炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#ポケモンSV】ぼくの冒険レポート(45):ザ・ホームウェイ③~エリアゼロの秘密!オーリム博士の異変【#ネタバレ注意】

【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「ザ・ホームウェイ」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。

問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。

 



 

 

 

 

 

 

 

 

オーリム博士がぼくたちをエリアゼロに呼び出した理由…その真意は、通信越しではなく会って直接説明したい、ということでこの場でははぐらかされた。

「…だったら、とにかく下に降りるっきゃねーな」

ペパーが鼻を鳴らして第2ユニットを出る。彼を追って大穴を下る中、少しずつ環境が変化していくのが分かった。

「地下に進んでるから…日の光も届かんかったら、そりゃ草木も生えにくくなるよね」
「あ、そっか」

また、周囲をうろついているポケモンたちにも変化が生じてきた。進化系のポケモンに加え、さっきのプリンもどきなどの古代のポケモンと思しき姿が見られるようになってきた。

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「お…おいヒイロ!あれって…!」
「ヌシ!?やっぱりあれ、古代のポケモンだったんだ!」

スパイス探しの中で、ロースト砂漠で出会ったヌシポケモンだ。当然というか、スパイスを食べてないので大きくはないけれど、あの特徴的な姿は忘れるはずもない。

「ええ!?あんなん地上にもいたん?こっわ…」

ボタンの反応ももっともだ。キタカミでもシザリガーバスラオ外来種として原生のポケモンたちの住処を奪っていることが問題になっていると聞いたことがある。オーリム博士は管理しきれていないのだろうか?

 

   *

 

第3ユニットを経て、第4ユニットへ向かう。

「コライドンも古代のポケモンだったとは…」

ボタンのつぶやきに、コライドンが引きこもったままのモンスターボールを見る。言われて見れば、派手な羽や強靭な身体つきなど、他の古代ポケモンの特徴をもちあわせている。

「アイツは…母ちゃんがタイムマシンの研究中に見つけたポケモンなんだ」

と、ペパーが口を開く。どおりでバトルフォルムとか、そのへんのことに詳しかったわけだ。そんな彼も、古代ポケモンだという事実は、第3ユニットで博士から聞くまで知らなかったようだけれど。

「アイツは昔、母ちゃんが突然家に連れてきてさ。ちょっとの間、灯台の研究所で一緒に住んでたんだ」

しかし野生のポケモンとケンカをして、周囲の人たちに存在がばれそうになったことで、オーリム博士はコライドンをエリアゼロに連れ帰ったのだという。

「子供心に、コライドンに母ちゃん取られた気がしてさ…だからあんま好きになれなくって」

だからコライドンに対してちょっとぶっきらぼうだったのか…

 

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エリアゼロの最深部に近づくと、いよいよ緑はなくなり、ごつごつの岩肌と、ところどころに点在する、テラスタルの大きな結晶体が目立ってきた。

「コライドンがさ」

ボタンがふと呟く。

「こっちに降りる前にめっちゃ怖がってたじゃない?あれさ、見覚えあるんよ」

それは、かつての自分自身だとボタンがいう。いやなことがあった場所や、行動。それらを思い出すだけで足がすくんで、手が震える。いじめられ、孤立していた自分もそうだったと言って、きゅっと胸元を抑えた。

「だとしたら…今ボールに引きこもってるのも、バトルフォルムになれないのもそれが理由かな?」
「それが本当ならかわいそう…どうにかして元気になってもらいたいよね!」

コライドンと戦いたいからとかそういう不純な目的じゃないから!と、ネモが聞かれてもいないのに弁解した。

 

   *

 

第4ユニットに到着すると、ぼくたちの目の前にはとんでもない光景が広がっていた。

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「なにこれ…ボロッボロ!」

パイプかタンクの類が破裂したような跡、何かが詰まっていたらしいボンベは転がり、中身はとうに空になっている。そして、そこかしこにテラスタル結晶が付着…いや、侵食していた。何かが暴れた跡なのだろうか?

「暴れた…?なにがだよヒイロ?」
「それは…わからないけど」

とにかくロックの解除をしようとしたところで、オーリム博士の声がスピーカーから聞こえた。

「オーリム博士ー、ここなんで壊れてるんです?」
『それはすまない…ハロー、子供たちよ』
「…はい?」

ネモの問いかけに、妙な言い回しの言葉が返ってくる。

「おい、どうした母ちゃ…」

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『すすすまない すまなななない すますまない すまないまま』

まるで壊れたプレイヤーのように、言葉が乱れていく。これまでに聞いた単語がスクラッチのように乱れた声はどんどん大きくなり…やがてプツンと途切れた。

『…再起動ヲ、開始シマス』

オーリム博士に似た、しかし無機質な声が響き…しばらくして、もう一度『ハロー、子供たちよ』といういつも通りの声が帰ってきた。

 

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ついに4つ全てのロックが解除され、ぼくたちは改めてゼロラボを目指す。

「…さっきの、アレってさ」

ペパーが誰ともなしに呟き…「いや、やっぱいいや」と打ち切る。

「まだ確証がなくてさ…後で話すわ」

そのままペパーは押し黙り、ぼくたちは誰からともなく口を継ぐんだまま、ゼロラボへと到着した。

「ここが…ゼロラボ」
「建物がテラスタルしてるみてーだな…」

ペパーの言う通り、建物全体がテラスタル結晶でおおわれている。入り口は無事のようなので、ロックが外れた今なら解放が可能だろう。

『だが、ゲートを開けば中にいる危険な古代ポケモンたちが一気に外へと飛び出してしまう。…十分に気を付けてくれ』

オーリム博士からの注意に、ぼくたちは顔を見合わせて頷く。

「これがコンソール…ちょっとやってみる」

ボタンがキーを操作して、数秒後に地響きとともにゲートが開く。

「…な、なぁんだ。危険なポケモンなんて出て来な…」
「いや…来た!」

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しばらく静かだったゲートを覗き込もうとしたボタンの襟首をペパーが引っ張って戻す。次の瞬間、ものすごい勢いで古代ポケモンの大群が飛び出し…ぼくたちはあっというまに囲まれてしまった。

「こいつは…ちょっとばかりヤバイちゃんか!?」
「マルチバトルにしたって、もうちょっとかわいげあるよねぇ…」

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さすがのチャンピオン・ネモも表情に焦りが見える。みんな!こういう時こそ前にゲットしたあの子たちを…!

「そ、そっか…災厄のポケモンたち!」
「最悪には災厄を…ってな!」

ぼくたちは一斉にモンスターボールを投げ…
光り輝く洞窟に、今4つの災厄がよみがえった。

 

 

   -つづく-

 

 


ゲーム版だと、フツーにネモとのタッグで一部蹴散らした後、逃げ出した古代ポケモンたちを追うなどしてペパーたちとは別れるんですが、せっかくなので番外編で捕まえた四災に手伝ってもらう流れに。できれば全員揃った状態で最終戦をアレンジしたいんですよねー。書けるかどうかは別として。