「どわっ!」
強烈なマズルフラッシュとともに、重々しい金属音が地面を抉り取る。再びズレたソフトハットを直すのもそこそこに、翔太郎はフィリップの下に文字通り転がり込んだ。
「風都をこんなにしたのもこいつかね?」
「関連性は断言できないが、その可能性は低くない」
「オッケー……」
「関連性は断言できないが、その可能性は低くない」
「オッケー……」
なら俺たちがやることはひとつだ。と、ドーパントらしき人影をにらみつける。その手には黒い大き目のUSBメモリのようなもの……<ガイアメモリ>が握られている。
「いこう、翔太郎」
隣のフィリップも同じようなメモリを手にする。こちらは緑色のカラーリングだ。
隣のフィリップも同じようなメモリを手にする。こちらは緑色のカラーリングだ。
-Cyclone-
-Joker-
-Joker-
二人がメモリの起動スイッチを入れると<ガイアウィスパー>と呼ばれる野太い音声が鳴り響く。
「「変身!!」」
いつの間にか両者が腰につけていたベルトのバックルのスロットに、まずはフィリップが緑のメモリを装填する。と、そのメモリが掻き消え、翔太郎のバックルに移動した。つづけて翔太郎がもうひとつのスロットに黒いメモリをセットし、それを横に倒す。
-Cyclone Joker-
二人の声と同じように、メモリの音声が重なった。刹那、フィリップの身体は糸の切れた人形のように倒れ、翔太郎の身体が風に包まれる。たたずむ怪人の目の前で、翔太郎は緑と黒の鎧を纏う、アシンメトリーの戦士……<仮面ライダーW>へと、その姿を変えた。
「さぁ、お前の罪を―――っ!?」
左手の人差し指が怪人を捕らえようとした刹那、爪先に衝撃が走った。怪人が再びブラスターを撃ち、弾丸が左手を突いたのだ。
「痛ぅ……にゃろっ、キメ台詞くらい言わせろってんだ!」
『言ってる場合じゃない!』
倒れ伏しているフィリップの声が、翔太郎の身体から響く。怪人のトリガーにかかる指の力が増したのを感じ、翔太郎はフィリップを脇に抱えて飛退いた。
『言ってる場合じゃない!』
倒れ伏しているフィリップの声が、翔太郎の身体から響く。怪人のトリガーにかかる指の力が増したのを感じ、翔太郎はフィリップを脇に抱えて飛退いた。
「ちっ、容赦ねえヤローだぜ」
呟きながら、探偵事務所の建物の陰にフィリップの身体を降ろす。脱力しきったからだが反動で揺らぎ、壁にしたたかに頭をぶつけたが、その意識はまったくの無反応だ。
呟きながら、探偵事務所の建物の陰にフィリップの身体を降ろす。脱力しきったからだが反動で揺らぎ、壁にしたたかに頭をぶつけたが、その意識はまったくの無反応だ。
『翔太郎、僕の身体は丁重に扱ってくれ給え』
「しょーがねえだろ、不可抗力だ」
「しょーがねえだろ、不可抗力だ」
ったく、なんでこんな時に亜希子はいねーんだ……と不在の所長に対し愚痴を漏らす。いつもなら意識を失っているフィリップのフォローは彼女の役目なのだ。
相棒の安全を一応確保し、翔太郎が再び怪人の前に躍り出る。
「おらあっ!」
振り上げる足刀が、風を纏って怪人を打つ。が、怪人が即座に掲げた右腕に阻まれ、鈍い音を響かせた。
返す刀とばかりに、怪人も蹴りを見舞う。それを翔太郎が右腕で弾き間合いを取った。
間髪いれず怪人の銃撃が降り注ぐ。親指大の銃弾が頬を掠める中、翔太郎はあえて前に出る。懐に飛び込んだと同時に足払い。脛を強かに打った怪人が僅かによろめいた隙を縫い、手刀で右腕を打ち、ブラスターを取り落とさせた。
武器を失った怪人は無感動に体勢を立て直す。即座に戦闘スタイルを徒手空拳メインに切り替え、足元の翔太郎を蹴り飛ばした。
