―――外道衆との戦いが終わり、数日が経った。
パリへと渡航する前に、生活必需品など諸々を買いに来ていた源太が、駅前で所在無く立ち尽くしている薫を見かけ、声をかけたのだ。
聞けばいつにもましてべったりな丹波から逃げてきたと言う。ハワイに発つ前に茉子から譲ってもらった洋服を着て雑踏に紛れ込んでみたものの、世間知らずが災いして途方にくれていたらしい。
聞けばいつにもましてべったりな丹波から逃げてきたと言う。ハワイに発つ前に茉子から譲ってもらった洋服を着て雑踏に紛れ込んでみたものの、世間知らずが災いして途方にくれていたらしい。
「心配してくれているのは分かるのだが……」
「姫さんもいい年なんだから、そこまで過保護になるのもなぁ……」
「姫さんもいい年なんだから、そこまで過保護になるのもなぁ……」
ため息をつく薫に、源太が微苦笑する。
「しかし助かった。飛び出してきたはいいが、なにぶん外のことなどほとんど知らなくてな。何度か男に声をかけられて、正直参っていた」
言動は堅苦しいものの、洋服に身を包んだ薫は、外見だけ見れば年相応に可憐な少女であった。
「ま、そりゃしょーがねえよ。ちっちぇえころからドウコクを封印するためにモヂカラの修行、してたんだからな」
その辺は丈ちゃんとおんなじだなァ、と呟く源太。
「……いや、そうでもない」
「ん?」
「ん?」
少し恥ずかしそうに目を伏せ、薫が唇に言葉を載せる。
「小さな頃は、モヂカラの修行が嫌で嫌でしょうがなかった。それこそ、どうして私がそんなことしなくちゃいけなかったのか、そればかり考えていた」
…でも。と、薫が言葉を切る。
「ある人たちに会って……私は、その考えを改めるようになったんだ」
「ある人たち?」
「ある人たち?」
源太の問いに、薫は小さくうなづいて、言葉を続ける。
「<影>…と、彼らは名乗った」
ふわり、と“風”が吹いた。
侍戦隊シンケンジャー・閑話
-薫風-
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ネタというのはわりと何もしてないときこそ思いつくものでして。
買い物帰りにブラついてるときにふわっと。
買い物帰りにブラついてるときにふわっと。
いや、まあいつものこといつものこと。
以前にマイミクのシムテック氏が殿の過去エピを書いていたのにも触発された感はあるのですが。
そんなわけで姫こと薫の過去エピです。
今でこそ使命に忠実に、それこそ最終幕で魅せた、体を張って新たなディスクを作っているシーンなどでもわかるほどの芯の強さを持っている彼女ですが、それでも小さな頃は「修行したくないでござる」みたいな時期があったんじゃないかなーと。
そして、そんな彼女は、曰く<影>と名乗ったある人々と出会うわけですが……
多分特撮二次コミュ参加のマイミク諸氏はそれが誰なのかもうかなり見当着いてるんだろうなァ……w