炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【オリジナル】仮面ライダーBLOOD

仮面ライダーBLOOD:第3幕/第8場

「んっ……ん?」 「おう、目ぇ覚めたか」 達也の背で意識を取り戻した結花。そのぼやけた視界に、エイジの穏やかな笑みが映る。 「エイジ……さん? それに……お兄ちゃん」 「おいおい俺ぁオマケか? まぁいいけどさ」 カラカラと笑う達也の声を耳にしながら、ゆ…

仮面ライダーBLOOD:第3幕/第7場

「ぐ……っ」 力強く歩み寄る仮面ライダーブラッド……エイジ。対する蜘蛛の怪人はじりじりと後ずさっている。 スペック上は蜘蛛怪人……<オーバーボーグ>よりも遥かに強力であるとされる<ジェノサイドロイド>だ。その事実がプレッシャーとなり、恐怖という名…

仮面ライダーBLOOD:第3幕/第6場

「ぎっ……!?」 無機質な蜘蛛の仮面が驚愕に震える。<変身>したエイジ……否、<仮面ライダー>がゆっくりと蜘蛛怪人に向かって歩き出した。 「うっ、動くな! こっちには人質が……」 「やってみろ」 低く重い声が、耳朶を打つ。気圧された蜘蛛の右腕の爪が囚…

仮面ライダーBLOOD:第3幕/第5場

身体を流れる力の感覚が薄れる。危うく意識まで遠のきかけたのを慌てて引き戻すと、エイジは蜘蛛の怪人をキッとにらみつけた。 「何を……した!?」 だが、蜘蛛の仮面はしれっとした口調で返す。 「いやあ、何も? この結果を招いたのはキサマ自身だよ」 「ど…

仮面ライダーBLOOD:第3幕/第4場

タイヤが石を噛み、弾き飛ばしねじ伏せる鈍い音が足元で鳴る。 指定された場所にたどり着いたエイジと達也は、バイクから飛び降り、周囲を見渡した。 「結花ーっ! どこだぁっ!?」 「達也、あれを!」 エイジが指差す先、結花が無造作に立てられた鉄塔にく…

仮面ライダーBLOOD:第3幕/第3場

あの日から、数日が経過した。 エイジを狙っての<組織>の襲撃はあれ以来、無い。 彼にとっては、力を自覚してからは初めてとも言える平穏を手に入れていたのだが…… 「……ふぅ」 その心は、穏やかとは言いがたかった。 自分自身の身の秘密……人の身ならざる<…

仮面ライダーBLOOD:第3幕/第2場

「……確かな、ようだな」 ―――深淵。 この世の“底”とでも形容すべきか。昏く、息苦しい空間。ある意味で世界の果てとも思しきそこに、声が響く。 「2度にわたる<サテライトK>の起動……もはや偶然では片付くまい。アレは自らの意思を持って、その力を呼び起…

仮面ライダーBLOOD:第3幕/第1場

帰宅しても、夕食中にも、達也の様子はあまり変わった様子は無かった。 結花の学校での話題にもそれなりに返し、エイジにも話を振る。 エイジが返答に困って口をつぐむと、兄妹そろって笑う。そんな光景を見ていると、本当はあれを見ていないんじゃないのか…

仮面ライダーBLOOD:第3幕/序幕

「……」 「……」 帰路に着く、男二人。 そのどちらもが、無言であった。 ひとりは、信じられない光景を見た驚きに。 もうひとりは…信じられない光景を見せてしまった悔やみに。 (恐れて…いるんだろうな) 当然だろう。 目の前で異形の戦いを見せ付けられた挙…

仮面ライダーBLOOD:第2幕/第5場

「なっ……!」 蟷螂女の声色が、焦燥のそれに変わる。彼女の眼前で、エイジの姿が“ジェノサイドロイド”の新の姿を現したのだ。 「うおおおっ!!!」 力任せに腕を振るうと、ワイヤーが千切れ、戒めが解ける。蟷螂女は使い物に鳴らなくなった鎌を投げ捨て、も…

仮面ライダーBLOOD:第2幕/第4場

「っは!」 「んっ!」 手鎌の連撃をスウェーで交しつつ、つかず離れず、蟷螂女と間合いを取る。 (……まずい、な) 先日の一件で、自身の体が機械改造されているということを自覚したとはいえ、自分の意思で“人間以上の力”を引き出すのは、この姿のままでは…

仮面ライダーBLOOD:第2幕/第3場

背中にちくちくと突き刺さる感覚を覚えながら、エイジはひたすらに歩く。 やがて、人気の無い開けた場所に出る。閉店したはいいが、次の当てがなく廃ビルと化したスーパーの跡地であった。 「…あら、デートスポットにしては気の利かないチョイスねぇ?」 妖…

仮面ライダーBLOOD:第2幕/第2場

達也とともにダイモンガレージに“帰ってきた”エイジを待っていたのは、少し涙目になった結花であった。 有無を言わせずエイジを正座させると、小一時間にわたりお説教を繰り広げた。 かなり心配していたらしい。エイジが謝ると、涙を拭いた結花が笑顔で許し…

仮面ライダーBLOOD:第2幕/第1場

意識が、ゆっくりと戻っていく。 と同時に、再びわきあがる疑問。 ―――俺は、何者なんだ? 蟷螂を模した怪人と互角以上に渡り合う身体能力。皮膚の向こう側で走る鋼鉄の組織。 そして、何より―――あの姿。 あの蟷螂男は、<ジェノサイドロイド>だの<初號体>…

仮面ライダーBLOOD:第2幕/序幕

「はぁ…はぁ……っく」 薄暗い通路を、足を引きずりながら人影が進む。 ボロボロになった体は、ところどころから火花が散り、また、その頭の形状は、それが<人ならざるモノ>であることを示していた。 「…があ」 蟷螂のそれに似た口が、喀血するように大きく…

仮面ライダーBLOOD:第1幕

こちらは既にHP内にて完全版を公開中です。 →http://island.geocities.jp/homurabe_2000/blood_1.html 当ブログでは2話以降の連載分を掲載していきます。