「…む?」
午後になり、再び緑青騎士の捜索へと出かける紅牙とあかねを送り出した後、自らも出かけようとした斬は、“紅葉の家”の前にたたずむ人影を見かけた。
白いコートを羽織り、漂わせる特異な雰囲気から、それが同業者…魔戒騎士であることは容易に想像がついた。
「冴島…いや、違うか」
知人かと思ったが、その顔は見た記憶が無いものであった。南の管轄でも見かけたおぼえがない。先だって刃が言っていた助っ人の一人だろうか。
「冴島…いや、違うか」
知人かと思ったが、その顔は見た記憶が無いものであった。南の管轄でも見かけたおぼえがない。先だって刃が言っていた助っ人の一人だろうか。
「……うちに、何か用ですか?」
「!?」
声をかけると、白コートの魔戒騎士ははっとなって斬に視線を向けた。
「魔戒、騎士…?」
「ええ。あなたもそうみたいですが」
斬がそう言うと、魔戒騎士はああ、とうなづく。
「北の管轄から来た、雪野透だ。任務でこっちに来ることになってね、ちょっと寄らせてもらったんだ」
「……どなたか、縁のある方が?」
児童養護施設に来る人間であるならば、世話をしている子供達の関係者なのだろうか。斬が問いかける。
「いや……今は21、2くらいになってるはずだ。なら、もうここにはいないだろう?」
「まぁ、確かに今の在籍者でそのくらいの年の子はいないな」
「!?」
声をかけると、白コートの魔戒騎士ははっとなって斬に視線を向けた。
「魔戒、騎士…?」
「ええ。あなたもそうみたいですが」
斬がそう言うと、魔戒騎士はああ、とうなづく。
「北の管轄から来た、雪野透だ。任務でこっちに来ることになってね、ちょっと寄らせてもらったんだ」
「……どなたか、縁のある方が?」
児童養護施設に来る人間であるならば、世話をしている子供達の関係者なのだろうか。斬が問いかける。
「いや……今は21、2くらいになってるはずだ。なら、もうここにはいないだろう?」
「まぁ、確かに今の在籍者でそのくらいの年の子はいないな」
施設の入所対象は1歳以上から18歳未満である。条件を満たせば20歳まで在籍は可能ではあるが、現時点でそこまで長くとどまっている入所者はいなかった。
「そうか…いや、聞いてみただけだ、忘れてくれ」
「身内がいたというなら、調べようか?」
「気にしないでくれていい。それに、今あったとしても、向こうは魔界のことなぞ何も知らん普通の人間だ。わざわざ危険に首を突っ込ませることもしたくないんだ」
透の言うことももっともで、斬もそれならとそれ以上の追求はやめた。
「身内がいたというなら、調べようか?」
「気にしないでくれていい。それに、今あったとしても、向こうは魔界のことなぞ何も知らん普通の人間だ。わざわざ危険に首を突っ込ませることもしたくないんだ」
透の言うことももっともで、斬もそれならとそれ以上の追求はやめた。
「……妹、でな」
ふと、透が呟く。
ふと、透が呟く。
「ここに預けられたときは俺も小さかったからよく憶えてはいない。元気で暮らしていてくれれば…どこにいるかしれなくても、それだけで十分だよ」
「きっと、元気さ」
斬の記憶にある限り、同世代の在籍者で近年不幸があったなどという話は聞かない。ならば透の妹なる人物も、平穏な生活を続けているだろう。
「……ああ、そうあって欲しいよ」
穏やかな表情で、透がうなづいた。
「そういえば、僕以外の助っ人さんとやらは、もう来ているのかい?」
「いや、そういう話は聞いてないな」
「そうか。…なら、簡単でいいから、南の管轄を案内してくれると助かる」
お安い御用だとうなづき、斬と透が連れ立って歩き出した。
「きっと、元気さ」
斬の記憶にある限り、同世代の在籍者で近年不幸があったなどという話は聞かない。ならば透の妹なる人物も、平穏な生活を続けているだろう。
「……ああ、そうあって欲しいよ」
穏やかな表情で、透がうなづいた。
「そういえば、僕以外の助っ人さんとやらは、もう来ているのかい?」
「いや、そういう話は聞いてないな」
「そうか。…なら、簡単でいいから、南の管轄を案内してくれると助かる」
お安い御用だとうなづき、斬と透が連れ立って歩き出した。
-つづく-
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本編再開ですが、実質閑話とのクッションみたいなノリでしょうか。
透の妹に関しては、とりあえず本作ではこれ以上言及する予定はないです。
本作では。
ただでさえ人間が多い上にまた複雑な人間関係を持ち込もうとするとパンクしかねないしw(ぉぃ
透の妹に関しては、とりあえず本作ではこれ以上言及する予定はないです。
本作では。
ただでさえ人間が多い上にまた複雑な人間関係を持ち込もうとするとパンクしかねないしw(ぉぃ
次回は久々に咎牙サイドを予定しております。