炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#DG2】5日目(朝)II:カプリコーン参戦!三つ目の禁域へ【リプレイ風】

「あなたがデモンゲイザー?ふぅん、思ったより貧相ですのね」

ミュゼに呼ばれて支配人室を訪れたラッキーは、とげ付きの開口一番に迎えられた。

 

 

「まぁいいわ。私はカプリコーン…我が槍にかけ、勝利をお約束いたしますわ」

新たに仲間になったデモン・カプリコーンはひらひらとしたワンピースの裾を翻して自信満々な笑みをラッキーへと向けた。

「…あ、そういや昨日魂をミュゼに預けてたっけか」
「忘れてたんですの!?しっつれーな方ですわねまったく…」
「悪ぃ悪ぃ、あのあといろいろあってな」

 

 ・

 ・

 ・

 

「さて…改めて自己紹介いたしますわ。私はカプリコーン。槍遣いランサーとして、デモンゲイザーの力となりますわ」

2階の相部屋にて、カプリコーンを加えた面々でミーティングを行う。

「おう、よろしくな。えっと…リコ」
「リコ?」
「長くて呼ぶの不便だからな。カプ“リコ”ーンで、リコだ」

カプリコーンが、「リコ…」と反芻するように繰り返す。

「あー、ヤならちゃんと呼ぶけど」

 

カプリコーン「い、いえ!リコでいいですわ!」

 

「い、いえ!リコでいいですわ!」

食い気味に肯定を受け、ラッキーは思わず後ずさりながら頷いた。

「…むぅ」
「ん?どうした、ライブラ」
「…べ、別に…」

と言いながらも口を尖らせたままのライブラに、首をかしげるラッキーであった。

 

 ・

 ・

 ・

 

ステラ座の西にある、大星堂。この近くにも禁域が存在するという。

「灯の霊廟…まぁ、いわばお墓ですわね」

かつての古代文明の王族の墓…とも言われているらしいが、詳しいことは不明だ。誰も調べていないから、だそうだが。

「ここを担当しているのはレオというデモンね。すばしっこくて相手の攻撃をひょいひょい避けて、逆にビシバシ当ててくる厄介な奴よ」

竜樹の夢について詳しかったライブラ同様に、カプリコーンが妙に詳しい。彼女もここの担当が良かった、とかなのだろうか。

「…別に、そういうわけじゃありませんけど。ただ、気高い王族の陵墓を守るのは、気高い騎士であってしかるべき…そう思いませんこと?」
「…ああ。やっぱここが良かったんだな」
「そーいうわけじゃありませんっ」

顔を真っ赤にして反論するカプリコーンをあしらいながら、ラッキーが歩を進める。

「って、足元ちゃんと見なさい!」
「あ?…うぉっと」

カプリコーンに襟元を掴まれ引き寄せられる。華奢な腕のわりにすげー怪力…と思いつつ言葉には出さないラッキーの足元で、熱せられた鉄の床がぐつぐつと湯気をたゆたわせていた。

「なんじゃあこりゃ…」
「灯の霊廟って言われているのは、こーやって熱せられた鉄の床から火の粉が上がっているからなの。下手に踏んだら大やけどよ。警戒なさい」
「お、おう…サンキュなリコ」

 

 ・

 ・

 ・

 

「ああっ、クソ!攻撃の通りが悪すぎるッ!」

サークルを探しているうちに魔物に襲われ迎撃するが、手応えがどうにも弱い。

「この禁域には、不死者…つまりアンデッドが多くいるようですね。彼らは普通の武器では効果が薄いです。不死者に特化した武器を探さないとですね」
「あとは魔法も有効よ。ライブラ、見せ場作ってあげるから存分にやって見せなさい」

