【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「ゼロの秘宝」「藍の円盤」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。
問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。
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ゼロラボの中は、あの日のまま…心なしか薄暗い気がするのは、主を失いある程度の時間がたったことで、ゼロベースのように省電力モードになっているのだろうか。
「あいたっ!ねぇ!暗過ぎよ!頭ぶつけたんだけど!」
「後先考えず走るからだよ!」
頭をさすりながらボヤくゼイユに、スグリがもっともな正論を返す。そんな様子に、姉はすっと目を細めて「ちょっと元気出た?」と問いかける。当の弟は、ぷいとそっぽを向くだけだったけれど。
ゼロラボ奥のエレベーターに乗り込み、下へと降りていく。以前はタイムマシンがあった部屋へと向かうものだったけど…
「そういえば、ロック解除したあのパネル…エレベーターの行先がどうとか言ってなかった?」
ふと思い出したように、スグリが口を開く。確か…ゼロの大空洞…だっけ?
「ふふふ…私たちはいったいどこに向かっているのだろうね?」
ブライア博士が興奮気味に笑った。
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果たしてエレベーターは止まり、その扉が開く。そして、ぼくたちの目の前に現れるのは…
「おおおおおおおお!!!」
さらに結晶に満ちた、未知の空間だった。
「ここが…エリアゼロのさらに奥?」
「ああ!データ上では先ほどよりもっと下層に位置しているよ!」
ブライア博士が見せてくれたスマホロトムの位置情報アプリは、確かにゼロラボの座標より下を示していた。
エレベーターのすぐ近くには机があり、そこにはかつてオーリム博士が書き記していたレポートが残されていた。やっぱり博士もここの存在は知っていたんだな…
「テラパゴスが【ゼロの秘宝】…!?結晶体となり眠っている!?そして、ステラとは…!?」
この書類がすでに宝だ!とレポートを読みながらブライア先生がテンションを際限なく上げていく。
「…ゼロの秘宝…伝説のポケモン、テラパゴス…!」
ブライア先生から漏れ聞こえた言葉を聞き捉えたスグリが「奥へ行こう」と急かし、資料を読みふけっていた先生も重い腰をあげた。
「レポートによれば…」
慎重に歩きながら、ブライア先生の講義が始まる。このゼロの大空洞は200万年前に形作られたらしい。約1000mに達するとされる空洞は、広大な岩盤が何度も崩落を繰り返した結果だとされ、現在は安定しているらしい。
「とてもそうは見えないけどね…わっ」
「ゼイユ!」
コケそうになったゼイユの手を掴み、助け上げようとして…今度はぼくが尻もちをつく。
「…いたた、カッコつかないなぁ」
「ホントよねぇ…でも、ありがと」
クスっと笑いながら、今度はゼイユがぼくの手をとって立ち上がらせた。
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「何これ?結晶でできた…花みたい」
巨大な結晶体が、ぼくたちを阻むように生じていた。この向こうに空間があるのはわかるけど、さすがにこのままじゃ通れないな…
「ね、ヒイロ。コライドンでぶっ壊せないの?」
「どうかなぁ…?」
「できないなら俺がカミツオロチで…」
躊躇するぼくの前に出たスグリがモンスターボールを出そうとしたところでブライア先生が慌てて止めた。テラスタルエネルギーそのものと推測されるこの結晶体は、強引に破壊したらどうなるか予想もつかないとのこと…さすがに危険すぎるということで、スグリもしぶしぶボールをひっこめた。
「でもどうすれば…このままじゃ先に…テラパゴスには…うん?」
と、スグリが何かの気配に気づいた。ぼくたちが振り返ると、一匹のポケモンがふよふよと浮かんでいた。
「あ!あれてらす池でたまにみかけるポケモン!」
「キラフロルだね。エリアゼロにもかなりの数が生息しているそうだが…こんなところにまでとは。それに…なんだ?」
ブライア先生いわく、不思議なエネルギーを帯びているようだ。確かに、野生で時折出現する、テラスタルエネルギーを纏ったままのポケモンと同じような雰囲気を感じるけど…?
「キラシチウ!」
と、突然キラフロルが襲い掛かってきた。
「お願い、エルダ!」
相棒を呼んだ直後、キラフロルが纏っていたエネルギーが解放される。テラスタルだ!
「えっ!?なんだあのテラスタル…?!」
ぼくたちの知るテラスタルとは全く違うテラスタルジュエルが、キラフロルの頭に出現している…これは一体!?
「とにかくこっちもテラスタルだ…エルダ、芽吹く輝きをまとって!」
仮面を輝かせ、ぼくたちは臨戦態勢を取った。
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未知のテラスタルに驚きこそしたものの、弱点はそのままだったらしく倒すことには成功した。それに連動するかのように、道をふさいでいた巨大な結晶体も姿を消す。…原理はわからないけれど、とにかく先に進めそうだ。
「やはり先ほどの…あれが【テラスタイプ:ステラ】!全てのタイプの力を発していた!」
言われて見れば、テラスタルジュエルが全てのタイプをイメージする色を帯びていた。キラフロルは本来、岩と毒タイプの複合で、通常のテラスタルならそのどちらかになる。その場合、強化されるわざもどちらかのタイプになるはずだけど、ステラのテラスタルは、いわタイプどくタイプのどっちの技も強化して繰り出してきていた。これがゼロの秘宝というやつなのだろうか?
「違うとは言い切れないが…博士のメモには、秘宝は結晶体となって眠っている…とされている。先ほどのキラフロルは結局キラフロル。ゼロの秘宝ではないだろう」
とにかく奥へ進まないとわからない。ということでぼくたちは開けた道をさらに進むのだった。
-つづく-
事前情報にも出ていた19番目のテラスタルがここで登場。道中でも同タイプのテラピースが大量に手に入ったので、のちのち誰かに食わせようかな?
どうしても各キャラクターとのやり取りがイベントどまりになるので(当たり前ですが)、もう少し会話を増やしたく捻出捻出。ブライア先生について各地方を回るので華奢な体ながらフィジカル面も十分強いと思いますが、ちょっと近づけさせたい欲求がでました。あのやり取りスグリがどんな感情で見てるのやら…w
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