【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「ザ・ホームウェイ」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。
問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。
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タイムマシンへと続くというエレベーターに、AIのオーリム博士ともに乗り込む。
「てゆーか、タイムマシンなんてよく作れましたね…」
『オリジナルとワタシの協力の賜物さ。こちらからモンスターボールを転送し、異なる時間軸のポケモンを捕まえ、現代へと呼びだす…これが大まかなプロセスだ。理論上は人間も転送は可能だが…片道切符になるからオススメはしないがね』
今もなお、タイムマシンは自動的にモンスターボールを送り込み、古代の世界はポケモンたちを吐き出し続けているとのことだ。
「…あんた、本当にAI…なのか?」
腕組みしたままAIオーリム博士をにらみつけていたペパーが口を開くと、博士は『ああ』と首肯した。
『ワタシの考えや行動は、すべてオリジナルのオーリム博士の知識・記憶をベースにコンピュータが計算し再現している。身体は機械さ…触ってみるかい?』
「…やめとく」
その高度な技術は、ゼロラボを覆っているテラスタル結晶による恩恵らしい。ゆえにAIはゼロラボから離れることはできないという。
『オリジナルに言わせればその再現率は99%以上らしいが…』
強いて違いを挙げるとすれば、タイムマシンを止めようとしていることだろう…とAIの博士はつぶやいた。
『かつてオーリム博士は古代のポケモンと今のポケモンが仲良く生きる世界を夢見ていた』
しかし、原始的で強大な力は、パルデアという器をいともたやすく破壊してしまう。ただの植物であるはずの秘伝スパイスの存在もそうだ。パルデアに迷い込んだ土震のヌシ一匹とっても生態系に大きな影響を及ぼしかけた。このままタイムマシンが動き続ければ、いずれ大穴からあふれ出た原初のポケモンたちはパルデアの大自然を粉々にしてしまうだろう…
オリジナルの博士は、それもまた自然の摂理と言っていたそうだが。
『だが、ワタシはそのような惨劇が起こることを合理的とは思わない』
そう呟いて、AIの博士は目を伏せた。
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タイムマシンを止めるためには、博士が用意していた最強のAIを倒す必要があるという。
「なるほどな…それでヌシをぶっ飛ばしてコライドンの力を取り戻させたヒイロの力を必要としたってわけか」
『理解が早くて助かるよ。さすがオリジナルの息子だね』
「…フン」
やがてエレベーターが最下層に到着し、ぼくたちはゼロラボのタイムマシンへと向かう。止めるためのカギは…
「…こいつってことか」
ペパーがリュックからスカーレットブックを取り出す。拙い字で博士の名が書かれたその本には、どれだけの思い出が詰まっていたのだろう。そしてそれを、最後にキーにしていた彼女の真意とは…
「…さてな。おいAIさんよ、本当にコイツでタイムマシンが止まんのか?」
『設計上はね。そこの台座に置いてくれたまえ』
「…ああ」
スカーレットブックをセットしようとしたペパーを、「その前に」と制止する。
『一つだけ問題があってね。マシンを止めようとすると…ワタシはキミたちに襲い掛かるだろう』
AIである彼女の意識は、防衛用のプログラムに乗っ取られてしまうのだという。
「なんだそりゃ…止めさせたいんじゃあねーのかよ?」
『止めたい意思もあるし…止めたくない意思もあるのだろう。ワタシとてワタシだ。その気持ちはよくわかる』
わけわかんねえ…とペパーがぼやいた。
『覚悟しておきたまえ…防衛プログラムの正体は、パルデア地方チャンピオンたちの戦闘を分析してくみ上げられた、最強にして無敵のAIだ。だが…』
恐らく生前のオーリム博士と変わらないであろう笑顔をぼくに…ぼくたちに向けて。
『キミたちとポケモンの絆なら…勝利できると信じているよ』
「…言われるまでもねえさ。なぁヒイロ」
そう言って、ペパーが2度3度深呼吸する。スカーレットブックを台座に差し込むと、電子音声とともに、タイムマシンの非常停止が告げられ…
