炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

仮面ライダーBLOOD:第2幕/第2場

 達也とともにダイモンガレージに“帰ってきた”エイジを待っていたのは、少し涙目になった結花であった。
 有無を言わせずエイジを正座させると、小一時間にわたりお説教を繰り広げた。
 かなり心配していたらしい。エイジが謝ると、涙を拭いた結花が笑顔で許してくれた。

 その夜は、友達にして、新たな同居人となったエイジの歓迎会が開かれ、達也がフル回転でその料理の腕を披露し、結花はエイジを質問詰めしながら、賑やかにも穏やかに時が過ぎていった。

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 そして、翌日である。

 結花の提案で、エイジの日用品を買うことになり、二人でホームセンターに出かけることとなった。達也は物置と化していた空き部屋を整理する、ということで留守番だ。

 “ああ見えて結花はそそっかしいからな、ケガとかしねえように見といてくれな”
 “もーっ、私そこまでお子様じゃないよぉ!”

 出掛けの兄妹のやりとりを思い出し、エイジが軽く噴出す。

「…なに?」
「いや…」

 咳払いするエイジに、結花がにやりと微笑む。
「思い出し笑いするひとって、えっちいらしいですよ?」
「嘘!?」
「さぁ、どーでしょ」
 クスクス笑う結花だった。

  *

「えーと…歯ブラシ買った、マグカップ買った、お箸買った……それから…」

 楽しそうにカートを押しながら、結花が指折り数える。

「あ、そうそう。枕もね!」

 お布団はあるけど、枕は自分に合ったものがいいもんね~
 と言って、結花はころころと笑う。

 ―――その笑顔を、守りたい。
 
 エイジが、心からそう思った。

  *

「あんまり大荷物にならなかったね」
「まぁ、細かいところは気付いたときに買い足せばいい」

 それでも大きく膨らんだビニール袋をさげ、二人が帰路に着く。

 ……と、自分たちに向けられる視線を感じ、エイジが気配を周囲に飛ばす。

「ん?」

 自分の斜め後、木陰から舐めるような、まとわりつくような視線。
 振り返らなくても解る。
 これが、自分を視ているものだということ。
 そして、限りなく殺意に近い害意をもっていること。

「……結花ちゃん」
「はい?」
 きょとんとする彼女に、持っていたビニール袋を手渡す。

「ごめん、ちょっと急用ができて…先に帰っててもらっていいかな?」
「え? いいですけど…?」
 訝しげな視線を向ける彼女に、エイジは努めて明るく笑う。
「ちゃんと夕飯までには戻るからさ」
「絶対ですよ? こないだみたいに、いなくなったりしないでくださいね?」
「…ああ、約束する」
 しっかりと頷くエイジ。と、結花が小指を差し出す。
「指切りしてください」
「……ん」
 結花の細い小指に、エイジの小指が絡まる。

  ゆーびきーりげーんまん うそつーいたーらはーりせんぼんのーます ゆびきった!

「…じゃ、絶対帰ってきてくださいね」

 それだけ言って、結花が小走りに去っていった。


 次第に小さくなる背中を見送り、やがて見えなくなったのを確認する。



「……俺に用があるんだろう? 場所を変えようか」

 呟くようにそう言って、エイジが反対方向へ足早に歩き出した。


  -つづく-



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 なんか結花を久しぶりに書いたらみょうに子供っぽくなってるw
 一応、中学生~高校生くらいのイメージで書いてますが。

 …って、中~高って結構開きあるよな(滝汗


 蟷螂の女性怪人って、なんというか…そこはかとなくエロい気がする(何


(初出:2009年08月06日06:25 mixi日記)