管理人室に行っていたリーダーが、大広間に戻ってきていた。掲示板に書かれた雑用の内容は…洗濯物の回収?これ、普段はピーネの仕事じゃ?
「うん、ピーネを手伝ってって言われたんだけど…」
あの子なら近くにいたはずね。ちょっと連れてくるわ。
「ありがとうマイコ」
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…ダメだったわ。リーダーが居るなら行けませんって。何やらかしたの?
「何もやらかしてないよ…」
あの日からずっと避けられているらしい。十中八九ローナさん絡みだろう。あの子も彼女に懐いていたようだし、ローナさんの死に関わっているリーダーを避けるのも無理からぬ話だろう。
…まぁ、とりあえず道具と回収箇所のメモを預かってきたから、リーダーはそっちをお願い。
「マイコは?」
ちょっとあの子と話してみる。
リーダーが離れたのを見計らい、厨房の奥へ向かう。ピーネに声をかけると、ビクッと体を震わせた後、おずおずとこちらを見上げた。
──ちょっと、お茶しない?
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「ど、どうぞ…」
そんな畏まらなくていいわよ。同じネイ族なんだし、仲良くしましょう?
「で、でも…」
わたしがリーダー…デモンゲイザーの仲間だから警戒してる?
「…っ」
図星ね。…まぁいいけど。
「…悪い人じゃないっていうのは、頭ではわかってます。今日だって雑用とはいえ、お手伝いしてくれていますし」
それ以上に、デモンと化したリーダーへの恐怖とローナさんを死なせてしまったことへの怒りと悲しみが、ピーネを頑なにさせてしまってるのだろう。
「…でも、いつまでもこのままじゃいけないってのもわかってるんです。管理人さんだって、仲直りさせたくってお手伝い頼んだんでしょうし」
…それがわかってるなら、充分だと思うわ。
「え?」
少しずつでいいから、またリーダーとお話ししてあげて。そうね…さしあたりこの後、手伝い終わって戻ってくるだろうから、お礼言うとか。
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「ふう、回収完了っと…って言うかみんな洗濯物溜めすぎじゃないかな…」
洗濯物でいっぱいになったカゴを抱えて、リーダーが大広間に戻ってくる。
「あとはこれ、どうすれば…」
「あ、あの…っ」
ピーネがリーダーに声をかける。
「あ、ピーネ…」
「その…」
──ご、ごめんなさいっ!
カゴをひったくり、ピーネは厨房に逃げ戻ってしまった…
まぁ、最初の一歩だ。時間が解決してくれる…というのは少々暴論だけど、急ぐことはないと思う。
…多分。
−つづく−
デモン撃破後の雑用回。多分この館、選択するにも金取られるんだろうなぁ…じゃなきゃ溜めないでしょうに(
もう少し箸休め回を挟んでおきます