炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

仮面ライダーBLOOD:第3幕/第8場

「んっ……ん?」
「おう、目ぇ覚めたか」

 達也の背で意識を取り戻した結花。そのぼやけた視界に、エイジの穏やかな笑みが映る。

「エイジ……さん? それに……お兄ちゃん」
「おいおい俺ぁオマケか? まぁいいけどさ」

 カラカラと笑う達也の声を耳にしながら、ゆっくりと覚醒した意識が、結花の記憶を呼び起こした。

「あっ、私たち確か……!」
「うおっ! コラ背中で暴れんな!」

 恐慌に身をよじる結花だったが、まだ体力は戻っていなかったらしい。くたっとその頭を達也の背に預ける。

「……助けて、くれたんだ」
「おう、当たり前だろうが。俺はお前の……」

「「兄ちゃんで、仮面ライダーなんだから」」

 不意に二人の声が重なる。目を丸くするエイジと達也を見て、結花がコロコロと笑った。

「その言葉聞くの、久しぶりだね」
「かも、な」

 二人の脳裏によぎる、幼き日の思い出。

 親なし子としばしばいじめられていた結花を助けるのはいつだって達也の役目だった。
 当時二人が、テレビにかじりついてみていたあのヒーローを名乗って。

 決して喧嘩に強いほうじゃない達也であったが、“守ってくれる”その事実が、結花の中に確固たる信頼としていつしかあった。

「まぁ、エイジが手伝ってくれてなきゃヤバかったがなあ」
「もー、そういうこと言わなきゃわからないのにー」
「本当にそうか?」
「……」
「そこで黙るなよ……」

 他愛ない会話を交わす兄妹。植えつけられた恐怖を、日常を取り戻すことで拭い去ろうとしているようで、エイジは居た堪れない気持ちになる。

「……背負いすぎんなよ」

 言おうとした言葉をさえぎるように、達也が呟く。

「お前がいなけりゃ、結花は取り戻せなかったんだ。……だから、ありがとな」

 その言葉に。
 ほんの少し……本当にほんの少しだけ、救われた気がして。

「……ああ」

 エイジは目を伏せて、小さくうなづいた。


   -第3幕・了-



 Q.バイクは?
 A.後日回収に向かいました。

 当初の予定ぶっちぎって3シーンオーバー。やっぱ重要回だししょーがないか(言い訳

 さて、今回も次回予告できませんorz

 ストーリー展開としてはいきなり時間飛びます。いやだって50話とか逆立ちしたって無理だし(ぉぃ
 1回通常エピ(?)を挟んでから、次々回にて重要回をやろかなーとか、そんなアバウトな感じでやってます。
 オリジナルライダーとか一応コレ初めてだし。かなり手探り。
 でも王道路線ネタはやるよ! 具体的にはライバル登場とかパワーアップフラグとか

 ……いつそれが実現するかは知ったこっちゃねーがな!(まさに外道