「大将、宝探しに行かんか?」
顔を洗っていると、オヤカタからそんな提案を受けた。
「これまでの探索行でいくつか“宝の地図”を入手しておったじゃろ?」
あぁ、そういえば。探索とデモン狩りに集中したくて、片っ端から倉庫に入れてたっけ。
「次のデモンも探さにゃならんが…その手がかりにもなるんじゃないか?」
そうだね。ちょっと倉庫から引っ張り出してみようか。
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地図、というより暗号のような文章の羅列に悩まされながらも、ある程度のことは読めてきた。
特定のデモンの加護を得た状態…つまり鍵を装備した状態で壁を蹴ればいいようだ。
というわけで、踏破したエリアを順に回っていく。
出てくるのは、貴重なジェムや…ドクロ?まぁ、欲しがってる人にはお宝かもだけど。
そういえば、葬儀屋のプロメスが欲しがっていたっけ。
「…あれ?お兄ちゃん、これなんだろう?」
蹴破った壁から転がってきた物を拾い上げ、ビアンカが僕を見上げる。
…キノコ、だね。確か同じような物をピーネが持っていたような。いい匂いがするらしいけど…ね、マイコ。
「なに…むぐっ」
マイコの鼻先にキノコを近づけてみる。同じネイ族の彼女なら良さがわかるかもしれない。
「ふにゃぁ…」
匂いを嗅ぐなり、まるであくびのようにマイコが口を開いた。いい匂いする?
「ま、まぁ…って、いきなりなにやらせるのよ!」
エッチ!変態!と背中をバシバシ叩かれた…解せぬ。
「解しなさい!…まぁ、嫌いな匂いじゃないし?ピーネも好きなら持っていってあげたら?仲直りのきっかけにはなると思うわよ」
そうだね、そうするよ。
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ヒントが掴めた地図の内容をあらかた片付けていくと、森の隅に少し大きめの宝箱を見つけた。なにが入って…
「む、隊長!迂闊に触れては──!」
ノアルの進言は間に合わず、足元が急に消えた。
…気づくと、腐臭漂う空間にいた。
「こりゃあ…どうやら魔物の腹の中のようだの」
オヤカタが地面を蹴る。ぐにゃりと、肉感ある感触が脚にまとわりついた。
「まったくもう…少しは警戒なさいリーダー?」
ごめんごめん。でも、結果オーライかも。
「なんで?」
館の掲示板に、討伐依頼があったでしょ?ミミックって、きっとこいつのことだよ。
「なるほど…先の宝箱は此奴の擬態だった訳か」
だね。さ、宝探しついでに依頼もこなしちゃおう!
──戦いか?アタシの出番だね!
早速マルスが飛び出してくる。ちょうど良かった。新しく覚えた力を試してみよう。マルス、全力で暴れてみないか?
「いいねぇ!」
じゃあ遠慮なく…赤き竜人よ、戒めの鎖を解き放て──デモンレイジ!!!
「おおおおおおっ!」
かつて対峙した、マルスの暴走体が傍に立つ。あの時と違うのは、彼女が理性を保ったままだということ。
「こいつぁ凄え…力が湧き上がってくる感じだ!さァて、おっぱじめようぜ!」
炎を帯びた大剣を振りかざし、マルスの咆哮が戦端を開いた。
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「ミミックを倒したってのはホントか?」
帰還後、ことの次第をフランに報告していると、カッスルが顔を出した。
「で、奇妙な宝箱が出たらしいじゃねえか。…よし、ちょっと顔貸してくれ!」
有無を言わさず武器屋へ連行されると、カッスルは仕舞い込んでいたメモを取り出して説明を始めた。
曰く、この地方がいち鉱山街だった頃、時の領主が作らせたという“グリモダールの三至宝”。
そのうちの一つ、“王の指輪”というのが、カッスルの持ってきた話だ。
「俺が調べた事によりゃ、王の指輪の伝承には、それを入れた宝箱には、五つの封印を施したっていうんだがな…ああ、そうだ。お前さんが見つけた宝箱…五つ鍵穴があったんだろう?」
つまり…!
「そうよ、その宝箱の中に“王の指輪”が入ってるって事さ」
面白くなってきやがっただろ?とカッスルが顔を近づける。
「伝承には続きがあってな…その指輪は“神の使い”やら“魔神”やらに守られてる、っていうんだが」
それって、デモンのこと?
「ああ、十中八九間違いねえな。で、だ…」
カッスルが僕の持つ鍵を指差す。
「あの宝箱を開ける鍵は…そいつって訳だ。もちろん鍵穴の数…五本必要だがな」
ええと、今僕が持ってるのが…コメット、クロノス、マルス、ヘルメスの四つだから…
「あと一本ありゃ開くってことだな!」
揃ったら是非試してみてくれ!と武器屋は屈託なく笑ってみせた。
−つづく−
デモン退治もひと段落したので宝探しとクエスト消化を。
無印だと結構苦戦した記憶のあるミズガルズハート戦ですが、まるこげかつそれなりに育成したのが功を奏した感じですね。…まぁ肝心のマルスのデモンランクがまだ低いんで火力控えめでしたが💧
次回もクエスト進行しつつ、新マップ開放といきましょう~