が……<兜甲児>が、いるッ!?」


 互いの眼が、驚愕に見開かれた。


   -つづく-


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 マジンカイザーサイド。

 そんなわけで本日のBGMは「FIRE WARS」「魔神見参!!」。
 あと「真」つながりで「HEATS」。


 …節子、それ「真」と違う、「真(チェンジ!)」や!


 そう言えば、スパロボαの設定ではカイザーの材質は超合金ニューZαということで、本作でもそれにならってるんですが、OVAでは特に言及していなかったような…?

 というか、ちゃんとOVA見よう。何時までもスパロボ知識だけ(主にW)でお茶を濁すわけにはいかん。

 ちなみに、カイザースクランダー入手済みということで、あちらの時間軸的にはOVAの7話以降(全7話で以降もクソもないのですが)。
 かつ、2作目「死闘! 暗黒大将軍」の直前という感覚でイメージしています。

 さてさてさて、二大魔神を駆るのがお互い「自分自身」であることを知ってしまった二人の<兜甲児>。その邂逅が意味するものとは…?


<2009年11月12日08:56 mixi日記初出>