「……すごい」
茉子が驚嘆に呟く。アヤカシを一刀の元に斬り伏せたその技量も去ることながら、漂わせる雰囲気も只者ではないことを物語っていた。
と、不意に金色の鎧が解け、宙に消える。その下から現れたのは、白いコートを纏った青年であった。
「……」
青年はシンケンジャーを一瞥すると、無感動に踵を返す。
「や、やいやいやいやいっ!」
そのまま歩き去ろうとする彼を、源太のがなり声が留めた。
「いったい何なんだよお前はよ! 突然あらわれてアヤカシぶった切って! つーかさっきのキンピカの鎧! オレとキャラ被るじゃねえか!」
的確なんだか的確じゃないのかよく分からない指摘に、青年は表情こそ変えないものの、少したじろいでいたようであった。
「お前…一体何者だ?」
変身を解いた丈瑠が、先ほどの問いをもう一度ぶつける。
「なぜアヤカシを討つ力を持っている? あの黄金の鎧の力か?」
「……あれは」
「……あれは」
不意に口を開く青年。その眼が鋭く光った。
「お前達の言う“アヤカシ”とか言うものじゃない」
「はぁ? アヤカシじゃなきゃなんだってんだよ」
『魔獣…ホラーさ』
「はぁ? アヤカシじゃなきゃなんだってんだよ」
『魔獣…ホラーさ』
ついで問いかける千明に、今度は別の声が答えた。
「…な、何今の声?」
「彼の手のあたりから聞こえたようだが…」
「彼の手のあたりから聞こえたようだが…」
きょろきょろと声の主を探すことはと、青年の手元を凝視する流ノ介。
『ほぉ、なかなかに察しが良いな』
青年の左手の中指につけられた髑髏を模したような指輪が口を利き、にんまりと笑う。
「……な、なにぃっ!?」
その指輪と“目”が合ってしまい、流ノ介の目が驚愕に見開かれた。
「ザルバ、余計なことをしゃべるな」
『へいへい』
『へいへい』
ザルバと呼ばれた指輪が、ため息交じりに呟く。
「…聞いたろう。アレはアヤカシではなく、ホラーだ。そして、俺はホラーを狩るものだ」
それだけ言うと、これ以上の干渉は無用、とばかりに再び踵を返す。
「……アヤカシだろうがホラーだろうが」
その背中に、丈瑠が凛とした声を投げかける。
「人に仇をなすものなら、俺達はそれを倒す。……それが、“侍”というものだ」
青年は一度足を止め、それを聞き届けると、再び歩を進め、その姿を夜闇に消した。
「……何なんだよアイツ。感じ悪ぃの」
「そうね。なんか初めて出会った頃の丈瑠みたい」
「そうね。なんか初めて出会った頃の丈瑠みたい」
憤慨する千明に、茉子が同意する。
「…待て。それはちょっと聞き捨てならないぞ茉子」
茉子の言葉に、思わず反論する丈瑠。
「だって…ねぇ?」
「だな。なぁことは?」
憮然とする丈瑠をよそに意味ありげな微笑を浮かべる茉子と、ことはに同意を求める千明。
茉子の言葉に、思わず反論する丈瑠。
「だって…ねぇ?」
「だな。なぁことは?」
憮然とする丈瑠をよそに意味ありげな微笑を浮かべる茉子と、ことはに同意を求める千明。
「え? あ、あの…ウチは……あ、流さんはどう思う?」
「って、そこで私に振るか!?」
答えるに答えられないことはと流ノ介。
「って、そこで私に振るか!?」
答えるに答えられないことはと流ノ介。
「……お前らな」
「…ドンマイ丈ちゃん」
「…ドンマイ丈ちゃん」
ため息をつく丈瑠の肩に、源太がぽんと手を置いた。
-つづく-
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源太のセリフといじられる丈瑠がやりたかったんです。
ええ、後悔なんてしていませんともっ。