炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【レジェンド大戦】Episode:FLASHMAN/故郷の星よ、再び


 宇宙全土が震撼していた。 

 <ザンギャック>を名乗る宇宙帝国が、全宇宙に向けて侵略を開始したのだ。 
 その悪辣さ、その卑劣さ。そして規模……いずれも過去に宇宙の征服をもくろんだあらゆる<悪>を凌駕し、瞬く間にその勢力を拡大させていった。 

 さまざまな星系や銀河が蹂躙されていく中、僅かに抵抗を続けていた者たちがいた。 

 ――そのひとつが、<フラッシュ星系>である。 




   BEGINNING to REGEND WAR 
   Episode:FLASHMAN/故郷の星よ、再び
 





「マグ、ザンギャックの残存戦力はどうなってる?」 
「今はグレートホース級が1隻残ってるだけだ。……おかしいな、ついこの間まで1個師団が展開していたはずなんだけど」 

 円錐を逆さにしたようなサポートロボット・マグの言葉に、フラッシュ星人は首をかしげる。 
 レジスタンス活動には全力を持って叩き潰してくるはずのザンギャックが、戦艦1隻残して撤退すると言う事例は、過去の情報を照らし合わせても類を見ない行動だった。 

「地球だ! 奴ら、地球に向かったんだよ!!」 

 司令室に飛び込んだ人影が、そう告げる。真紅の戦装束に身を包んだ戦士が、仮面のゴーグルを外し<変身>を解いた。 

「ジン……確かなのか?」 
 問いかけるフラッシュ星人の双眸を見つめながら、ジンと呼ばれた戦士は大きくうなづく。 

 フラッシュ星人とは異なる容姿の彼は、フラッシュ星系で育った地球人である。<超新星フラッシュマン>と名乗った彼らは、かつて生まれ故郷の地球で、<改造実験帝国メス>の魔の手から、地球を救った勇士なのだ。 

「サラとルーが、移動した艦隊の行き先をトレースしたんだ。90%以上の確率で、地球に向かってる!」 

 ジンの口調は焦りを帯びていた。かつて守った地球が、再び危機に晒されている。その規模は、かつてのメスの比ではない。 

「俺たちも地球に向かう! せっかく守った地球を、蹂躙されてたまるか!」 
「待て! 忘れたのかジン!?」 

 フラッシュ星人の言葉に、ジンが思わず口を噤む。 

「……忘れるわけが無い。この身に刻まれた“呪い”のことを」 

 メスから地球を守りぬいた彼らが、地球にとどまることなく、今もフラッシュ星系にいるのには理由があった。 

 反フラッシュ現象―― 

 フラッシュ星系で過ごした者は、その出身にかかわらず、他星系での長時間の滞在を許されない。地球で生まれたはずのダイたちでさえ、地球の環境に拒絶反応を起こし、生死の境をさまよったことがあるのだ。 

「あれから20年以上かけてもなお、反フラッシュ現象を克服する術は見つかっていない。お前たちの気持ちはわかるが……」 
「それでも!」 
「ああ。それでも、だ!」 

 ジンの言葉を引き継いで、力強い声が飛び込んでくる。 

「ダイ、みんな……」 
 フラッシュマンとして、ジンとともに戦った仲間たちだ。 

「落ち着くんだみんな! 地球にはお前たちの先達や後進の戦士たちがいることは知っているだろう? 命の危険を冒してまで地球へ向かわなくても……」 
「命が惜しくないと言えば嘘になる……だけど、それでも戦いたいんだ! 地球で!」 

 かつての戦いの中では、結局巡り合うこと叶わなかったまぶたの下の家族たち。名も顔もわからないが、今もきっと地球で生きているだろう。 

「俺たちは家族を守りたい! そして、今地球にいる子供たちに、俺たちと同じ想いを抱かせないために!!!」 

「……」 
 フラッシュ星人は、静かに5人の顔を見つめる。その10の瞳は、初めてであったときと変わらない命の輝きを秘めていた。 

「……わかった」 

 その言葉に、5人の表情がようやく緩む。 

「ただし! ……必ず生きて帰って来い。ここにいるお前たちの“家族”が、悲しんでしまうからな」 

「ああ……判ってる!」 

 ジンとフラッシュ星人が、硬く握手を交わす。勝利と、無事の帰還を約束する、固い堅い繋がりを、互いの胸に刻む。 

「みんな、<スターコンドル>へ!」 
 マグの声に、5人はかつての戦友たる空母に乗り込む。 

「スターコンドルの船内には、フラッシュ星系の大気成分を再現したエアロックを新たに設置した。反フラッシュ現象を完全とはいかないが、一時的に押さえ込むことは可能なはずだ」 

「……やれやれ、やっぱり俺たちがフラッシュ星を出ること、見透かされてるなあ」 
「そりゃそうさ。なんたって俺たちの“父さん”なんだからさ」 

 苦笑するダイとブン。メインコックピットに座ったジンから指示が飛び、彼らもシートに滑り込む。 

「さあ行こう……いや、戻ろう! 俺たちの故郷へ!!」 

  ――スターコンドル、発進!!! 

