マルスの魂を回収して、竜姫亭に戻る。
エントランスに着くなり、リーダーは早々に解散を宣言して、仲間たちはめいめいに自室へと戻っていった。
「じゃあ、僕はマルスの魂をフランに届けてくるよ」
デモンゲイザーができるのはデモン魂を捕えることと、鍵に変生したデモンを使役すること。
鍵への変生は、管理人にしかできないのだという…一体何者なのかしらね、あの人は?
「そのへん、あんまり詮索しないほうがいいってローナも言ってたよ?」
はいはい。ところで…
「?」
どうせ鍵を貰うのに雑用やらされるんでしょう?その時はわたしも手伝うから、呼びなさいよ。
「ありがとう。まぁ大変そうなら頼ることにするよ」
にへっと、探索中は絶対に見せない緩んだ笑みを浮かべて、われらがリーダーは上階へとあがっていった。
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大浴場で汗を流してから、自室に戻る。
一度は不覚をとったマルスに、ああも圧倒できたのは純粋に気分がいい。強くなっている実感をようやく得られた気がする。
自分と同じ名前のご先祖は、かの円卓の騎士であり、のちにグロムバルク王家の騎士団長にもなったという。
そこまでの高みに、自分も至れるのだろうか?リーダーと一緒に、デモンを狩り続けていれば、あるいは…
──ズズン…!
ぼんやりとした思案は、不意に訪れた揺れに吹き飛ばされた。急に外が暗くなったのを感じて、部屋の窓を見る。なにやら巨大な…蛇の胴体のような何かが、窓枠を覆っていた。
ドアを開くと、同じく事態に気付いたビアンカたちも同時に廊下に出てくる。合流してエントランスまで一気に駆け下りると、丁度リーダーもやってきていた。
管理人と二、三言葉を交わし、鍵を一本受け取る。
「…いくよ、みんな!」
さっきみた緩んだ素顔が嘘のように引き締まっていた。
…なんか、ずるいと思った。
−つづく−
ミドガルズヘッド戦も(レベル上げすぎちゃって)あっさりと終了しちゃったので端折ります(ぇ
まぁ本編のストーリーなぞりすぎちゃうと唯のノベライズになっちゃうしねぇ…
その辺のバランス配分は、なかなか悩ましいもんデス。