自信満々なカプリコーンだが、彼女も仲間になったばかりにライブラ同様、力は初期値に戻ってしまっている。カプリコーンの力を取り戻すのも、今回の探索の目的の一つだ。

「あなたも無理はしないようにね、カプリコーン」
「あらライブラ、せっかくリコって呼び名貰ったんだから、そう呼んで欲しいわね」
「…わかったわ、リコ」

ラッキーに付けてもらったあだ名を、カプリコーンは存外気に入っているらしい。ご機嫌な彼女に対して、やっぱりどこか不機嫌な表情を見せるライブラの温度差に、ラッキーは少し首を傾げた。

 

 ・

 ・

 ・

 

「さて、これで5つ目のサークルか」

先んじてラッキーが魔眼で感知していたサークルは6つ。ここを制圧すればあと1つだ。

「ってことはそろそろ…むっ」

ジェムを仕掛け魔物をおびき寄せると、周囲の空気が変わった。デモンが出現する予兆だ!

 

 

「へっ、来やがったな!オレの名はレオ!」

出現したのは独特な着流しを纏った少女のデモンであった。頭にぴこぴこ揺れる獣の耳が印象的だ。トマと同じネイ族なのだろう。

「てめえらと話すことなんざねえ!いざ、尋常に勝負しやがれッ!!」

言うが早いか、一息にラッキーに肉薄し、抜き放った刀を素早く叩き込む。

「ンなろぉっ!」

ラッキーが即座に刀を抜き打ち、斬撃を阻んだ。

「…へえ!」

初撃を防がれたレオの表情が明るくなり、跳び退いて間合いを取りなおす。

「へへっ…アンタもカタナを使うのか。面白くなりそうだぜ…!」
「面白えかどうかは、てめえで確かめな…ライブラ!」
「承りましたっ!」

相手がラッキーに注目した隙を、ライブラがファイアボルトで射抜く。

「はあっ!」

しかし、レオの一刀のもとに火球は斬り払われてしまう。

「デタラメかよ…ライブラ、魔力は?」
「すみません、あと一発撃てるかどうか…魔力回復の技能は覚え直したんですが」

「アンデッド相手にバカスカ撃ったのがアダになったな…しゃあねえ、道具で俺たちのフォローに回ってくれ!」

そう言ってラッキーは魔眼の力を解き放つ。トランスデモンの発現だ。

「ペガッソ!リコ!あいつの相手は俺がする。どうにか縫い付けとくから、タイミングを見計らって突っ込んで来い」
「はーい!」
「わかったわ!」

星の力を刀身に纏い、ラッキーは新手のデモンを見据えた。

 

 ・

 ・

 ・

 

「畜生!やるじゃねえか…!」

鍔迫り合いを崩されると同時に、ペガサスとカプリコーンからの突撃をまともに浴びせられ、レオがようやく膝をつく。

「だが、まだビビってんな…?どいつもこいつも万全じゃあねえ…そうだろ?」

ボロボロになりながらも優位は崩させないレオ。事実、4人がかりでようやく押し切れたようなものだ。いちばんレオと斬り結んでいたラッキーも、仲間のフォローがなければ数合で落ちていただろう。

「もっと奥まで来てみやがれ…そしたら今度は、骨ごとぶった斬ってやるからよ!」

ギラギラとしたレオの視線がラッキーの魔眼を捉える。

「特にてめえだ、カタナ使い!さっきよりつまんねー戦い方したら、素っ首叩き落としてやっからそう思いな!」

そう吐き捨てて、ネイ族のデモンは音もなく姿を消すのだった。

 

 

   ーつづくー

 

 


ワンダーデモン戦は4ターンクリア。ここまでにカプリコーンのスキルが生えなかったのもちょっと苦戦要素ですな💧リバティスキルはパッシブの「反撃」にしちゃってたし。

メンバーのレベルアップと神器集め含めて、数日分ダンジョンアタックに費やす予定。

いままで番外編にしてた小ネタは、この合間に「◯日目」枠で書こうかなと。モン勇リプレイと同じノリで。