【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「ザ・ホームウェイ」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。
問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。
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災厄ポケモンたちの活躍で、ゼロラボのゲートから出てきた古代ポケモンを蹴散らすことができた。
「…よし、おかわりはこなさそうだな」
ゲートを覗き込んで、ペパーが頷く。じゃあ、早くラボに入ろう!
「おう…うん?」
「どしたん、ペパー?」
「いや、なんか…変な音ってか…声…?」
まだゲートの中に古代ポケモンがいる?
「いや、そっちじゃなくて外から…」
「ペパー!上!」
ネモの鋭い声が飛ぶ。振り向いたぼくたちの眼前に、猛烈な咆哮とともに降り立ったのは…
「…コライ、ドン…?」
少し前にオーリム博士が言っていた、もう一体?
「ってことは…その子の家族?」
「にしては…あんまり歓迎されて無さそう…」
ボタンの懸念通り、その場に控えたままの災厄ポケモンたちが警戒を解かない。初めて出会ったときに見た、バトルフォルムによく似ているけれど、その大きさもぼくの手の中にいるコライドンより一回り以上大きく見えた。そして何より…ものすごく強い敵意を向けていることがわかる。
「ギャアアアアスッ!!!」
「わっ!」
「きゃあっ!」
もう一体のコライドンが雄たけびを上げ爪を振り上げた瞬間、災厄ポケモンたちが吹っ飛ばされてしまった。慌ててモンスターボールに戻したけれど、気絶してしまっているらしく、しばらくは復活できそうにない。エルダたちを呼び出そうとしたが、一手間に合わず、その爪がぼくに向かって振り下ろされ━━
「ギャス!」
「コライドン!?」
モンスターボールから飛び出したコライドンが、ミサイルのようにもう一体のコライドに突っ込み、攻撃を止めた。
「ギャアアス!」
「アギャ…」
二体のコライドンが相対する。一瞬だけバトルフォルムを見せたこっちのコライドンは、いつしか元の姿に戻り、アーボックににらまれたニョロモのようにおびえ切ってしまっている。一方のコライドンは、まるで勝ち誇ったようにぼくらをにらみつけ…そのままゲートの中へと消えていくのだった…
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「アギャギャ…」
久しぶりに会ったであろう同族に、コライドンはすっかり参ってしまっていた。
「いじめられてたんかな…あいつに」
「かも、ね…」
ネモとボタンが背を撫でるが、縮こまったままだ。
「おいおい、ビビってんのかあんなやつに?」
「ちょっとペパー、言い方!」
「…あのよ、コライドン」
ボタンの怒声を手で制して、ペパーがコライドンに向き直る。
「…ガキの頃、オマエに母ちゃん取られたような気がしてさ、正直オマエこと大っ嫌いだった。…でもな!」
コライドンの頬を両手で挟んでしっかりと目を見て。
「だからって、オマエが今縮こまってんのは、なんっにも嬉しかねえ!
オマエにはすげえ力がある!オレたちもついてる!それになにより…」
ぐいっと頭をぼくの方に向けさせる。コライドンの瞳に、ぼくの顔が映った。
「さっき…一瞬だけだけどオマエ、バトルフォルムになれただろ!あっちのコライドンから、ヒイロを守るために!あんだよオマエには…怖い奴にだって立ち向かえる勇気が!だから…」
「うん…そうだよ!」
そこから先は、ぼくに言わせてほしい。
「ぼくときみなら、きっと…ううん、絶対負けないから!」
「アギャ…」
怖がっていたコライドンの瞳に、少しだけ光が戻ったように見えた。
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『ゼロラボ内に人体反応を検知』
ネモたちとゼロラボに入り込んだとたん、無機質な音声が耳を打つ。あれ、でもこの声って…
「ね、ねぇペパー…あれって…」
「…母ちゃん!?」
隅の椅子の上にうずくまるように座り込んでいるオーリム博士を見つけて、ペパーが駆けつけた。…生きてる?
「息…してなくねえか?お、おいどうなってんだよ母ちゃ…!」
『スリープモードを解除します』
「!?」
驚愕するペパーを尻目に、オーリム博士の身体がゆっくりと立ち上がった。
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結論から言えば、ここにいたオーリム博士は「本物のオーリム博士」ではなかった。クラベル校長を介し、ぼくにコライドンを託したのも、たびたびスマホロトムで力を取り戻したコライドンのことを教えてくれていたのも、ペパーとぼくのまえに顔を見せてエリアゼロに来るよう伝えてきたのも…
「ワタシは、博士が自身の知識と記憶を基に作った…人工知能で動くロボットなのだ」
そのAIオーリム博士曰く、本物の博士は第4観測ユニットで起きた事故によっていなくなった、と伝えられ…
「おい…おいどういうことだよ!いなくなったって!」
ペパーが詰め寄るが、AIの博士は一切動じない。
「話をまとめると…いまヒイロが連れてるコライドンと、そっちのコライドンが縄張り争いをして…こっちが負けた。とどめを刺そうとしたそっちのコライドンから、この子を守ろうとして…ってことか」
ボタンのある意味遠慮のない淡々とした説明が、今はむしろありがたかったかもしれない。一方、守られたこっちのコライドンは、エリアゼロを脱出しパルデア中を飛び回った果てに、入江の洞窟前の砂浜に倒れていた…ということなのだろう。
「さて、先日灯台の研究所で最後の手伝いを、と言ったが…その最終目的を今こそ話そう。それは…」
━━オリジナルの博士が作った、タイムマシンを止めることだ。
-つづく-
あ、これ6話分くらいになりそう(慢心
ホントにバトルだけで終わらせてもよかったんだけど、何の説明もないとアレだし、そもそもフルメンバーを現場に来させてる意味がないしなぁ。まぁアレンジ込みのノベライズだと思ってくだせぇ。