陽が落ちてくると、オルム街も少しずつ活気付いてくる。
「あのお店はなぁに?」
「高級レストランだな。美味いらしいがめちゃくちゃ高えクセに量が少ないからオススメはしねえ」
屋台で間食を取りつつ、ペガサスが目についた店についてラッキーに尋ねていく。
「じゃあ、あっちは?」
「あれは…」
と少女が指差す先で、着飾った女が男たちに声をかけて店の中に連れて行く。いわゆる“夜のお店”というやつだ。当然ながらラッキー自身は入ったことはない。
「…知らん」
「お兄ちゃんも知らないのか…じゃあ、ペガッソ聞いてくる!」
「まていっ!」
入ったことはないが、それがどういう店なのかは識っている。デモンとはいえ年端のいかない少女を連れて行くところではないのだ。
「お前にゃ10年以上早ぇよ。ほら、とっとと禁域入るぞ」
「ぶー」
不満げなペガサスを引っ張り、ラッキーは増えてきた人波を縫って路地裏に向かうのだった。
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666番街での戦いも、少しずつ慣れてき始めた。
ラッキーが速撃で先手を打ち、力を溜めたペガサスがディレイスマイトで止めを刺す…そんなコンビネーションが確立されつつある。
力押し過ぎるといえばそれまでだが、逆説的に力押しで対処可能な魔物が多いということだ。
「他の禁域は知らねえが、まずはここで力をつける!」
「いっくよー!」
魔物の群れを叩きのめし、サークルから飛び出してきた武具を拾う。
「帽子がひとつと…こりゃあ…ふんどしか?」
「つけるの?」
「…あとでな」
サークルから出た以上、戦力の足しになりうるのはわかるが、流石に禁域の真っ只中で服を脱ぐわけにもいかない。
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「お兄ちゃん!」
ペガサスの鋭い声が飛ぶ。時折、魔物の中に突然変異のような特に強力な個体が出てくる。今の二人で、この手の魔物を制するのは骨が折れるが…
「だったら…!いくぞ、ペガッソ!」
「うんっ!」
魔眼に光が走り、ペガサスの真なる力を解き放つ。
「へんし〜んっ☆」
トランスデモン…魔眼をもってデモンに力をもたらすこの業は、流石にデモンゲイザー本人も身体能力向上…とまではいかない。だが…
(…見えるっ!)
研ぎ澄まされた視界の中、ラッキーの魔眼はあるものを見ていた。
それは、力の流れ。魔眼を介しペガサスに送られ、ペガサスが剣を振るうと同時に魔物に叩き込まれる力の奔流。
対峙する魔物にも同質の力を感じる。そして、この禁域の大気の中にすら。
(これが…星力…?)
曰く、魔力とは似て非なる異質の力。
このアステリアに、理由は不明だが天から降り注いでいるらしい力。
その力は、ときに魔物に強大な力をもたらし変異させ…ときにデモンの力の源となり…
そして今、自身が操るこの魔眼にも満ちている力!
(この星力をうまく扱えりゃ…オレはもっと強くなれるかも知れねえ…!)
確証はない。ならば試してみるしかない。
ラッキーは刀を構え、息を静かに吸い込んだ。
−つづく−
2日目終了。ラストでラッキーが言及してるのはあるスキルの話です。
まぁ後述のリザルトの通り、既に当該スキルは習得済みなんですが、お目見えは次回に。
一日で3回まで潜れますよというルールのおかげ(?)で1日でレベル10まで上がるというのがアレですが、まぁ常人ならぬデモンゲイザーとデモンならさもありなん、ということでひとつ(ぇ
Today's RESULTS
ラッキー:Lv3→10
ペガサス:Lv2→10
所持金:58G→1929G
収入:2321G(主に戦闘報酬として)/支出:400G(主に消費アイテムとして)