突き出された巨大な手が、魔力を捏ね回す。やがて形の無かったそれは、見覚えのある人型となった。
「…コメット?」
なるほど…すべてのデモンの祖たる存在だ。デモンのコピーを作ることなんて造作もないんだ。
黒いコメットが手を天に掲げたかと思うと、膨大な闇の魔法を繰り出してきた。オリジナルより強い…っ!
みんな、僕はデモンの維持に集中する。フォローお願い!
「任されたわよ、リーダー!」
マイコの声に後押しされ、僕はマルスと自分を繋ぐ魂の鎖に力を込めた。
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「直接ツラ合わせるのは初めてだぜ…天使って感じは全くしねえがな」
「本当に…かつての私はこんなものに忠誠を誓っていたのでしょうか」
マルスとウラヌスが口々に呟く。軽口叩ける余裕があるってことは、漸く鎖が安定したようだ。僕も出る!
「了解だ大将!こいつを持っていけ!」
再びデバインウエポンの恩恵を得て、盟約の聖剣を振りかざす。
──闇なる太陽よ、消え去れ!
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巨大な土塊は音もなく消え去り…足元にはルナ…いやルルの身体が力なく横たわっていた。
「…あぅ…っ」
何かを言いたそうにしている。近づいてみると…
「…ッ!」
その細い両腕が、僕の首を捉えた。
「リーダー!」
強烈な力で、首が絞められていく。
「地ヲ這ウモノ…我ハ…!」
──ええい、煩いのう。
涼やかな声がしたかと思うと、僕とルルの間に強い圧力がかかり、引き剥がされる。漸く空気を肺に入れられることに安堵しながら、ゆらりと立ち上がるルルの前に立ちはだかるのは…コメット?
「闇なる大天使よ、其方はもう負けたのじゃ。大人しく滅びを受け入れるが良い」
「ダ…黙レ!矮小ナデモンノ分際デ…」
「…やれやれ、彼我の力量まで測れなくなったか?」
コメットが普段とは明らかに異なる雰囲気を纏い、ルル…いや、その内側にいるソルの意識に語りかける。
「是非もなし…か。悪しき太陽の残滓よ…消え去れ!」
コメットの全身から光が迸る。それに照らされたルルの体から、黒い霧のようなものが剥がれ…
「お袋ッ!」
再び倒れかけたところを、カッスルが抱き止めた。その小さな体には、今度こそソルの気配は感じない。
「よう…バ…息子…」
「お袋…なのか?」
「おう…とも…」
その表情は、ルルともルナとも異なるものだった。もし僕に母親がいるなら、こんな顔を向けてくれたのだろうか?
「デモ…ゲイザー…」
ふと、ルルが僕を呼ぶ。
「こい…つ…カ…スル…を…」
そのまなざしは、もう一度息子を見て…
「よろしく…頼むよ…」
そう言い残し、ルルは目を閉じると…
もう、動くことはなかった。
「…お袋は、最期に戻ってきてくれたんだな」
…別れを言うにゃ短すぎるが。とカッスルは小さくため息をついた。
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「終わった…のね」
誰ともなしに、マイコが呟く。
「いいえ…まだ終わりじゃない」
そう言ったのは…
「フラン?」
彼女は僕の手からデモンスレインを奪い取り──
僕の目の前に、その切っ先を突きつけた。
−つづく−
ラストバトルは12ターンで決着。
ルナ戦との連戦だったんでデモンゲージがカツカツで軽く焦る作者であったw
文中では端折ってますが、神器装備したビアンカとで連発してゲイザーハート使えなかったらヤバかったかも…💧
ルルとルナの最後のくだりはオリジナル要素込みのアレンジ。
この後登場するとあるデモンとコメットのちょっとした共通項から、何か関連あるんだろうなぁと思いながら。
さて、ラスボスを倒したかとおもいきや、今度はヒロインは立ちはだかり…
長い一日は、後もう少しだけ続きます。