炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

東方地霊殿・異聞/第2幕・第3場

「ああ、これね」

 ようやくお目当ての本を発見したパチュリーが興味津々とページを捲る。ややあってヤマメと思しき妖怪の情報に行き当たった彼女は、記述を指でなぞりながら黙読を始めた。

『むぅ……』

 と、地底の魔理沙が不満げに唸る。

『明かりはないし、染み込むような寒さだし……地底の妖怪は身体に悪いって、地底そのものが身体に悪そうなもんだが』
「貴女を行かせて正解だったわね。私じゃすぐに倒れてしまいそうだもの」
『よく言うぜ……』

 ジト目の魔理沙に、「そうそう」とパチュリーが口を開く。

「さっきの妖怪のことを調べたわ。さっきのは“土蜘蛛”。人間を病に冒す困った妖怪」

 パチュリーが開いたページには、鬼の形相をした巨大な蜘蛛が挿絵に描かれていた。

『病気たぁ勘弁だな。で、妖怪の弱点とかもわかるのか?』
「それは……」


  ――もしかして人間?


 応えようとしたパチュリーの声が、別の声で遮られる。

『人間が地底の調査に来たって言うの?』

 現れたのは、金髪をふわりとなびかせる少女。
 どこかの民族衣装だろうか、エキゾチックな装いが印象的である。

『ああ、そうだな。きっとそうに違いない』

 適当に頷く魔理沙に、少女は表情を曇らせた。

『悪いことは言わないわ。ここで大人しく帰った方がいい』
『帰る気はさらさらないな』

 少女の言葉に、しかし魔理沙はぴしゃりと突っぱねる。

『で、こいつの特徴はなんだ? 能力とか弱点とか』
「……そんなに直ぐには判らないわよ」

 尋ねられたパチュリーは、ため息混じりに応えた。

『折角忠告したのに……本当に人間は愚かね』

 少女が嘆息し、周囲に弾幕を張る。突如開かれた戦端に、魔理沙の表情が引き締まった。

『ちょっと痛い思いをして貰いましょうか。地底になんか二度と行きたくないってくらいには』

 円を描くように展開された弾幕が、するりと魔理沙めがけて飛ぶ。

「嗾けたのは貴女なのだから、自分で何とかしなさいよ」
『……しょうがないな。じゃ、倒している間に倒し方を教えてくれ』

 軽口で会話を打ち切った魔理沙弾幕を避け、すかさず魔力弾で応戦する。

『む? 緑色の目……あんた、さっき私を襲ったヤツかい?』

 肉薄した魔理沙が、少女の瞳を見て問う。

『さぁ、どうだったかしら……それより、よそ見している余裕があるの? 妬ましいわね……っ』

 緑色の瞳が爛と煌き、弾幕の密度が増す。あわてて間合いを取る魔理沙の目に、少女が握った手をぱっと開いた映る。すると、白い粉のようなものが周囲に漂った。



『ここにあるは一握の灰。花が舞うか、灰のままか。全ては貴女の心根次第?

 水橋パルスィが宣する……!』


  ――<花咲爺「華やかなる仁者への嫉妬」>!!!


 先ほどの<グリーンアイドモンスター>に似た緑色の大玉がひとつ、魔理沙を狙う。
 それを躱した魔理沙であったが、大玉が通り過ぎた後の光景に、思わず目を奪われる。

『おおっと?!』

 桜の花びらを模した弾幕が、華やかに咲き誇り、魔理沙の行く手を阻んでいた。

『あら、ちゃんと花に見えたみたいね。じゃあ大人しく、花に囲まれてやられてしまいなさい!』

 パルスィと名乗った少女が再び灰を撒き散らす。
 大玉とともに大輪の桜が幾重にも咲き乱れた。



     -つづく-





 と言うわけで嫁登場。 
 頑張って魅力的に書きます。ええ、主役二人より(ぉぃ 

 ところで。 
 2面以降、ボスのスペカ(弾幕)の数はどんどこ増えていくんですよね。 
 1面のヤマメは2つでしたが、パルスィは中ボス版のグリーンアイドモンスター含めると4つ。 

 ノベライズとはいえ、出てくるスペカを全部再現してたら冗長化がマッハ過ぎてどうにもなりません(滝汗 
 ちなみに、4面(さとり)まではスペカ4つ、5面(お燐)以降は5つ(中ボス含めると6つ)、EXステージにいたってはこいしソロで10のスペルカードという鬼仕様。いくらなんでも全部律儀に書いてたら俺のほうがピチュるわ! 

 正直4つまでが限度かなぁ……おのおののキャラを象徴するようなスペカのみを厳選して……いや、スペカ全部がキャラの象徴やがなw 

 まぁ、その辺は書きながら考えていきましょう。どっちにしろ削るのは確定ですが。