「…思わず力を使ってしまったが……」
咄嗟に発動した<逆転チェスト>で跳ね返した銃弾をまともに受けてしまったG3-Xを思い出し、その身を案じる五郎。
「それにしてもあれは……機械の鎧のようでもあったが…?」
「…む」
そういえば、“目覚めて”から数日、水しか口にしていないことを思い出した。ポケットに残っていた財布の中身は、ある程度身なりを整えるのに使うとほとんどが消えていった。
「まさかここまで物価が高騰しているとは……」
日本経済の行く末に少しばかり不安を覚える五郎であった。
とはいえ、景気の悪さを憂いてみても腹が満たされるわけでもなく。
「どうかしたんですか?」
すきっ腹を抱えて途方にくれていると、背後から誰かが声をかけてきた。
*
「いや、申し訳ない。見ず知らずの俺に、食事を振舞ってくれるなんて」
「いえいえ、困ったときはお互い様ですよ。あ、お代わりいりますか?」
「いえいえ、困ったときはお互い様ですよ。あ、お代わりいりますか?」
ニコニコと笑いながら茶碗にご飯をよそう青年……津上翔一と名乗った彼に招かれ、彼が居候している美杉邸を訪れた五郎は、実に30余年ぶりの暖かな食事に心打たれていた。
「ところで、君がお世話になっているというご家族の方は? ぜひお礼を言いたいのだが」
「あーいや、それが朝から出かけてまして。ひとり寂しく朝食をとろうとしていたところに…」
「腹を空かせた俺に出くわした…と」
「あーいや、それが朝から出かけてまして。ひとり寂しく朝食をとろうとしていたところに…」
「腹を空かせた俺に出くわした…と」
ええ、とうなづく。
「これも何かのご縁ですね。ええと…」
「五郎……渡五郎だ。よろしく」
「五郎……渡五郎だ。よろしく」
改めて自己紹介し、握手を交わす。
(………うん?)
だが、そのヴィジョンは、たった一瞬で途切れてしまう。
(これは……まさか?)
「…津上くん、君は……記憶喪失なのかい?」
「え? なんで分かったんですか?」
至極あっけらかんと、翔一が答える。
「え? なんで分かったんですか?」
至極あっけらかんと、翔一が答える。
五郎が尋ねると、翔一は自らの身の上を簡単に説明した。
「なるほどね。…よし」
妙案を思い立ち、五郎が翔一に向き直る。
妙案を思い立ち、五郎が翔一に向き直る。
「一飯の恩義だ。俺が君の記憶を取り戻してみせよう」
サイコメトリーの応用を利かせられれば、可能なはずである。
「そんなことできるんですか? ひょっとして渡さんって……カウンセラーさん?」
「…まぁ、そんなところだ」
流石に超能力者だというのははばかられた。
「…まぁ、そんなところだ」
流石に超能力者だというのははばかられた。
「……でも、いいです」
「え?」
「え?」
驚いて翔一を見る五郎。翔一の表情はどこまでも穏やかで、その真意を読み取ることはいかな超能力者とて難しかった。
「俺、今のままでも十分楽しいですし。急いで記憶取り戻さなくてもいいって思ってますから」
思い出すときは、その記憶が本当に必要なときだと思うんです。
だから、それを待ちます。
だから、それを待ちます。
そう言って、屈託無く笑った。
「……そうか」
五郎もそれでいいと思った。
・
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その後しばらく雑談たのち、昼食もと誘う翔一に、そこまで世話になるのも忍びないと断って、五郎は美杉邸を後にした。
「……何故だろうな」
歩きながら、ふと呟く。
「彼とは、また会いそうな気がする」
五郎には、未来視の能力は無い。
それは、ただの予感であった。
―――ただ、それが本当になることを知るのは、そう遠くない未来のことである。
-つづく-
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氷川くんに続き、しょーいちクンが登場。
本編の時間軸にあわせるならば、37~41話くらいの間。
シャイニングフォーム習得済みで、まだ記憶が完全に戻っていないとき。
時期的にはアナザーアギトが暗躍を始めたり、水のエルが復活したりとかなりエピソード的には忙しいはずなのですがw
本編の時間軸にあわせるならば、37~41話くらいの間。
シャイニングフォーム習得済みで、まだ記憶が完全に戻っていないとき。
時期的にはアナザーアギトが暗躍を始めたり、水のエルが復活したりとかなりエピソード的には忙しいはずなのですがw
あるいは、劇場版「PROJECT G4」の世界観の後日談としてとらえるのも手かもw
アレは厳密にはテレビシリーズには絡んでないですしねw
アレは厳密にはテレビシリーズには絡んでないですしねw
さて、残る仮面ライダーはあと一人。はたして、いかなる邂逅になるのか……?
待て次回!
<2009年10月15日06:39 mixi日記初出>