炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

第2話/シーン5

 ウルトラマンとTEAM-F.O.R.C.E.の連携で、怪獣への攻撃は順調に続いていた。 
 前回の台風怪獣<デュポーン>とは異なり、遠距離への攻撃手段を持たないのか、怪獣は動くこともかなわず攻撃に晒され続けていた。 

「よし、このまま押し切れる……!」 
『油断するなよエドワード隊員。怪獣に対して、我々は仔細な情報など一切ないも同じだ。何が起こるか……』 

 冷静に指摘するアルベルト。デュポーンのように、異常化した自然現象が実体を持った怪獣である可能性が高いが、まだ何が怪獣となったのかも解析中であった。 

『ファイターフォース、応答して!』 

 と、通信機に飛び込む声。それがメカニックを務める少女のものであると気づいたシンジロウがすぐさま繋ぐ。 

「おう、どうしたイオリ? 周辺住民の避難ならさっき終わったって連絡があったぞ。お前も早く逃げろよ!」 
『まだコウイチが戻ってこないの! 地下の崩落に巻き込まれたまま……』 
「何っ!?」 


 イオリからの通信に、同僚へ向けてコールをするが、返ってくるのはノイズだけだ。 

「応答がねえ……オーシャン・ステーション! イズミ隊員!」 
『こちらでも確認できません!』 

 それが通信機が壊れたためだと、知る善しもない面々の背中に不安と緊張がよぎる。 

「しゃあねえ。イオリ、お前はこの街から離れてろ。コウイチの捜索はこっちでする!」 
『でも!』 
「あいつが心配なのはわかるが、何の装備もなしに現場に居るのは危険すぎる。特にお前は実働メンバーじゃないんだしな」 

 シンジロウの言葉に、イオリが口を噤み、不承不承ながら頷いた。 
 ほどなく自衛隊の特殊車両が到着し、イオリを乗せ走り去った。 

「よし、んじゃ女泣かせの罪なヤツを探し……うお!?」 

 降下準備をと操縦桿を握りなおした刹那、激しい振動とともに計器が異常値を示す。 

「な、なんじゃこりゃあ!?」 
『コ、コントロール……不能!?』 
『みんな、姿勢制御に全力を尽くせ、どうにか胴体着陸させるんだ!』 

 急に操縦が効かなくなり、重力の鎖に引きずりこまれる3機のファイターフォース。それを視界の端に捉えながら、ウルトラマン……コウイチもまた身体の不調を感じていた。 

(この間のときの感覚じゃない……これは、あの怪獣の“攻撃”なのか?) 

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「オーシャン・ステーションからパイロット各員へ!」 

 しばしのノイズののち、イズミの座るオペレート席のスピーカーから3人の無事を知らせる声が届く。 

「ああよかった。電磁波の影響は一瞬だけだったようですね」 
『電磁波?』 

 オウム返しに問うエドワードに「ええ」と頷き、調査結果を報告する。 

「今のファイターフォースの不調は、怪獣から放たれた“電磁波”によるものです。GCSも精密機器ですから、一時的に作動不良に陥ったものと思われます」 

 そして、と一度口を閉じ、再び開く。 

「この電磁波と、出現時の状況から、怪獣は“地震”が具現化した怪獣であると推測がなされました」 
地震怪獣? 地震と電磁波ってなんか関係あったか?』 
地震の発生時に、電磁波の発生が認められることがある。自身の予測システムは、その電磁波をキャッチすることで行われるんだ』 

 疑問を抱くシンジロウに、アルベルトが解説した。 


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(ファイターフォースがやられた……あとは俺がなんとかしないと!) 

 改めて闘志を燃やすコウイチであったが、先ほどから放つ光弾は、ダメージこそ与えるものの致命傷までには至らずにいた。 

(どうすればいい……デュポーンを倒したあの技が使えればいいけど、ヘタに近づくとあの振動攻撃をくらっちまうし……) 

  ――ウルトラマン、俺に、力を……! 

 怪獣を倒す“力”を求める想いが、手のひらに集まる光を輝かせた。 

(この感じ……こう、か?) 

 両手を胸の前でクロスさせる。輝きがさらに増し、その光が“力”であると、コウイチは確信した。 

(いける……これなら!) 

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『……それともうひとつ。今まで皆さんの攻撃が当たっていくたびに、あの怪獣の周辺で小規模の地震が観測されていました』 
地震のエネルギーが実体を持った怪獣であれば、その体は大地震そのもの……ということだろうな』

 イズミとともにロバートが口を開き、渋い顔をして腕組みをする。 

「……って、ちょっと待てよ。じゃああいつをこんな街中でぶっ飛ばしたら……」 

 緊急事態に気づいたシンジロウがキャノピー越しにウルトラマンを見る。クロスした手から、猛烈な光のエネルギーが、今まさに怪獣に向けて撃ち放たれようとしていた。 

「よせぇっ!!!」 

 シンジロウの声が巨人に届く寸前、銀色の閃光が怪獣に突き刺さり―― 


 ――大地が、震えた。 


    -つづく- 


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 そういえばオリジナルウルトラマンなのに光線技はまだ披露してなかったということで。