「……ミケーネの神、クロノス…か」
兜甲児の話を聞き終えた、もう一人の兜甲児がふむ、と唸る。
「こっちの世界にも、ミケーネはいるのか?」
「ああ。もちろんDr.ヘルも…まぁ、あっちはもう、“いた”になるけどよ」
「ああ。もちろんDr.ヘルも…まぁ、あっちはもう、“いた”になるけどよ」
改めて、二つの世界の奇妙なまでの酷似に驚く二人の甲児。
『ふむぅ…ここまで共通点の高い世界があったとはのぉ…。さしずめ、“きわめて近く、限りなく遠い<世界>”といったところかの』
「…どっかで聞いたセリフだねおじいちゃん?」
「…どっかで聞いたセリフだねおじいちゃん?」
甲児の突っ込みに咳払いでごまかす十蔵。ふと、弓が口を開く。
「それにしても……そのクロノスというミケーネの神とやらは…“滅ぼさねばならない”といったんだよね?」
「ええ…」
「なら、なぜクロノスは君を“滅ぼさず”に、こちらの世界へと送り込んだのだろうか?」
「ええ…」
「なら、なぜクロノスは君を“滅ぼさず”に、こちらの世界へと送り込んだのだろうか?」
弓の指摘に、そういえば、とうなづく甲児。
もっとも、それが“何なのか”は、皆目見当もつかないがね……
腕組みをして、弓が大きくため息をついた。
『弓教授!』
と、突然野太い声が研究所内に響く。壁面の巨大モニターに、パイロットスーツ姿の青年の顔が浮かび上がった。
「あ、あの人は…」
『剣鉄也!?』
『剣鉄也!?』
甲児と十蔵が目を丸くした。それは、彼らの元いた<世界>では既に故人である男であったからだ。
『湾岸部に巨大な機械獣が出現した! 兜を呼び出してくれ!』
「俺ならここにいるぜ、鉄也さん!」
『おお、なら早……ん?』
「俺ならここにいるぜ、鉄也さん!」
『おお、なら早……ん?』
モニター越しに研究所の様子を目の当たりにした鉄也が表情をこわばらせる。
『…俺は夢でも見ているのか』
その言葉の真意が、二人の兜甲児の存在にあると気づき、弓がフォローする。
「事情はあとで説明する。すぐに甲児くんを向かわせよう。…頼む」
「了解、まかせといてください!」
「了解、まかせといてください!」
言うが早いか飛び出す兜甲児に、もう一人の彼も駆け出す。
ぐっ、とサムズアップを決めて、甲児はカイザーパイルダーに飛び乗った。
「…確かに、君にはここに残って欲しい。もう2、3聞きたいこともあるしね」
弓の言葉に、甲児は渋々ながらうなづいた。
弓の言葉に、甲児は渋々ながらうなづいた。
-つづく-
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以前も話題にしましたが、一応両者の世界の登場人物で、同姓同名の人物は容姿も声もまったく同じ(に見える&聞こえる)という設定です。
ちなみに、鉄也の出番はちょっと少なめの予定。あくまでZとカイザーの物語なのでw(ひでえ
<2009年12月10日10:13 mixi日記初出>