炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#ポケモンSV】ぼくの冒険レポート:番外編⑨~ザ・ホームウェイ(マイナス1.0)/集結!宝を掴む仲間たち【リプレイ風】

「つーわけで、ヒイロ!パルデアチャンピオンランク就任…」

 ━━おめでとーっ!!!

盛大なクラッカーの音が夜空に響く。ペパーがぼくのために祝いの席を設けてくれたのだ。

「ほれほれ食え!飲め!今日は盛り上がりちゃんだぜーっ!」
「いえーい!」

右側にペパー、左側にネモがぐいぐいと押し合い、ぼくにサンドウィッチやドリンクを進めてくる。嬉しいけど…ちょっと圧がすごい。

「…にしてもよくこんなとこ貸してくれたね」
「ふっふっふ…チャンピオンランク権限をフルに使ったからねっ!」

少し離れたところでポテチをつまむのはボタンだ。こんなところ…というのは、驚くなかれ、なんとパルデアポケモンリーグの会場たる建物…その屋上のバトルコートなのだ。パーティをどこでやろうか考えていたペパーとの話を聞きつけたネモがオモダカトップに頼み倒してここでの開催が決定したのだという。ペパーが作るサンドウィッチ以外のお菓子やジュースも、オモダカトップが提供してくれた。

「権力の無駄遣い感、パないわー…」

ボタンはパルデアリーグで奉仕活動と言う名のお仕事中だったのだが、こちらもオモダカトップの厚意で仕事を早めに切り上げさせられてこの場に参加している。

「あ、え、えと…ヒイロ…その、チャンピオン…おめでと。ど、動画…あとから見たけど…すっごい勝負…だった…前にうちと戦った時よかすごくない…?」
「えっ!?ボタンもヒイロったことあるの!?強かったでしょヒイロ!ボタンはどんな子つかって勝負したの!?ね?ね!」
「うぐ…ぐいぐい来るし…」

あーうん、今更だけどボタンはネモみたいなタイプは苦手そうだ…

「ほらほら、ネモ。ペパー印のサンドウィッチだよー」
「うわーい!」
「ふ、ふぅ…助かった」

ボタンがぼくの後ろに隠れた。

 

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「えーと、ネモにボタン。ちょっと聞いてほしいことがあるちゃんなんだが」

宴もたけなわとなったところで、ペパーが切り出す。以前彼の母親であるオーリム博士に頼まれた、エリアゼロへの進入依頼の件だ。

「オレとヒイロは、近いうちにパルデアの大穴…エリアゼロに行く。だけど、知っての通りエリアゼロってのはスゲー危険な場所だ。やべえポケモンもいれば、厄介な機械もある。だから…あんたたちの力を借りたいんだ」

頼む!と勢いよく頭を下げるペパーに、ネモとボタンは顔を見合わせた。

「急にそんなこと言われても…ねぇ?」
「う、うん…」

無理もない。危険だとわかっているところに、いち学生が頼んだだけで行く気にはなれないだろう。ぼくはコライドンやぽにこオーガポンのことや、自分自身の夢のこともあるから行くけど、もしそんな縁が無かったら、たとえチャンピオンランクに至ったとしても断っていたかもしれない。

「そりゃそうだよな…まぁ、仕方ねえ」

そう言ってペパーが大きく息を吸い…まずネモの方を向いた。

「生徒会長!エリアゼロにはスゲー強えポケモンがわんさかいる!強敵と戦いたい放題ちゃんだぜ!」
「強い…ポケモン…!?」

あ、食いついた。

「ボタン!アンタはこのヒイロにでっけえ借りがあるって校長から聞いたぜ!こいつ、大穴を冒険するのが夢なんだと。そんなヒイロの力になれるんだぜ?どうだ!?」
ヒイロの…助けに…!」

ボタンも大きく反応し、そんな二人の様子を見たペパーがものすごいドヤ顔でこっちにサムズアップを送った。策士だ…

 

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「じゃあ、いざエリアゼロへ!…って言いたいところなんだけど…まずは全員の実力ってのを改めて測りてえ」
「実力…じゃあ、ここでる?わたしはいつでもOKだよ!」
「そうじゃねえよ!ったく、バトルのことになるとポンコツになるなこの会長さんはよー…」

まぁ、確かにぼくたちがチームワークを発揮しないとエリアゼロでは生き残れないだろう。そういうのができるかってことでしょ?

「おう、そーいうこったな。さすがヒイロだぜ。話が分かる!」
「でも…具体的になにするん?」
「それだよなぁ…オレらはオレらで目的は果たしちまってるし、今更パルデアでなんか探して冒険するアテがあったか…?」

…全員で考え込んでいると、ふととある授業を思い出し、ぼくは手を挙げる。

「はいヒイロくん!」
「あのさみんな…歴史の授業でやってた、国を滅ぼした4つの厄災の話、覚えてる?」

かつて、パルデアにあったとされる王国…その王城を一夜にして崩壊させたという、4つの宝物がもととなったポケモンたちの伝承…レホール先生の調査により、それは事実だと発覚したのだ。

「はぇ…あれ事実ちゃんだったのかよ」
「確かに…ジム巡りの時にそれっぽい遺跡とか見た覚えがあるね」

レホール先生がまとめてくれた、厄災ポケモンの封印された祠の場所をみんなのスマホロトムに共有する。

「エリアゼロのポケモンたちは強い。ならぼくたちも、強いポケモンで対処するのも一つ手かなと思って」
「なるほどな…最悪には災厄をぶつけるってか」
「おお~!パルデアの大穴以外にも強いポケモンがまだまだいるなんてね!」