 銀色の翼が、漆黒の星空を切り裂いた。 


 ・ 
 ・ 
 ・ 


 ――地球は、戦場と化していた。 

 空を焼く、黒い匂いが充満し、爆発音と悲鳴と、悪の高笑いがこだまし、地球の大気を絶望で満たしていく。 

 その戦場を、ザンギャックの侵略を防ぐべく<スーパー戦隊>たちがボロボロになりながらも一進一退の攻防を繰り広げていた。 

「負けて……負けてたまるかっ! 俺たちの背中には……っ!」 

 命が、未来がかかっている。 

 満身創痍になりながら、それでも武器を掲げ、具現化した悪をにらみつける若き戦士たち。しかし、無常にも敵の銃口が戦士たちを、力なき人々を狙う。 

「くっ……!」 

「諦めるなッ!!!」 

 無力を悔やみ閉じかけた瞳が、その声に見開かれた。 

 刹那、眼前に光線の雨が降り注ぎ、雑兵をなぎ払っていく。上空を往くは、白き星の翼。 

「はっ!」 

 巨大空母から、五つの影が飛び降りる。その頼もしき後姿は、戦士たちに<仲間>だと気づかせるに十分であった。 


「みんな、“プリズムフラッシュ”だ!」 
「「おうっ!」」 
「「OK!」」 

 5人が<変身ブレス>を掲げ、叫ぶ。 

 プリズム! プラッシュ!! 

 フラッシュ星とそれをとりまく4つの衛星のパワーが、彼らの姿を変えていく。 

「シャット・ゴーグル!」 

 素顔が仮面に覆われ、全身をプリズムの煌きが包み込んだ。 


「何者だキサマラ!?」 

 ザンギャックの下士官スゴーミンが吼える。<戦士たち>は、かつて故郷に降り立ったあの日のように、高らかに宣言した。 

 ――俺たちは! 宇宙帝国ザンギャックと戦うために再びこの地球に帰ってきた!! <超新星フラッシュマン>!!! 


 戦士たちの戦いが、再び幕を開けた。 



   -It continues to the LEGEND WAR- 






 

 ゴーカイ第1話、そして映画「199ヒーロー」でのレジェンド大戦は、「興奮」以外の形容ができない代物ですよね。 
 あの圧倒的な世界の前には、細かい設定は些細なことなんですよ! 

 誰々が死んでるハズだ!とか お前ら今地球(あるいは地上)にいないだろ! とか、突っ込むだけ野暮なんですよ!!!(ぉぃ 

 ……でも突っ込むのが俺クオリティ。 

 で、今回突っ込むポイント。 

 <フラッシュマンの反フラッシュ現象はどーした。> 

 まぁ、同様のツッコミが「ターボレンジャー」1話や「ガオレンジャーVSスーパー戦隊」にもいえるんですが。まあアレは 

 「スペシャルやしな」 

 というおぼろさんの一言で済ませるのでスルー。 

 ……じゃあコレもスペシャルで済ませられるだろうという突っ込みもスルー。 


 まあ流石に20年経ってるので、フラッシュ星の科学力があればどーにか、とも思うんですが、それなら本編の時点でどーにかなってるだろ、という指摘もありそう。 

 ということで、今回は「反フラッシュ現象は結局克服できていない」というのが前提です。 

 さて、この前提を踏まえると、フラッシュマンの力を失った彼らはどうなるんだろうと。 
 ロボが軒並みレジェンド大戦で大破したらしいので、おそらくスターコンドルも大破してる可能性が高いんじゃないかなーと(コズモソード格納してる関係上、戦線には出ざるを得ないし)。 

 個人的見解としては「力を失ったと同時に反フラッシュ現象も症状が消えた」と思ったりするんですが、どうでしょ。コレだとレンジャーキーに反フラッシュ現象が残ってそうで、豪快チェンジするたびにゴーカイジャーが悲惨なことになりそうですが(滝汗 



 さてさて。 
 レジェンド大戦の突っ込みどころはまだありますんで。 
 そのへんの補完はまた気が向いたら。