ボイスクリスタルの自壊を確認して、その破片を拾い上げる。使い道はわからないが、なぜかそうした方がいいと感じたのだ。
「…そこで俺たちを見てんのは誰だ?」
「!?」
ラッキーの呟きに、ライブラたちが驚く。ややあって、デモン空間に浮かぶ仮面の向こうから、ローブを纏った少年がふらりと顔を出した。
「ははっ、やっぱり君だったか。元気そうで何よりだよ」
「デモン空間に出入りできる人間ってのが俺以外にそうそういんのかよ…」
「ああ、特にいないね」
しれっと返す少年に、ラッキーが頭をかく。
「ところで、いまとってもイイ物を拾ったみたいだけど…」
「イイ物…って、これか?」
手の中のものを目ざとく指摘する少年に、ラッキーは先ほど拾ったばかりの結晶体…ボイスクリスタルの欠片を見せてみる。
「そうそう、それそれ。ところで…その使い道って知って…」
ラッキーが首を横に振る前に「…るわけないよね」と少年が肩をすくめる。
「…テメー、馬鹿にしてんのか?」
「まあまあまあまあ。ちょっと待ってよ」
そう言って少年がローブの奥から一冊の書物を取り出した。
「良かったら読んでみてよ。そいつの使い方がこれに書かれてるからさ」
「本当か?」
少年から渡されたのは古びた魔導書のようだった。ぱらぱらとめくってみるが、よくわからない。
「これ…エルフ語ですね」
「読めるか、ライブラ?」
「んー…ごめんなさい、かなり時代の古いもののようで、私の知識では…」
読めないものを渡されても…と突き返そうとしたが、少年の姿はすでに遠ざかっていた。
「じゃあ、僕はこれで。大丈夫。キミのお仲間にそいつが読める人がいるはずだからね。またどっかでそのうち♪」
追いかけてデモン空間を飛び出したものの、胡散臭いローブ姿は、どこへともなく消え去っていた…
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「ふぅん、この間のアイツがねぇ…」
帰還後、円卓広場にいるというミュゼをプリムとともに迎えに行く。
「で、それが貰ったっていう魔導書?」
「おう。ライブラが言うには古いエルフ語らしくて、あいつじゃ読めないってさ」
「なるほどねぇ…ま、あとで読ませてよ」
「読めるのかよ?」
読めるかどうかを確かめる!といやに自信満々にミュゼが言うので、プリムが噴き出した。
「ところでミュゼはなにやってたんだ?」
「偵察よ、てーさつ。ボイスクリスタルも破壊されたことだし、街の人たちの意識がどれだけ変わったか…をね」
ミュゼ曰く、ぼちぼちということだったが。
「まぁ、一つ二つ壊したくらいじゃそうそう…ね」
今後ともガンガン壊しちゃってね!とミュゼがラッキーの背をばしばしと叩いた。
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改めてステラ座に戻り、ミュゼに捕まえたカプリコーンの魂を受け渡す。
「じゃ、やること終わったしさっそく…」
ミュゼがパラパラと魔導書をめくるが…
「うん、読めないわね!」
「だろうな」
「ま、こういうのにはうってつけがいるものよ。さっきプリムに呼ばせたから…」
と、支配人室の戸がノックされて、プリムがプロメスを連れてきた。
「どう、なにが書いてあるかわかる?」
「ふむ…」
そう言ったきり、プロメスが黙り込む。
時折、ページをめくりながら相槌を打っていき、黙々と読み進めていく。
「…さっぱりですね」
「うぉぃっ!今の流れは読めてる奴だろ?!」
「100点の突っ込み、ありがとうございます」
「うれしくねえ!」
プロメスによると、古いエルフ語を基にしたかなり特殊な記法が用いられていることまではわかった。
「じゃあ誰なんだよ…あのローブ野郎、俺たちの仲間になら読める奴がいるって言ってたぞ?」
「あ、そうか。すっかり忘れてたわね。こういうのに詳しそうな奴がもう一人いたわ」
ぽん、と手をたたくミュゼが、「次に道具屋が来るのはいつ?」とプリムに尋ねる。
「ええと…確か『今晩の夕食にはぜったい来る』って連絡があったみたいだよ?」
「そ。じゃあ魔導書については今晩までお預けね。じゃあそれまでは…今できることをやっつけましょうか!」
ラッキーに魔導書を返しながら、ミュゼがこちらに小気味いいまでの笑顔を見せつけてくる。
「…何させる気だ?」
「あら察しがいいわね?まあ、難しいことじゃないわよ。ちょっと手伝ってほしいだけ」
あとでスタジオに来てね。と、圧のある笑顔で言われてはラッキーもうなずく他なかった。
-つづく-
タイトル、ホントは(朝)IIにして次回アタックを昼からにしようと思ったんですが、イベントの関係上夜まで動けないので次回アタックは5日目になりそーですね。
セリフ回しは一部使いつつ、結構弄ってます。まんま書くのも飽きてきたので(ぇ
リプレイ(風)だしね!
👆ココ重要!
もう生産終了してる商品をアフェリとして貼る胆力よ(ぇ