炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

仮面ライダーBLOOD:第3幕/第2場

「……確かな、ようだな」


 ―――深淵。


 この世の“底”とでも形容すべきか。昏く、息苦しい空間。ある意味で世界の果てとも思しきそこに、声が響く。


「2度にわたる<サテライトK>の起動……もはや偶然では片付くまい。アレは自らの意思を持って、その力を呼び起こしたのだろう、な」

 別の声が、先の問いかけを肯定する。

「初号体奪回任務に宛てた2体のオーヴァーボーグも、機能停止を確認した。いまや彼奴は我等に対し敵対意思を持っているとみて間違いはあるまいよ」

 二つの声とはまた異なる澄んだ声が、重々しく呟いた。

「アレが覚醒してしまっては、並みのオーヴァーボーグでは歯が立つまい。これ以上放置していては、奪還は遥かに困難になるだろう」

「……止むを得ん、か。ここは先手を打つことを提案する」
 どうやら、この“場”にいるのは3人らしかった。その中で、ひときわ低い、しゃがれた男の声が同意を求める。

「<サテライトK>を破壊するのか?」
「そうだ。<ジェノサイドロイド>…奴がそうある所以はあのシステムあってこそ。サテライトKが無ければ、常人より少し強いサイボーグに過ぎんからな」
 我々にとっては、だが。と付け加え、別の男の声―――幾分若々しい―――が空気を振るわせた。

「だが、いかにして行う? <サテライトK>は<ジェノサイドロイド>にとってのアキレス腱。ゆえに簡単に破壊できぬように細工を施したのは、ほかならぬ貴殿であろう?」
「ミサイルで狙おうにも、地表すらたやすく焼き払える出力のレーザーディフェンスが一瞬で灰にする。自爆プログラムを走らせようにも、アレは<ジェノサイドロイド>以外のアクセスは受け付けない……」

 そう補足したのは、女性と思しき凛とした声。

「……いかにも。だが、ゆえに対処法も考えておる。いかなる状況にも柔軟に対応できるからこそ、我は“あのお方”より<ドクトル>の銘を賜ったのだからな」

 声が、にやり、と笑う。

「今、我の子飼いの部下が動いておる。先ずは……布石を整えねばならんでな」

 ぼう、と空間に映像が浮かび上がる。

 どこからか撮影された、三人の男女の姿。


 ―――エイジと、大門兄妹であった。




   -つづく-



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 唐突に敵サイド。
 コレが浮かんでくれたおかげで、変身シーンまでの流れがだいぶスムーズになってくれたのは内緒だ!(ぇ

 ちなみに、会話している3人のモチーフはゴルゴム3幹部…あるいは「THE FIRST」におけるショッカー3幹部だったり。あくまで声のイメージでしかないのですが。どんなキャラなのかはまた追々。