アストロを倒したのも束の間、新たなデモンが眼前に現れる。どうする…戦えなくは無いけど、今は僕の魔眼の中にはすでにアストロが封じられてるし…
「まぁ、デモンが倒れるのはいいことです。ソルの力が弱まるのは、ルルにとっても好都合ですから」
ルナとしての本性をあらわした時とは違う、いつも通り(?)の態度と口調で話しかけてくる。何をしに来たんだ…?
「いいから聞くです」
僕の問いかけを制し、ルルが滔々と語る。
「この間のことは…あれは、ルルがやったんじゃないです」
先のルナの一件、そして…おそらくは僕の中のテラを呼び覚ました一件のことか。
「ルルのこの体は…ソルの力に呪縛されているのですよ」
ルルがソルの大鍵を探し求めていたのは、その呪縛を打ち破るためなのだと言う。たしかにソルの力の源たる鍵の力があれば、呪縛を断ち切るのも容易いだろう。
「いいですかデモンゲイザー、あなたとこのルルが組んで…二人でソルをぶっ殺しちまえばいいんです」
簡単な話、そうルルは言うが…
「ルルは操られてると言ったの、聞いてなかったんですか?」
…僕がそんな話を信じるとでも?
「…ふん、お人好しが服着て歩いてるようなデモンゲイザーも、疑り深くなることを覚えたみたいですね」
お陰様でね。
「まぁ、いいです。とりあえずはその瞳の中のデモンの魂、鍵に変えてくるです。その後でまた相談しましょう」
シャーク教団のアジトで待つと言い残し、ルルの姿は闇の彼方へと溶けていった…
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「お疲れ様でーす!今日のお家賃をよろしくです〜」
竜姫亭に戻ると、ピーネが出迎えと家賃徴収にやってきた。あれ、フランは?
「むー、私じゃ不満ですかぁ?」
いや、そうじゃないけど…
「それが…管理人さん、今は誰にも会いたく無いって言って…」
そうなの?でも、デモンの魂渡さないとだし…
「ですよねぇ…お食事も取ってないのでちょっと心配なんですよ。少しお話ししてみてください」
マイコと一緒に管理人室に向かうと、鍵がかかっていた。ピーネの言う通り、誰とも会いたがっていないようだが、デモンの魂を捕らえたことを話すと、ようやく鍵を開けてくれた。
「デモンを倒してくれたのね…」
どうかしたの?いつもなら飛び上がって喜んでるのに。
「そ、そこまでしないでしょう…?」
悩み多き年頃なのよ、とフランがため息混じりにつぶやく。
「…ねぇ」
ふと、僕の名を呼ぶ。
「もし、自分の目的のために誰かを傷つけないといけないのだとしたら…人はそんな時、どうすべきなのかしら」
辛そうな表情のフランに、マイコが口を開いた。
「…どっちが大事か、じゃない?」
「それがわかれば苦労してないわよ…」
「その“誰か”は、貴女にとって大切な人?」
マイコの問いかけに、フランは僕をちらりと見て…ややあって小さくうなづいた。
「その大切な人はさ、貴女が傷つけたからって堪えるような人なの?」
今度はふるふると首を横に振る。
「だったら…その人のこと、信じてあげたら?
「もし…その人が辛くなったら?」
「その時は、癒してあげて」
マイコがそっとフランの頬を撫でて、フランはこくんとうなづいた。
「…ごめんなさいね、変なところ見せちゃって」
「ふふっ、ピーネとのお茶飲み話のいいネタになったわ」
「それはやめて…」
ようやく表情に光を取り戻したフランが破顔する。
「さ、デモンの魂を受け取らないとね。私の瞳を…見て」
いつもより少し近い距離で、僕とフランの視線が交錯した。
−つづく−
一つ終わればまた一つ。イベント立て続けでどのタイミングで区切ればいいのやら💧
ルルの接触時、ゲームでは選択肢が比較的穏やかなんですけど、うちのゲイザーくんはローナの件もあるんでかなり敵意マシマシな感じです。