炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【オリジナル】曖昧・Me・メイド?:第1話/プロローグ

 大きな窓越しに、ゆるゆると柔らかな陽光が降り注ぐ。

「……ふぅ」

 むやみに広いとある洋館のとある一室で、穏やかに午後のティータイムを嗜む一人の少女。

「…おかわり、要りますか?」
「ええ、お願い」

 傍らに控えるメイドが、ティーポットからいい香りの紅茶を注ぐ。カップが満たされると同時に、少女は角砂糖を3つ、すばやく滑り込ませた。

「……いつも思うのですが、それだと紅茶本来のおいしさがですね……」
「いいの。私、苦いの苦手なんですもの」

 しれっとそう言って、一口すする。
 やれやれ…とメイドが微苦笑していると、今度は二つ目のシュークリームに手を伸ばそうとしている少女。

「あまり止めはしませんけど、食べ過ぎると夕食に差し支えますよ?」
「甘いものは別腹なの」
 またどこぞの都市伝説などを持ち出す。
「……それ以前に太りそうですね」

 ふとつぶやくと、ぴくっ、とシュークリームに触れた指先が止まった。

「―――っ! ―――っ!」

 無言で抗議する少女に、メイドは苦笑いを浮かべざるを得なかった。


「……ところで」
「なに?」
「明日締め切りの数学の宿題、終わっていますか?」

 メイドが問いかけると、少女が「うげ」とこぼし、渋い表情を見せた。

「……そんなことだろうと思いました。夕食の後にでもお手伝いしますね」
「い、いいわよっ。っていうかアオイの成績、私と大して変わらないじゃないの」
「それでも数学はお嬢様より少し上だと自負していますが?」

 涼しい顔でアオイと呼ばれたメイドが答えると、少女がぷぅ、と頬を膨らませて見せた。

「いつもギリギリまで提出物をやらないのは悪い癖ですよ。少しはがんばってくださいね」
「わ、わかってるわよう……」

 メイドにやりこまれて、しゅんとなる少女であった。



 穏やかな日曜の午後。

 深窓の令嬢…にしてはちょっと元気すぎる帰来がある少女と、それに仕えるひとりのメイド。



 いわゆる<お嬢様ヒロインもの>としてはものすごくありがちなテンプレートといえよう。




 ―――唯一つ。




 メイドの中身が男の子であることを除けば。






     曖昧・Me・メイド? -I my me maid?-
     第1話






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 新連載!新連載!

 自重しろ…オレ自重しろ……


 ふはは…オレなんか…どーせオレなんか…(それは自嘲




 さて、本作は以前からやりたいやりたい言ってた「女装メイド」モノ。

 いわゆるシチュエーションコメディみたいなのを狙っております。

 ラブ要素…ですか?



 どうでしょ?(ぇ


 ともあれ、おじょーさまと少年メイドのまったりコメディでもお楽しみください(ぇ