【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「ザ・ホームウェイ」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。
問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。
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パルデアの大穴は、パルデア地方の中央部に存在する。
周囲をそびえる断崖に囲われた、文字通り隔絶された世界であり、ライドポケモンなどで強引に断崖を上がろうとしても、妙にレベルの高いポケモンたちが行く手を阻む。強引にそれらを飛び越えて侵入しようとした者たちは、いつの間にか外にいた…など奇妙な出来事も起きているほどだ。
そんな、魔境と言っていい世界に…ぼくたちは足を踏み入れようとしていた。
「ここが…大穴…!」
「待て待て慌てんな。まだ岩盤抜けただけだってばよ」
「強いポケモン…!」
「だーからまだだっつってんだろ会長!つか走んな!オレじゃねーとそこ開かねえんだから!!」
ペパーの案内で、ぼくたちが最初に訪れたのは古びた観測所だった。地上からエリアゼロを監視観測する場所らしい。
「そういや、ヒイロが連れてる…コライドンな。あいつ、エリアゼロが故郷…らしいぜ?」
知らんけど。と呟きつつ、ペパーが観測所の入り口を開けた。
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入り込んだ観測所は妙に薄暗く、周囲の機械類のモニターやランプが光っているくらいだった。
「あっれ…?前に来たときは明るかったんだけどな…」
「ふむ…ペパー、操作盤みたいなん、無いかな?」
「ああ、それなら…」
ペパーがコンソールにボタンを連れていくと、彼女はスマホロトムを機械につないで何か操作をしていた。すると…
「わっ、電気着いたよ!?」
「やっぱり…省電力モードになってたみたい。ん、これでおっけー」
証明だけでなく、周りの機械も急に大きな音を鳴らし始めた。
【生体認証確認中…生体認証確認中…】
「わっ、なになに!?」
スピーカーから流れだす機械的な音声に驚いたボタンがぼくのリュックにしがみつく。数回ほど、同じ文言が流れた後…小さなノイズが流れ、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『ハロー、ヒイロ…待っていたぞ』
「オーリム博士!」
『学籍番号、805C001…ネモ、ならびに学籍番号803B121…ボタン。来てくれて感謝する』
室内のどこかにあるであろうセンサーかカメラの類でぼくらを見ているのだろうか、助っ人でやってきた二人のことも知っているようだった。ペパーはこの二人を連れてくる、とは言ってなかったみたいだけど。
『キミたちにはまず、パルデアの大穴に入ってもらいたい』
オーリム博士の誘導で、地下階へと向かう。何度かペパーが声をかけているが、当のオーリム博士は『先に進んでくれ』としか言ってこない。
ともかく下に降りると、大きなハッチがぼくたちの存在を認識して開いた。ボタン曰く、遠隔操作によるものらしい。
「…で、ここからどうするの?」
「こういうのってフツー、エスカレーターとかエレベータとかそういうの使わん…?」
首を傾げるボタンとネモだが、ハッチの先は広大なパルデアの大穴が大きく口を開けているだけだ。
『ヒイロ、コライドンは連れてきているな』
「あ、はい」
『では、コライドンの滑空能力を使って降りてきてくれたまえ』
…はい?
「ちょっ…ええ…てかコライドン飛べるん?」
「飛べるというか、風に乗るというか…」
ともかく他に降りる手段がないのであれば、そうするしかないのだろう。4人も乗るとなると大変かもしれないけど…コライドン、お願いできる?
「アギャ…」
モンスターボールからコライドンを呼び出す。そのままハッチの縁までやってきて…おびえたように足をすくませた。
「…うん?どしたん?」
「はは…怖くてビビってんじゃね?」
そう言ってペパーがコライドンに飛び乗る。高さに怖がってるのかな?高い所からの滑空はしょっちゅうしてるんだけど…ナッペ山とか。
「ヒイロもたいがいトンチキ…怖いもんとかないん?」
ボタンに盛大に呆れられた。
「まぁまぁ、みんなで飛べば怖くないよっ!」
「どんな理論なんよ…」
ペパーに続いて、ネモとボタンが乗る。その重さでズズ…とずり下がるコライドンも、ようやく決心がついたのか触角の翼を広げた。
「ヒイロ!乗れ!」
ペパーが伸ばした手を掴み、ぼくもコライドンに乗る。
「アギャァァァス!!」
コライドンの咆哮が、断崖に反響した。
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パルデアの大穴の底は、青々と茂った緑が広がる大地だった。
「ここがエリアゼロ…」
「アギャ…ギャ…」
「うん?…どしたんコライドン?」
滑空初体験で目を回していたボタンが、様子のおかしいコライドンに近づくと…
「わっ!?」
自分からモンスターボールに閉じこもってしまった。
「ええ…そんなことあるん?」
「まぁ、わりと自分から出てくることもあるし、引っ込むのもお手の物なのかも…?」
結局それからボールから出て来なくなってしまったので、そのままにしておく。疲れたのか、ペパーの言う通り空腹なのか、それとも…
*
スマホロトム越しのオーリム博士からの連絡で、彼女の待つゼロラボというところに向かうことに。ただ、なぜかロックがかかっているらしく、道中に存在する観測ユニットという場所を順番に回ることになった。
「ここが一番の底じゃなかったのか…」
「ああ。ここからこう、螺旋階段みたく下っていくんだよ。しつこいようだが、このあたりの野生のポケモンはアホみてーに強いから気を付けろよ?」
ペパーに念を押されながら、ぼくたちはエリアゼロに足を踏み入れるのだった…。
-つづく-
というわけで最終シナリオ突★入!
一応すでにクリアした状態で執筆を開始してるので、今回含めて3話分くらいで終わるかなと想定しています。戦闘シーンは大体キンクリするし(ぉぃ
こちらもメイン3ルート同様、できるだけネモたち友人ズと同行するアレンジを加えたいんですが…終盤どうしたもんかなぁ💧