-アクセスブロック…非常停止は中止…タイムマシンを再起動します…-
「お…おいおいどういうこったAI!止まらねえぞ!」
『来たか…ヒイロ、ペパー…子供たちよ』
-オーリムAI、スリープモードへ強制移行…-
『どうかワタシを倒してくれ。そして…』
-戦闘プログラム…-
『私の夢ヲ…阻ム者タチニハ…』
-起動します-
『ゴ退室イタダコウ!』
AI…いや、もはや戦うためだけの存在になったオーリム博士を模したロボットが、ぼくたちに向けてモンスターボールを投げ放った。
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『邪魔者ハ、排除スル…サァ、我ガ意ニ従エ…古ノぽけもんタチヨ』
遥か高みからぼくたちを見下ろす戦闘プログラムが、オーリム博士の身体を介して古代ポケモンたちを呼び覚ます。その数…実に5体。場所がタイムマシンであることも相まって、つい今しがた古代からやってきたポケモンたちなのだろう。
「いきなりわけもわからず連れて来られて戦う羽目になるなんて…こいつらも被害者なんだな」
「うん…ちょっと辛いけど…」
「でも、戦わんとどんどんそんな子が増えてくだけ…!」
「みんな…行くよ!」
ぼくたちはそれぞれのエースを呼び、対峙する。
「相手が古代ポケモンでも…その姿からタイプはある程度推察できるはず!ウェーニバル!あのウルガモスみたいなやつに"アクアステップ"…って、バツグンにならない!?」
古代のポケモンは、ぼくたちの知るポケモンとはタイプが違うのか…?
「焦んなチャンピオン!タイプ相性がわかんねえなら、当たるまでぶちあたりゃあいい!マフティフ!モロバレルのそっくりちゃんに…"ほのおのキバ"だぁっ!」
「発想が脳筋のそれなんよ…まぁいいや。ニンフィア!ウェーニバルが狙ったあいつに"ムーンフォース"!」
ペパーとボタンの攻撃が、それぞれバツグンに命中し、古代ポケモンを2体退けることに成功した。
『興味深イ…古代ノぽけもん、ソノ弱点ヲ理解シテイルト言ウノカ…?』
「へっへー!どうよオレの第・六・感!」
「ペパー…よくそんなノリでヌシポケモン相手にカチこみしてたねー…」
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その後もみんなの尽力で、5体の古代ポケモンをすべて倒すことに成功。これで終わりにしてくれるといいんだけど…
『…想定内ノ進行状況。アイニクダガ…キミタチの勝算ハ…ゼロダ』
まだ…くる!
『サァ、コレデ終ワリニシテアゲヨウ…キタマエ…吼エ猛ル月ノ光ヨ…!』
そう言ってAIが繰り出してきたのは…まだぼくたちが見たこともない古代ポケモンだった。
「なんだあいつ…ボーマンダっぽいけど…」
「いや、ボーマンダだけど…カロスで起こるっていうメガシンカ?に似てる気が…」
「呑気に構えてる場合じゃないし!来るよ!」
きっとこれが最後になるハズ…!
「みんな!テラスタルで一気に!」
ぼくの合図で、みんなが一斉にテラスタルオーブを構えた。
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4色の輝きが古代のボーマンダを打ち倒し。それを目の当たりにしたAIが膝をつく。
それと同時に、タイムマシンが停止し、せりあがった設備がゆっくりと元へ戻ってく。
「…これ…おわったん?」
「…多分?」
その中央には、オーリム博士の姿をしたロボットがまだそこにいて…
「おいアンタ!AIなのか、それとも…」
ペパーの呼びかけに、表情が少し緩んだ。オーリム博士のAIが戻ってきたようだ。
「母ちゃんじゃあ…ないんだよな?」
『あァ…コんナにも…大キく…育ッて…』
今までぼくばかりを見ていた視線が、初めてペパーに向いている。
「母…ちゃん…?」
『さミしイ思い…今マで、すマナい…させて…ぺp…』
その口が息子の名前を呼ぼうとした次の瞬間、空間が赤色に染まった。
-つづく-
当然ながら(?)実際のバトルは主人公くんがソロで頑張ってますが、せっかく4人いるのでマルチバトルです。5VS4+1という超変則バトルですがw
ちなみに実プレイでは初手のチヲハウハネ戦で相手のタイプを見抜けずマスカーニャがワンパンKOされました…orz
まぁ最終的にオオタチのノーマルテラス"ギガインパクト"でトドロクツキには沈んでもらいましたがね(ドヤァ
さて、いよいよ「ザ・ホームウェイ」も最終盤!