炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【掌編】しぇいむふるいず☆しぇいむふる【桜藤祭/みさお】

 あるところに、小さな島が生まれました。

 気がつくと同じような島がいくつか生まれ―――

 いつしかそれらの小さな島はお互いによりそって……


 ひとつのとても大きな島になりましたとさ。





「うあー、いーたーいよぉー……」



   しぇいむふるいず☆しぇいむふる



「…どしたの、みさ?」
 今にも泣きそう…というか、半泣き状態の彼女に聞いてみる。

口内炎よ。まったく、不摂生ばっかりしてるからだ」
 ほっぺたを押さえてうんうん唸るみさのかわりに、かがみさんが答えてくれた。

「だってさ~」
「だってもへったくれもないでしょーが」
 おお、ぴしゃりと言い切られた。
「ゆうき~ 柊が出雲崎日本海より冷たい~」
 みさが泣き付いてくる。どんな例えだ。

「ってか、そんなにひどいの?」
「うん。もーばかでけえの。ギネスとれるぜギネス」
 そんなギネスはヤだなァ…。
「ん…どれどれ?」
「んあ…」
 ひょいと顔を近づける俺に、ナチュラルに口をあけてみせるみさ。
 うわ…確かにこりゃ大きいわ。ギネスとれるかどうかはわかんないけど。

「…………」
「…? どうしたの、みさ?」
 気付くと、みさが顔を真っ赤にして黙りこくっていた。

「……か、顔近ぇよ。…恥ずい」
 …うわぁ、可愛い。

「何を今更。普段からしょっちゅう顔近づけてるじゃん」
 なんて、おもわず言ってみる。

「ばっ…そんないっつもキスしてるみたいにゆーなぁ!!!」
 ……いや、そこまでは言って無いんだけど。

「へぇ…」
「ふふ…」
 ああ、ほら、かがみさんと峰岸さんの俺たちを微笑ましくも生暖かく見守る視線が…

「…うあぁ」
 みさ、自爆。
 恨めしそうな視線が俺を突き刺す。

「ご、ごめんごめん」
「むー、ゆうきのバカっ」

 ありゃ、ほっぺ膨らませてそっぽ向いちゃった。

「いやいやぁ…」
「ごちそうさまでした」

 ふたりの言葉が止めを刺して、みさ、ますますご機嫌ナナメに。

 結局この日は放課後まで口をきいてくれなかったのだった。




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 みさおといえば口内炎ネタ。けっこう多いですよねー。
 てなわけで。

 ちなみに、今作全体のネタ元は「日本一短い愛の手紙」の中の一編より。当時中学生くらいだった(多分)ながら、けっこうツボに入ったネタでした。

 ちなみにタイトルを和訳すると「恥ずかしいものは恥ずかしい」…になると思うんだけど…だめ?(ぉ