【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「レジェンドルート」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。
問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。
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元気を取り戻したマフティフを、顔中くしゃくしゃにしながら抱きしめて喜んでいるペパー。本当によかったね!
「ああ…ヒイロのお陰だぜ…あとコライドンもな!」
「アギャス!」
コライドンに対してもお礼を言っているあたり、本当に本当に嬉しいんだろう。それだけにマフティフにここまでの大怪我を負わせる状況が気になった。
「…そうだな。オマエにも話しといたほうが…」
とペパーが言いかけたところで、ぼくのスマホロトムに着信が入った。
『ハロー、ヒイロ。こちらオーリム』
「母ちゃん…!?」
驚く息子をよそに、オーリム博士は淡々とコライドンが力を取り戻したことを確認する。
『戦う力はまだのようだが…やはりきみに任せて間違いはなかったようだ』
「ケッ、何様だよ…」
『その声は…ペパーか。そこにいるのか?』
と毒づくペパーに、ずっと連絡を取りたかったと返すオーリム博士。親子仲は良くはなさそうな感じだったけれど、お母さんからは歩み寄ろうとしていたのだろうか?
『…キミ意外に研究所に入れる人間がいなくてな』
「…はぁ?」
…なんだか雲行きが怪しくなってきた。
オーリム博士は、ぼくたちにコサジタウンのはずれにある灯台…その建物に設けられた研究所に向かってほしいという。
『キミたちが目的地に着いたら、また連絡する』
そう言って、通話は途切れてしまった。
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「ったく、数年ぶりの会話がパシりとか…何考えてんだホントに…?」
コライドンに二人で乗ってコサジタウンへ向かいながら、ペパーがボヤく。そうは言いながらも、それでもぼくとコライドンのために同行してくれている。
「…ってか、ここからコサジって結構遠いぜ?ほんとにタクシー使わないのか?」
「うん。完全復活したコライドンを、ペパーにも体験してほしくってさ」
海岸線沿いにぐるりと回れば、コサジタウンにたどり着くのもそう難しくはない。まずは小島から"なみのり"を使って陸へと上がる。パルデアの海岸線は断崖になっていることが多い。"大ジャンプ"で大きく飛び上がり、対岸まで"かっくう"でひとっ飛び。
「お…おいおいヒイロ、飛距離足りなくね?このままじゃ崖に…!」
「コライドン、取り付いて!」
「アギャス!」
ぺたり、と吸い付くようにコライドンの四肢が崖肌を捉える。そのまま上へ"がけのぼり"して…また海岸線に沿って、大地を"ダッシュ"で一気に駆け抜けるのだ。
「…すっ、げえな」
「でも最初は、コライドンはぼくを乗せて進むのが精いっぱいでさ。崖に上がってもズズ…ってずり落ちたりするし。水に落ちたら沈んじゃうし…今こうやって、思いっきり動けているのはペパーのおかげなんだよ」
「…よせやい。オレは自分のためにヒイロのこと利用したようなもんなんだぜ?コライドンの力が戻ったのは、オレにとっても偶然みたいなもんで…いや、だからこそマフティフもきっと元気になるって確信が持てたのも事実だけどよ」
たしかにそれはそうかも知れない。でも、そのきっかけがなかったらコライドンは今でも出会った頃のままだったろう。
「それに、コライドンが復活したのはスパイスの力ちゃんだぜ。オレのおかげってのは違うさ」
「ううん、そのスパイスをサンドイッチにしてくれたのはペパーだよ。だからこそコライドンも美味しく食べられたんだ」
ヌシポケモンたちはスパイスを直接食べていたけれど、わりとグルメなところがあるコライドンが食べられたのは、ペパーの腕があってのことだろう。
「…ほら、もうすぐコサジタウンだよ!」
翼を広げたコライドンの上から、灯台の光が見えた。
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流石にオージャの湖からコサジタウンまでは時間がかかり、日もとっぷり暮れていたので、母さんの厚意もあって今日はぼくんちでお泊りだ。
「あら、ヒイロのお友達?」
「あ、は、はい、ペパーっていいます…」
「ああ!ヒイロから聞いてるわ。お料理が得意なんですって?ね、私にも教えてくれないかしら?」
母さんとペパーの合作で、今日の夕飯は相当に豪勢なものになった。ペパーも母さんから学べるものがあったらしく、ご機嫌で舌鼓をうっていた。
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「…悪いな、ベッド借りちまってよ」
「気にしないで。こういうのもなんか楽しいし。越してきたばっかりだったから、こうやって友達泊めるのも初めてだよ」
照明を落としたぼくの部屋で、ぼくは床に寝転がって見慣れた天井に視線を向ける。
「…いい母ちゃんだな、ヒイロの母親」
「そう?ちょっと過保護かなって思うことはあるけど」
「はは…ほんとに過保護ならいくらコライドンがいたって課外授業なんて危険なことさせねえだろ?」
それはそうかも。
「…ウチの母ちゃんさ」
ペパーがぽつりとつぶやく。天才的なポケモン博士として、非常に有名な人物であったらしい。
「でも子供のオレにとっちゃ最悪さ!昔っから研究やら仕事やらで忙しくて、いっつも家にいなくて…遊んでもらった記憶だって」
小さなころはそれこそマフティフがペパーのそばにいた、家族のようなものだったんだろう。そんな家族が大怪我を負ったのだから、わずかな可能性…秘伝スパイスの伝承にだって縋りたくもなるだろう。
「…オマエは自分の母ちゃん、大事にしろよ?」
「…うん」
ぼくの母さんを見て、きっと思うことはいっぱいあったんだろう。でもペパーはそれを全部飲み込んで、大切にしろと言ってくれる。その優しさが嬉しくって…ぼくは暖かなものを抱えたまま眠りにつくのだった。
-つづく-
ネタバレ注意、とは言ってますが本文は8割二次創作ですねw
ちなみに、実際に外周でコサジまで帰りましたwアホですw
まぁおかげで色々ポケモンゲットがはかどりましたんでそれはそれで。
セリフ回しは一部この後の灯台でのセリフなんかも混ぜてますね。その分研究所でのやりとりが端折れるかな?
実家に寄って一晩ってのは完全にオリジナル展開です。母親に思うところあるペパーに自分の母親引き合わせるとか割と人の心案件かもですが。
一応次回でレジェンドルート編完結回を予定してます。もうしばらくお付き合いをば。