「王様ゲーム!…なんてどうでしょう?」
「…なんて?」
デザイアグランプリのプレイヤーがくつろぐサロンで、コーヒーを運びながら思いついたように呟くのは、ナビゲーターのツムリだ。
その素っ頓狂な提案に、かつてデザグラのサポーター…いまは新デザイアグランプリ(仮)の運営を担う青年・ジーンが怪訝な顔をしながらコーヒーを受け取る。
「前にウィンさんに聞いたことがあるんですよ。次のゲームにいかがでしょうか」
「あのねツムリ…それゲームって言うより合コンでやるレクリエーションというかコミュニケーションというか…」
そうなんですか?ときょとん顔のツムリ。
「ともかくデザグラでは使えない類のゲームだよ…いやだよ俺、『王様だーれだ』っていってジャマトが王様くじ引く未来…」
「はは、そりゃ即ゲームオーバーだわ」
からからと笑いながら、ツムリに王様ゲームを吹き込んだ張本人…晴家ウィンがサロンに顔を出す。
「ウィン様!また適当なこと教えないでくださいっ!」
「いやいや、俺はツムちゃんにこっちの文化を教えてあげようと思ってだなー…」
「あわよくばそのまま合コンに誘おうとしてないかい?」
「…あ、バレた?」
一部ふくれっ面ながら、にこやかな談笑を続ける新デザイアグランプリ(仮)の運営メンバーたち。以前ジーンが語った、新たなデザイアグランプリは、着々と完成の目を見つつあった。
-PiPiPiPi!-
と、サロン内に突然響き渡るアラート。瞬間ウィンが笑顔を消して弾かれるようにバックヤードに飛び込んでいった。
「な、なに突然?」
「以前発生した、メラとメロによる『神殺し事件』のような事態を防ぐために、私たち以外の何者かがデザイアグランプリのノウハウを用いた何らかの行動を起こした場合、それを察知するシステムを組み込んだんです」
俄かに慌ただしくなった事態に驚くジーンに、ツムリが冷静に説明する。
「何者か…旧デザイアグランプリ陣営の残党とか?」
「その可能性もありますが…」
旧陣営の首魁たるスエルは既に斃され、未来世界における連中の影響力は限りなく低下したと言っていいだろう。しかし技術的なノウハウは(創世の女神を除けば)おそらく残されている。メラとメロ同様、第三者が流用…悪用される可能性は十分に考えられる。
「あーあーあーあー、なんかめんどくせえヤツだぞこれ…」
バックヤードからウィンがボヤきながら戻ってくる。
『…そうみたいだな』
「!?」
どこからともなく、声が響く。
「今の声…」
「まさか…!」
サロンの隅に雑多に置かれたデザイアグランプリ用の備品の山から、デザイアドライバーが1台浮かび上がって、ツムリたちの前で静止する。
ぼぅ…とドライバーが青白く光り、その光はやがて人の輪郭を形作って…
「…よぅ」
その光の中から、盛装姿の青年がふわりと現れた。
──英寿!!!
最強にして伝説のデザ神…浮世英寿の登場に、サロンにいたメンバーが一斉に声をあげる。
「ツムリ、ウィン…プレイヤーの選定と招集を頼む」
「ええ、喜んで!」
「おう、任せろ」
再びバックヤードに戻るウィンと、ついていくツムリを見送って、ジーンが英寿に向き直った。
「また感動を見せてくれるのかな、ギーツ?」
「期待には応えよう」
不敵に笑って見せる英寿に、ジーンがぱぁっと表情を明るくした。
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──おめでとうございます。今日からあなたは仮面ライダーです!
-つづく-
というわけでギーツサイドの導入部。時系列としては映画の後日談ですね。「神殺し事件」というワードは二次設定ですが。
映画「4人のエースと黒狐」の時点でジーンがTV最終話で言及していた新デザグラでいいと思うんだけど、たぶん運営は手探りでやってて発展途上…ってとこかな。メインはジーンで回して、ツムリやウィンがサポートに回る感じ?そらメラメロにあっさり介入されるわ(失礼
まぁ奴らの場合、旧デザグラ運営時代から暗躍してたっぽいし多少はね?
さて、次回は異世界=キングオ世界に突入するプレイヤーをご紹介。
まぁ概ねいつメンですが、プラスアルファメンバーもご用意しておりますよ✋