「待たせたなっ、鉄也さん!」
「おうっ、兜!」
敵を打ち抜いたアトミックパンチを腕に戻しながら、鉄也が応える。
敵を打ち抜いたアトミックパンチを腕に戻しながら、鉄也が応える。
「……しかし、なんだぁこいつァ!!?」
到着するまでに視界いっぱいに広がっていた巨大な影を改めて睨みつけ、<甲児>は驚愕を声に乗せる。
「分からん……だが、見ろ。ヤツの右腕……」
「!?」
「!?」
グレートが指差す先……巨大機械獣の右腕を目の当たりにし、甲児が絶句した。
「あれは……ガラダK7…ダブラスM2!」
「それだけじゃない。体中のいたるところに機械獣がくっついてやがる……」
「それだけじゃない。体中のいたるところに機械獣がくっついてやがる……」
腹にはクロコダイバーO1が大口を開け、足にはトロスD7やダムダムL2が鎮座する。他にもさまざまな機械獣、妖機械獣が体中犇き合っていた。ところどころ、<甲児>や鉄也も見たことのない機械獣もいた。鉄也はくっついている、としたが、実際は無数の機械獣がでたらめなまでに組み合わさり、一つの巨体をくみ上げていたのだ。
「頭に居やがるのは地獄王か……」
ダブルマジンガーを窮地に陥れた悪鬼がギラリと目を光らせる。一瞬気圧される<甲児>だったが、その程度でひるむ彼ではない。
「……おもしれえ」
にやり、と<甲児>が口の端を持ち上げる。
「どこのどいつが造ったか知らねえが、一度は俺たちに倒された機械獣どもくっつけてデカブツ造ったところで、どーにかなるもんじゃねえってことを教えてやるぜェ!!」
ぐっ、と握り締めたレバーに力を込める。
「いくぜっ、鉄也さん!」
「応ッ!」
「応ッ!」
「「マジンパワー・全ッ開!!!」」
頭部の地獄王が雄叫びを上げ、右腕のガラダが鎌を投げ放つ。
「ネーブルミサイルッ!」
すかさずグレートが腹部からミサイルを撃ち、鎌を弾き飛ばした。と、広がる爆煙の向こう側から同じく右腕にいたダブラスの首がぬーっと伸び、マジンカイザーを絡め取った。
「パワーでカイザーに敵うと思ってるのかよ!!? うおおおおおっ!!!」
力任せにダブラスの首を引きちぎり、戒めから逃れるカイザー。並び立つ二体の機械魔神が、互いにうなづきあった。
「これでも……」
「喰らえぇっ!!」
「喰らえぇっ!!」
「必殺パワー、ダブル・サンダーブレェェェェェェク!!!」
「ルストトルネェェェェェェドッッ!!!」
「ルストトルネェェェェェェドッッ!!!」
強酸の竜巻が、勇者の雷撃が、絡み合って敵を穿つ。
「くらってぶっ飛べ!」
二大魔神の4つの拳が、唸りを上げる。狙うは、巨大機械獣。その身体は脆く崩れ、雷撃に晒されたことでバラバラ寸前である。
「「ダブル・マジンガーパァァァァンチッ!!!」」
ドリルプレッシャーパンチとターボスマッシャーパンチが大空を駆け巡り、忌まわしき巨体を打ち抜く。いくつもの大穴が開き、数秒の間をおいてそれらから光が走り―――盛大に爆裂した。
「やったぜぇ!」
<甲児>が威勢よく指を鳴らす。カイザーでサムズアップをしてみせると、鉄也も不敵に笑ってグレートでサムズアップを返した。
「……しかし、こいつらは一体なんだったんだ……見たこともない機械獣もいたようだったが……」
「ああ。Dr.ヘルはもういない。機械獣を造るノウ・ハウなんてそうそう手に入るもんじゃないし、入ったところで造れるヤツなんか……」
「ああ。Dr.ヘルはもういない。機械獣を造るノウ・ハウなんてそうそう手に入るもんじゃないし、入ったところで造れるヤツなんか……」
ばらばらと砕け、海に落ちていく機械獣のかけらを一瞥し、鉄也たちが疑問を口にする。凶悪な機械獣を、残酷な配下をその手におさめていたマッドサイエンティスト・Dr.ヘル亡き今、機械獣はもう現れないはず……だったのだが。
「……ムッ?」
「どうした、鉄也さん?」
「どうした、鉄也さん?」
アレを見ろ、とグレートの指差す先を見て、<甲児>の顔が驚愕に凍りつく。
「空が……そんな馬鹿な!?」
雲以外なにもなかったはずの空に、突如亀裂が発生したのだ。
「弓教授!」
『これは……君たちのいる空域に、異常なまでのエネルギー反応が!』
『これは……君たちのいる空域に、異常なまでのエネルギー反応が!』
光子力研究所でも異変を察していたらしい、弓教授がいつになく驚いた表情をしていた。
『このひび割れ……おジィちゃん!』
『うむ……これは……』
『うむ……これは……』
モニターの端で、もう一人の自分……マジンガーに乗ってきた兜甲児が十蔵とうなづき合っている。
「おいお前、これが何だか分かるのか―――」
問いかけようとした刹那、空が割れる。
「!!?」
割れた空の端を、巨大な手が掴んだ。
「なんだ……あれは……!」
続いて、その手に勝るとも劣らない大きさの顔が、空の向こう側からのぞく。無機質な円柱のようなその頭に、とってつけたような赤い眼球が、ギロリ、とダブルマジンガーを見下ろした。
『やはり……こちらの<世界>にも出てきおったか!』
<甲児>の耳に、もう一人の自分の声が飛び込んだ。
『……ミケーネの神……<クロノス>!!!』
-つづく-
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空が割れると、次は炎が舞う。すると……あとは言わなくても判るな?(ぇ
なんかこう、敵キャラをムリヤリ合体させたボスキャラっていいですよね? ギガキマイラとかベリュドラとか。
まあ、本作においてはそれすら前座なワケですが。