炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【アギト×イナズマン】Fight for FREEDOM/シーン6

「―――!?」

 走る五郎の視線が、人影を捕らえる。外回りの会社員だろうか、何事も無く平穏に歩いていた。

 ふと、その男が走り抜ける五郎を目で追い…振り返る。と、その体が、ぐらりと傾いた。

「なっ!?」

 足を止める五郎の眼前で体が、へその辺りで真っ二つになり、切り裂かれた上半身がどさり、と落ちた。


「なん、だって?」

 慌てて駆け寄るが、男は既に事切れていた。体を見ると、まるでCTスキャンのように傷一つ何断面で、真っ二つになっている。

「…これは…まさか?」

 遺体に手を触れる。と、僅かに残った“彼”の記憶が伝わってきた。

「…この姿は…?」

 歩く男の脇を、超高速で何かが横切り、すれ違う刹那、極薄の刃で切り裂いたのだ。

 そしてその“何か”は、五郎にも見覚えのあるものだった。

「…!」

 不意に、背中に殺気が降りかかる。咄嗟に丹田に力を込めた、次の瞬間―――

「……むんっ!」

 鈍い音が、サナギマンに転じた五郎の腹から響いた。

「……貴様…倒したはず?」

 硬い表皮で斬撃を防いだサナギマンが振り返ると、トンボに似た容姿の怪人が口を震わせて嗤っていた。

「はっ!」

 持ち前の怪力で受け止めていた剣を跳ね除けると、怪人はひょいと飛び退き、間合いを取る。

「……貴様は…いや、貴様らは一体…なぜ人を殺める!? バンバやデスパーのように、恐怖で人々を支配するつもりなのか!?」

『……ヒトハ』

 サナギマンの問いに、怪人がぱっくりと口を開け、しゃべる。

『ヒトノママデ……アレバイイ……』

「質問に答えろ!」

 憤るサナギマンであったが、怪人はそれきり口を閉ざすと、剣を振りかざし、飛び掛ってきた。

「くっ……やるしかないか……」

 ふと腰のベルトに意識を向ける。イナズマンへと変転するには、まだ少しエネルギーが必要だ。

「……見つけたぞ!」

 身構えたサナギマンの耳朶を、新たな声が打った。

「んっ?」

 視線を向ける。茶髪の青年が、怒りの形相で怪人をにらみつけていた。

「うおおおおおっ!」

 獣のように吼え、両腕を顔の前で交差させる。

「変身ッ!!!」

 そう叫んだ後、地を蹴って走り……怪人に拳の一撃を喰らわせる。

 次の瞬間―――その姿は、異形へと変化した。



   -つづく-



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 当初の予定よりちょろっと早く、ギルス登場。

 しかしギルスへの変身プロセス(特に最初期)を文章で再現しようと思うと難しいんじゃないかと。

 ま、せっかくだからどっかで再現させてみたいですがw

<2009年11月18日09:27 mixi日記初出>