相棒の安全を一応確保し、翔太郎が再び怪人の前に躍り出る。
「おらあっ!」
振り上げる足刀が、風を纏って怪人を打つ。が、怪人が即座に掲げた右腕に阻まれ、鈍い音を響かせた。
返す刀とばかりに、怪人も蹴りを見舞う。それを翔太郎が右腕で弾き間合いを取った。
間髪いれず怪人の銃撃が降り注ぐ。親指大の銃弾が頬を掠める中、翔太郎はあえて前に出る。懐に飛び込んだと同時に足払い。脛を強かに打った怪人が僅かによろめいた隙を縫い、手刀で右腕を打ち、ブラスターを取り落とさせた。
武器を失った怪人は無感動に体勢を立て直す。即座に戦闘スタイルを徒手空拳メインに切り替え、足元の翔太郎を蹴り飛ばした。
『……おかしい』
と、翔太郎の脳裏にフィリップの声が響く。翔太郎は「あ?」と聞き返しながら、怪人から離れた。
「おかしいって何が……だ!?」
飛び込んできた怪人の拳をいなしつつ翔太郎が尋ねる。
『あれは……ドーパントじゃないかもしれない』
「なんだって?」
『よく見てくれ。ドーパントにはほぼ例外なく、青い半球状の核が存在するんだが、アレにはそれが見受けられない』
言われてみれば……と翔太郎が改めて怪人を一瞥する。
「じゃあなんだ、この間戦った<ヤミー>ってヤツか?」
『その可能性も低い。ヤミーはその身体がメダルで構成されていただろう? アレを攻撃しても、ヤミーを攻撃したときのようにメダルが飛び散ることは無い』
飛び込んできた怪人の拳をいなしつつ翔太郎が尋ねる。
『あれは……ドーパントじゃないかもしれない』
「なんだって?」
『よく見てくれ。ドーパントにはほぼ例外なく、青い半球状の核が存在するんだが、アレにはそれが見受けられない』
言われてみれば……と翔太郎が改めて怪人を一瞥する。
「じゃあなんだ、この間戦った<ヤミー>ってヤツか?」
『その可能性も低い。ヤミーはその身体がメダルで構成されていただろう? アレを攻撃しても、ヤミーを攻撃したときのようにメダルが飛び散ることは無い』
それじゃ……
翔太郎が我知らず呟く。
翔太郎が我知らず呟く。
「こいつぁ一体、何者なんだよ……?」
怪人の頭の上、傘の中央にはめ込まれた“顔”のレリーフが、妖艶に微笑んだ。
-つづく-
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ダブル側の時系列としては、「MOVIE大戦CORE」の後。さらに厳密に言うと「仮面ライダーアクセル」の後日談です。ヤミーの存在に言及しているのはそのため。
さてさてさて。
ダブルの変身シーンを今回始めて明確に文章化したんですが……
いや、めんどくさいなコレ(滝汗
初回かつ、「原典を知らなくてもある程度わかるように」という配慮の元書いてるんですが、経た打つと文章の冗長化を招く要因になっちゃいますな。
ダブルの変身シーンを今回始めて明確に文章化したんですが……
いや、めんどくさいなコレ(滝汗
初回かつ、「原典を知らなくてもある程度わかるように」という配慮の元書いてるんですが、経た打つと文章の冗長化を招く要因になっちゃいますな。
以前、スカルの変身シーンを書いたことがあるんですが、アレは単体での変身なのでさほど苦でもなかったですね。やはり特異な変身パターンなのでちょっと大変かも。
今作に関しては今後のシーンでは簡略化は利きますが、他にもダブルを絡ませたSSの案がある身としては、同じような文章パターンを使うのもなんかアレな気がするので「どーしたもんかなー」状態ですね。
文章表現にもっとバリエーションを持ちたい。