「マイコさぁん…」
竜姫亭に戻り、自室で一息ついていると、おずおずとしたノックからピーネが顔を出してきた。どうしたの?
「あの…また管理人さんから、あの人と仲直りしなさいって言われて…」
ああ、そういえば絶賛仲違い中だったっけ。
先日の発熱事件の際にはそれなりに談笑してたらしく、仲直りできたかな…とリーダーがキノコ片手に声をかけてみたそうだが…結果は空振りに終わっていたのだ。
「私不安で…ずっと無視してるし、いくらあの人でも、いい加減おへそ曲げちゃうんじゃないかって…」
それはないわね。
「き、きっぱり言いますねぇ…」
だってあのリーダーよ?お人好しが服着て空いてるような奴なんだから。でも、言わなきゃ伝わらないのはそうだから、ちゃんとごめんなさいって言わないとね。
「は、はい!がんばります!」
と、階下からリーダーがピーネを呼ぶ声が聞こえた。大方デモンの鍵を受け取るためにと、管理人が雑用の体でピーネの手伝いを命じたのだろう。やれやれだわね…
「じゃ、じゃあ行ってきます!」
うん、行っておいで〜。
…さて、じゃあわたしは今のうちに、ちょっとさっぱりしてこようかしらね?
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「あ、マイコ」
…風呂上がりに大広間を覗くと、リーダーとピーネがお茶していた。
仲直りできたようでなにより。
「ふにゃぁ…」
ピーネは早速リーダーが集めていたキノコの匂いを嗅いでご満悦なようだ。
…ところでリーダー?
「何?」
今のわたし、どうかな?
「どうって…お風呂上がりでしょ?僕もあとで入ろうかな」
いやそうじゃなくて…
「あ、わかった!」
わ、わかっちゃった?
「シャンプー変えたんでしょ?ククレのオススメはハズレなくていいよねぇ〜」
ち・が・い・ま・す・!
「あれ?今度はマイコさんとケンカですかぁ?ダメですよ仲良くしないと〜」
いやそうじゃなく…ま、いいか。
この朴念仁に、ちょこっとだけのイメチェンなんか分かるはずがないか。