「な、なにがどうなってるんだ…どうしてあそこに<俺>がいる?」
マジンガーZのコックピットで、甲児が愕然とする。
『落ち着けい甲児!』
「だけど!」
「だけど!」
コンピューター・十蔵に反論するが、ホログラフィの彼がギロリとにらみつけると、甲児はうっと言葉を詰まらせた。
『あれが……マジンカイザーが<マジンガー>であるならば、それを操縦するのもまた<兜甲児>じゃ。なぜなら、お前とマジンガーは一心同体。マジンガーはお前であり、お前はマジンガー自身なのじゃからな』
科学者にあるまじき突拍子もない発言のようにも聞こえたが、妙に説得力のある言葉に、甲児は再び頭上のマジンカイザー…そしてそのコックピットに座る<兜甲児>を見やる。
科学者にあるまじき突拍子もない発言のようにも聞こえたが、妙に説得力のある言葉に、甲児は再び頭上のマジンカイザー…そしてそのコックピットに座る<兜甲児>を見やる。
『相手は人間…それも、お前と同じ<兜甲児>じゃ。話して通じぬ相手ではないと思うがの?』
「…わかったよ、おじいちゃん」
「…わかったよ、おじいちゃん」
ため息を一つつき、甲児はパイルダーのキャノピーを開く。外の空気は、戦場になっていたからかひどくにごり、思わず2、3度咽る。
「おい! 兜甲児! 聞こえるか!! あんたと話がしたい!!!」
ヘルメットを脱ぎ、マジンカイザーの強面をにらみつけながら叫ぶ。ややあって、カイザーパイルダーもそのキャノピーを開き、<もうひとりの兜甲児>がヘルメットを脱いでみせた。
ヘルメットを脱ぎ、マジンカイザーの強面をにらみつけながら叫ぶ。ややあって、カイザーパイルダーもそのキャノピーを開き、<もうひとりの兜甲児>がヘルメットを脱いでみせた。
「……わかった。ついてきな!」
そう言うと再びコックピットにもぐりこみ、カイザーがバーニアを吹かせ飛ぶ。それに倣い、マジンガーもその翼をはためかせて飛び上がった。
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「甲児くんっ、無事でよか……ええっ!!?」
―――光子力研究所。
「さやかさん! ちょうど良かった。弓教授を呼んできてくれ。ちょっと大変なことになってるんだ」
「え…ええっ!?」
「え…ええっ!?」
さらに口をあんぐりと開く、さやかと呼ばれた少女。今度は甲児の後ろから、さらに瓜二つの姿をした青年が現れたからだ。
「…さやかさん?」
「あ、え、あ…うん、わ、わかったわ!!!」
「あ、え、あ…うん、わ、わかったわ!!!」
甲児の声に、ようやっと我に返り、さやかが奥へと引っ込んだ。
「…さやかまでいるのか……。まぁ、<俺>がいるんだからあたり前……かな?」
「あ、こらお前。呼び捨てなんてなれなれしいぞ」
<自分>に突っ込まれ、なにやら妙な気分になる甲児である。
「あ、こらお前。呼び捨てなんてなれなれしいぞ」
<自分>に突っ込まれ、なにやら妙な気分になる甲児である。
「さっき弓教授って言ってたよな…ここも、俺が知ってる光子力研究所そのものだ……でも」
「さっきっからなにぶつぶつ言ってるんだお前…?」
「なぁおじいちゃん、いったいここは……?」
「さっきっからなにぶつぶつ言ってるんだお前…?」
「なぁおじいちゃん、いったいここは……?」
振り返り、パイルダーのコックピットに浮かび上がるホログラフィに声をかける。と、<もうひとりの兜甲児>が驚いた表情を見せた。
「おじいちゃん…だって!?」
パイルダーに駆け寄り、ホログラフィを見る。と、彼の目がさらに大きく見開かれた。
「おじいちゃん! 本当におじいちゃんなの!!?」
『ン? う、うむ…確かに…あいや、儂はコンピュータの……』
説明する十蔵であったが、<もうひとりの兜甲児>は感動に浸り、あまり聞いてはいないようだった。
パイルダーに駆け寄り、ホログラフィを見る。と、彼の目がさらに大きく見開かれた。
「おじいちゃん! 本当におじいちゃんなの!!?」
『ン? う、うむ…確かに…あいや、儂はコンピュータの……』
説明する十蔵であったが、<もうひとりの兜甲児>は感動に浸り、あまり聞いてはいないようだった。
(…おじいちゃん、か)
その様子を見ながら、甲児は思う。
(やっぱり<俺>なんだな。ものすごいおじいちゃん子だ)
嬉しそうに十蔵の声に聞き入るもう一人の自分を見ていると、後ろから声をかけられる。
「甲児くん」
「あ……弓教授!」
「あ……弓教授!」
振り返ると、光子力研究所の所長・弓が立っていた。
どう説明したものかと考えあぐねていると、さっきまで十蔵の方へいっていた<もうひとりの兜甲児>が近づいてきた。
「勘弁してくださいよ教授。俺が<兜甲児>ですよ」
「ちょ、俺が偽者みたいな言い方するなよな?」
「ちょ、俺が偽者みたいな言い方するなよな?」
並び立つ二人の兜甲児に、娘ともども目を白黒させる弓。
『こちらの世界でも、弓は相変わらずのようじゃの』
「その声……まさか!」
「その声……まさか!」
弓が十蔵のもとへ駆け寄る。
「やはり十蔵博士……。博士、“こちらの世界”とはどういう……」
『うむ、未だ憶測の域を出んが……もはやそうであると断定するを得まい』
『うむ、未だ憶測の域を出んが……もはやそうであると断定するを得まい』
十蔵はため息を一つついて、重々しく言葉を発した。
『儂らは……こことは別の<世界>から来た』
-つづく-
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便利とはいえ異世界ネタを二作連続で使うのはちょっとイタタなような気がしないでもない炎部紅蓮19歳です(何
まぁ、別作品だから気にしない気にしない……
……はぁ(ため息
文章媒体だといみねーですが。
<2009年11月22日08:30 mixi日記初出>