「ペガッソがお掃除してあげる!」
禁域での探索を切り上げ、昼食をとっているとペガサスがそんなことを言い出した。
「おっじゃましまーす♪」
断り切れずぐいぐい部屋まで引っ張られ、掃除道具を握らされる。
「じゃ、お掃除かいしーっ!」
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意外…というと語弊があるかもしれないが、ペガサスは手際よく掃除を進めていった。
ぱたぱたと部屋中にハタキをかけていく様は、案外禁域内での戦闘より俊敏かもしれない。
「もう、やっぱりホコリだらけだよ?普段あんまりお掃除してないでしょ?」
ラッキー本人はトマがやっているものかと思っていたが、後から聞いたら「ご主人様が、以前から自分でやると仰られていたので…」ということだった。
「そこは頼んどけよ記憶ある時の俺ェ…」
「ほら!お兄ちゃんもお手伝いをして!お掃除は、上から下にするとキレイになるんだよ!」
ペガサスに促され、渋々ながらラッキーもハタキを手にした。
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一通り掃除が終わると、部屋の中は見違えるようになった。これなら普段から掃除するのも悪くないな、とラッキーも思う。
「さあ、今日はお天気もいいから、お布団も干して…あ、そうだ!」
と、ペガサスが急にこちらへ振り向いた。
「せっかくだし!お洗濯もしちゃおう!お兄ちゃん、早く服を脱いで!」
「…はい?」
いうが早いか、ペガサスの手がラッキーのズボンに伸びる。
「い、いやちょっと待てペガッソ!ってうわ力強っ!」
変なところで人間とデモンの力の差を思い知らされるラッキーである。
「えーいっ!」
一瞬の隙を突かれ、ペガッソが腕を閃かせたかと思った瞬間、気づいたときにはズボンが剝ぎ取られてしまっていた。
「ふっふっふ…ディレイチャージのおうよーだよ♪」
「どんな応用だ…」
「さぁ、もう一枚も…」
じりじりとにじり寄るペガサス。その視線の先は、ズボンの下…つまり、パンツだ。
「まて、これ以上はだめだ!」
「…だめなの…?」
「人間には尊厳ってもんがあってだな…」
と言いかけて、はたしてペガサスに尊厳という言葉の意味が理解できるのかとラッキーは思い悩む。
…かくいうラッキー自身も、尊厳という言葉の意味を真に理解しているかと言われれば首をかしげざるを得ないが。
「そ、そっか…ごめんね、お兄ちゃん」
と、ペガサスが一歩下がって頭を下げる。
「ペガッソには、まだまだ知らないことがいっぱいなの」
そういえば初めて工場で出会ったとき、ペガサスは自らを生まれたばかりと称していた。ラッキーと出会い、魔眼を経て生まれ変わったことも踏まえれば、彼女は見た目以上に…あるいは赤子ともいえるくらいには…子供なのだろう。
「なら、これからもっと知らねーと…だな」
「教えてくれるの?」
「…俺が分かることはな」
「お兄ちゃんがわからないことは?」
首をかしげるペガサスの頭をぽんぽんと軽く撫でて、ラッキーが肩をすくめる。
「誰にだって聞きゃいーさ。ミュゼでもプリムでも、カッスルでもな。そーいうのを聞けるのが、子供の特権ってもんさ」
「…うん、そうする!」
「なにカッコつけてんの?パンツ一丁で…」
わずかに開いていた扉の隙間から、ミュゼがジト目でラッキーたちを見ていた。
-つづく-
今回はメンテナンスで発生するデートイベント。メンテナンスでは時間を経過させませんが、デートは1パート分消費させる自分ルール。つまりデート3回やったら1日経過するということですね。3回もしないけど(多分。
あんまりそのまんま書いてしまうとただのノベライズになっちゃうんで、匙加減は難しいですね(汗
ちなみに、ペガサスは割と優先的にメンテ→デートをやります。いや別にラッキーがロリコンだとかそんなんじゃなく、彼の戦う理由付けの一つに、彼女がちょっと関わってくるので。