ペパーもネモも乗り気だ。ボタンはというと、おずおずと疑問を口にする。

「…んでもさ、その祠…?って封印されてんでしょ?どうやって開けるん?」
「先生が言うには、祠の周囲にそれぞれ黒い杭みたいなのが8本刺さってて、それを全部抜けば、対応した祠の封印が解けるって」

ただ、肝心の杭の位置まではレホール先生の調査でも調べきれなかった。ぼくもこれまでの冒険で見つけた杭は何本か抜いた…というか崩した?覚えはあるんだけど、全部じゃあないはずだ。

「だから、それをボタンに探してほしいんだ」
「う、うちが?ちょ、うちはそんな冒険とか…」
「いや、実際に見て回るんじゃなくて、ボタンの得意分野で探してもらうんだよ」
「うちの得意分野…?」

機械の操作やネットワークのハッキング等に長けた彼女の力で、様々な情報ソースから杭の場所を特定する…という寸法だ。

「あ、なるほど」
「で、見つけたポケモンを捕まえるために…ペパーの協力をお願いするよ!」
「そうか!食事パワーで捕獲能力を強化するってぇワケだな!」

サンドウィッチはメニューに応じて様々な効果をぼくたちにもたらしてくれる。たとえばその一つが捕獲パワー…ポケモンをゲットする力をアップすることができるのだ。

「よーし!そういうことならオレにまかせろちゃんだぜ!」
「そして…肝心の災厄ポケモンを相手にするのはわたしとヒイロってことだね!」
「うん、そういうこと!」

みんなの得意分野を活かして、エリアゼロに挑む前哨戦だ!がんばるぞー!

 

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ヒイロ、杭の場所の割り出し…コンプできた」

Vサインとともにマップデータに情報が送られる。ネット上のうわさ話や、そらをとぶタクシーからの航空写真のデータを基に、パルデア全土のマップ情報と照らし合わせ…全部で32本の杭の位置が明らかになった。これらをまず、みんなで手分けして抜いていく。杭を抜くためにはポケモンとの絆が必要だそうだが…みんなであれば問題はないだろう。

「よーし!完成ちゃんだぜ!対厄災ポケモン、捕獲パワーマシマシサンドだ!」

杭をすべて抜き終わった後、ピクニックセットを広げたペパーが具材のぎっしり詰まったサンドウィッチをふるまう。複数人で一緒に作ればパワーもさらに上がるということで、不慣れながらもネモやボタンも手伝って完成した代物だ。

「ちょ…具材多くない?…食べづら…」
「いや、無理して大口開けなくていいからよー…ほらよボタン、ナイフとフォーク」
「あ、ありがと…」

力を合わせるごとに、ぎこちなかったみんなの距離も少しずつ近づいているように見える。

「おいっしーっ!あぐあぐ…んぐっ!?」
「わわっ!?ネモ、のどに詰まった!?」
「慌てて食べてんじゃないよ…ほれ、ミックスオレ」

というかペパーが二人の保護者みたいになってるような…

「見てねえで手伝ってくれよヒイロ!」

 

   *

 

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そして準備万端ととのえたぼくたちの前に今…祠を封じる巨大な蓋が立ちはだかる。

ネモたちが見守る中、ぼくは蓋に手を触れ…
耳に障る轟音ともに、蓋がはじけ飛んで、そこから…災厄ポケモンが姿を現した!

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「ようやくわたしの…わたしたちの出番だね!いくよヒイロ! おいで…パーモット!」
「うん!やろう! 出番だよ、エルダマスカーニャ!」

意気揚々と災厄の前に躍り出たネモが、モンスターボールを繰り出した。

 

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かくして、ぼくたちの前には災厄ポケモンが入ったボールが4つ。ネモには器の災厄・ディンルーを。

「オッケー!」

ペパーには木簡の災厄・チオンジェンを。

「うし!」

ボタンには剣の災厄・パオジアンを。

「厄災とか怖いんだが…まぁ可愛いからいっか」

そしてぼくは、勾玉の災厄・イーユイをそれぞれ手に取る。かつて国を滅ぼした凶悪な力が、時を超えてぼくたちの味方になってくれるはずだ。

「4人でのはじめての冒険は…成功かな?」
「うん、いいんじゃないかな!」
「…ん」
「おーっし!そんじゃあ行くか…エリアゼロ!」

おーっ!と、円陣を組んだ4人の手が大きく振り上げられた。

 

 

   -つづく-

 

 


大穴に入る前に四災を捕まえたかったのと、原作ゲームとは異なり、番外編ですでに顔合わせ済みなメンバー間の掘り下げ?的なものをやってみたかったやつです。

四災は封印箇所こそフォローがありますが、さすがに杭の場所はマジでノーヒントだったのは堪えた…💧
ちょっとズルっこですがネットの力を借りました(というのをボタンの助力でという設定にしました・笑)

他にもマルチプレイによる食事パワー強化とかも反映しつつ、本編では(現時点で)かなっていないネモとのタッグバトルなんかも踏襲(ちょろっとだけですが)。
ゲーム上は当然自分一人で全部の災厄ポケモンを持ってますが、今後のリプレイSS上では何かの形で出せたらいいなぁ…などとなどと(手持ちに加える予定は今んとこないんですがね)。