「こことは別の世界…って」
「一体どういうことだよ、オジィちゃん?」
「一体どういうことだよ、オジィちゃん?」
二人の兜甲児に詰め寄られ、ホログラフィの十蔵が少し後ずさる。
『ま、まぁ、さっきも言うたが憶測の域を出ん。よって仮説交じりになるが…説明しよう』
―――そも、この仮説は世界が<ひとつ>ではないことを前提にする。
世界はいくつも存在し、その世界の数だけ、甲児や儂、さまざまな人間がまったく同じ姿…あるいは違う姿だがおなじ<存在>としてある。
そして、その中から、儂らは儂らのいた世界から、何らかの要因でこの世界へと飛ばされてしもうた。
……というのが、儂の推測じゃ。
「…ふぅむ…」
腕組みをして唸る弓教授。一方、二人の甲児はお互いに顔を見合わせて首をかしげた。
「よくわかんねえ…」
「俺もだ…」
「俺もだ…」
『お前らのぉ……。まぁええ。たとえ話になるが……世界が一枚の紙だとしよう。その紙にはいろんな文字や絵が書かれておるわけじゃが…そして、そのいろいろ書かれとる紙が世界のひとつじゃ。そして、その紙は一枚じゃない。ノートや本のようにいくつもあるのじゃ。そして、ある一枚の紙から、文字が別の紙に移ってしもうた。その文字が、儂やマジンガー、甲児というわけじゃ』
なるたけ噛み砕いて説明する十蔵に、ややあって甲児たちがうなづく。
「…って、それって普通ムリじゃねえか?」
『うむ、無論ムリじゃ。じゃから、何かしらの要因があるはずなのじゃ』
『うむ、無論ムリじゃ。じゃから、何かしらの要因があるはずなのじゃ』
たとえば、紙から紙へ文字を移すのなら、その文字を消しゴムで消し、別の紙に新たに書き換える。つまりここでいう「消しゴムと鉛筆」が、その外的要因になるのだ。
『甲児よ。お前、こっちの世界に来る前のこと、憶えとるか?』
「こっちに来る前?」
『うむ。熱海で発生した異常を調べるために向かった先、そこで現れた巨大な影……』
「こっちに来る前?」
『うむ。熱海で発生した異常を調べるために向かった先、そこで現れた巨大な影……』
十蔵のつむぐ言葉に、甲児の脳裏にそのときの光景が鮮烈に蘇る。
「そうだ……俺は、あのとき……」
熱海上空に立ち込める暗雲。轟く雷鳴。そして―――
<我の名は―――>
体の底から震えを呼び起こす、声を、思い出した。
-つづく-
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今回の黒幕の一端を、次回ですこし顔見せ。
無論、オリジナルの敵キャラになります。
…問題は、今後真マジンガーがシリーズ化した場合に同名の敵キャラが出ないとも限らないことか。
でも流石に代替案がないからなァ……
<2009年11月29日09:10 mixi日記初出>