「……」
「……」
帰路に着く、男二人。
そのどちらもが、無言であった。
ひとりは、信じられない光景を見た驚きに。
もうひとりは…信じられない光景を見せてしまった悔やみに。
(恐れて…いるんだろうな)
当然だろう。
目の前で異形の戦いを見せ付けられた挙句、その異形が自分だったのだから。
仮に自分が…エイジがその立場なら、恐慌していただろう。
だが、彼は……達也はそうしない。
驚きを通り越してしまったのか、見てみぬ振りをしているのか、それはエイジには分からないが。
「…達也。その…」
「うお、もうこんな時間か…結花が心配してるぜこりゃ。ちょっと走ンぞ。あいつ泣かせたら飯抜きにさせられるからな」
からからと笑いながら駆け出す。
「え? あ、お、おい!」
それを追ってエイジも走る。彼の行動の真意は、エイジに対する気遣いか、はたまた一種の現実逃避なのか。
(話さなきゃ……いけないよな)
たとえそれが、彼に拒絶される原因となったとしても。
記憶のない自身を“友”と呼んでくれた達也に対する、それは一種のけじめだ。
…エイジはそう思い、足を早めた。
―――その紅き血を炎と燃やせ、『正義』の名の下に!
仮面ライダーBLOOD-MASKED RIDER BLOOD-
第3幕:戦闘意義と変身腰帯<タタカウリユウ ト ヘンシンベルト>
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早くもサブタイのネタが尽きて来た件(ぉ
今回でようやく、“変身”が可能になる予定。はてさて。